この記事の結論(3行)
1. 2026年10月に出た3つの調査は、AI検索経由の流入がGoogle検索に比べて小さいと報告しています。
2. 中小企業は、別予算で大きくかける前に、自社のGA4でAI経由の流入と問い合わせを数えるのが先です。
3. robots.txtの見直しは無料でできます。AIクローラーを止めるか許すかは、社長が方針として決めます。
2026年10月22日、SEO専門メディアのSearch Engine Roundtableが、AI検索への投資を問い直す3つの調査をまとめて報じました。同じ時期に、Googleのrobots.txt(検索ロボットへの立入指示ファイル)の解説動画と、Cloudflareによる試験運用の話題も出ています。
社長が知りたいのは、「AI検索対策に、いくらかけるのが妥当か」という一点でしょう。この記事は、4つのニュースを事実だけ要約し直し、そのうえで地方の中小企業が取れる行動を、判断表とチェックリストに落とし込みます。
なお、AI検索対策には「LLMO」「AIO」「GEO」など、似た言葉が並びます。いずれも、ChatGPTやGoogleのAI要約に自社の情報を取り上げてもらうための工夫、という意味で使われています。本文では「AI検索対策」でそろえます。
調査の数値は、いずれも海外のサイトを中心にした報告です。日本の中小企業にそのまま当てはまるとは限りません。だからこそ、後半で「自社の数字を測る手順」を詳しく扱います。
AIの回答に出典リンクが増える流れは、AI検索のリンク増と優先ソースの記事で扱いました。本記事は「お金をどこまでかけるか」の判断に絞ります。
1. 2026年10月の4つのニュースを一覧にする
最初に、4つのニュースを1枚の表にします。いずれも「新しい制度が始まった」という話ではありません。調査の報告、動画での解説、試験運用、順位の揺れ、と段階が違います。段階を押さえておくと、過剰に反応せずに済みます。
| ニュース | 時期(報道) | 何の話か | 社長への関係 |
|---|---|---|---|
| AI検索への投資を問う3調査 | 2026年10月22日付 | AI経由の流入・成約は小さいとする調査が3件 | 投資額を決める材料になる |
| Googleのrobots.txt解説動画 | 2026年10月21日付 | AIクローラーの扱い、書き方の注意 | 無料で点検できる |
| CloudflareとOpenAIの試験運用 | 2026年10月(報道) | 新規・更新ページをOpenAIに知らせる試験 | 利用中の会社だけ関係 |
| 順位変動の急増(未確認) | 2026年10月20〜21日 | 順位の揺れが再び話題に | 慌てず記録だけ取る |
上の図は、1つ目の調査(Marie Haynes氏)の数字を図にしたものです。流入の量と、訪問1回あたりの成約率を並べると、「量は小さいが、質は高いかもしれない」という見方もできることが分かります。詳しくは次の章で述べます。
このセクションのまとめ
4つのニュースは段階が違います。調査の報告と、動画での解説と、試験運用と、まだ未確認の順位変動です。「制度が変わった」と受け取らず、判断材料として読むのが安全です。
2. 3つの調査は何を示したのか(出典つきで要約)
ここでは、Search Engine Roundtableの記事(3 New Studies Suggest AI Visibility & Search Not Worth Investing In、2026年10月22日付)が取り上げた3つの調査を、調べた人ごとに整理します。数値は、元記事に書かれているものだけを使います。
2-1. Marie Haynes氏の調査:ChatGPT経由の訪問はGoogle自然検索の0.62%
1つ目は、SEOの専門家であるMarie Haynes氏の記事「GEO is a distraction(GEOは気を散らすもの)」です。元記事の紹介によると、100のサイトの12か月分のGA4(Googleの無料アクセス解析)データを分析しています。対象は1億4,500万を超えるセッション(訪問)です。
- ChatGPTからの訪問は、Google自然検索からの訪問量の0.62%にとどまった
- ChatGPTからの訪問者の成約率は13.8%で、Google自然検索の3.02%を上回った
- それでも、全チャネルの成約の96.5%はGoogleが占めた
- Googleの成約数は、ChatGPT以外も含むAIサービスの合計の27倍だった
ここで大切なのは、「成約率はAI経由のほうが高い」という点も同じ調査に含まれていることです。「AIは無意味」という結論ではなく、「量が小さいので、投資額とのバランスを見るべき」という読み方が妥当でしょう。
2-2. SEO Works社の調査:自然検索の流入はAIアシスタントの39倍
2つ目は、SEO Works社の「How Much Traffic Do AI Assistants Actually Send, And Does It Convert Better?」です。元記事の要約では、次の結果が示されています。
- 自然検索の流入は、AIアシスタント経由の39倍だった
- 自然検索が成約を100件もたらす間に、AI経由は3.2件だった
- AI経由の訪問の成約しやすさは、有料検索広告の0.67倍、直接流入の2.48倍だった
ベンダー(SEO会社)の調べである点は押さえておくべきです。調査の方法や対象サイトの詳細は、元記事の紹介だけでは分かりません。「SEO Works社調べ」と明記したうえで、参考値として扱ってください。
2-3. Kevin Indig氏の調査:AIが直接流入を増やす関係は見つからず
3つ目は、Kevin Indig氏の「Does AI drive more direct traffic?(AIは直接流入を増やすか)」です。12のサイトを対象にしています。元記事によると、結果は次のとおりです。
- 長い検索語(ロングテール)のページで、AI由来の直接流入は検出できなかった
- AIでの見え方と、社名検索や直接流入との間に、確かな関係は見つからなかった
直接流入とは、ブックマークやURL入力などで来る訪問です。「AIで紹介されると社名を覚えられて、直接来る人が増える」という期待があります。その期待を裏づける証拠は、この12サイトでは見つからなかった、という報告です。サイト数は12と少ないため、断定は避けるべきでしょう。
| 調べた人 | 対象 | 主な報告 | 読むときの注意 |
|---|---|---|---|
| Marie Haynes氏 | 100サイト・12か月・GA4 | ChatGPT経由は0.62%、成約率は13.8%対3.02% | サイトの種類の偏りは元記事で確認が必要 |
| SEO Works社 | 詳細は元記事の要約では不明 | 自然検索はAIの39倍、成約は100対3.2 | SEO会社の調査。方法の詳細は未確認 |
| Kevin Indig氏 | 12サイト | AI由来の直接流入は検出できず | サイト数が少ない |
注意
3つの調査はいずれも、日本の中小企業だけを対象にしたものではありません。元記事にも、日本のサイトに限った分析とは書かれていません。数字の大きさよりも、「自社で測ると何%になるか」を確認する材料として使ってください。
2-4. 地方の中小企業は、この3調査をどう受け取ればよいか
結論から言えば、「AI検索対策を全部やめる」でも「別予算で大きく投じる」でもありません。次の3点が現実的な受け取り方です。
- AI経由の流入は、まだ小さい可能性が高い。ただし自社の数字は未確認
- 小さくても成約率が高い可能性があり、「ゼロ扱い」は早い
- Google検索の土台(内容の充実、会社情報の正確さ)がAIにも効く、という見方が自然
3点目は、AI検索の仕組みを扱ったLLMO対策の記事でも述べた考え方です。AIに取り上げられるためだけの特別な作業より、既存のSEOの質を上げるほうが、費用対効果で見て堅実だと言えるでしょう。
このセクションのまとめ
3調査は「AI経由は小さい」と報告しますが、成約率の高さも示しています。社長は「大きくかけるか、やめるか」ではなく、「自社の数字を測ってから決める」という順番で考えてください。
3. 調査の数字を自社に当てはめるときの3つの注意
海外の調査を読むときに、気をつけたい点があります。数字が一人歩きしないよう、社長が担当者に確認する観点を3つに絞ります。
3-1. 対象サイトと業種が違う
調査対象のサイトは、情報サイトやネットショップが多いと想像されます。地方の中小企業は、電話やフォームでの問い合わせが成果の中心です。業種によって、AIに相談する人の割合も違うでしょう。
たとえば、機械部品の製造業と、地域の工務店では、お客様の探し方が違います。調査の平均値より、自社の過去12か月の数字のほうが、はるかに判断の役に立ちます。
3-2. 「測れていない流入」が混ざる可能性
AIアシスタントから来た訪問が、参照元の情報なしで届くと、アクセス解析では「直接流入」に混ざります。この場合、AI経由の流入を正確に分けて数えるのは難しくなります。Kevin Indig氏の調査が「直接流入との関係は見つからなかった」としたのも、この測りにくさが背景にある可能性があります。
そのため、GA4で見えるAI経由の数字は、「最低でもこれだけ」という下限値として読むのが安全です。逆に、数字が小さいからといって、AIが全く影響していないと決めつけることもできません。
3-3. 「量」と「質」を分けて見る
Marie Haynes氏の調査では、量は0.62%でも、成約率は13.8%でした。量だけ見て「割に合わない」と切り捨てると、質の高い入口を見逃すかもしれません。逆に、成約率だけ見て「AIは宝の山だ」と考えるのも、母数が小さいため危険です。
| 見る数字 | 何が分かるか | 社長の判断への使い方 |
|---|---|---|
| AI経由のセッション数 | 入口としての大きさ | 月に数十件未満なら、大型投資は急がない |
| AI経由の問い合わせ数 | 実際の成果 | 月に1件でもあれば、継続して追う価値あり |
| AI経由の成約率 | 入口の質 | Google検索より高いなら、既存記事の改善を優先 |
| 全体に占める割合 | 投資の優先度 | 全体の数%なら、Google検索対策が主役のまま |
このセクションのまとめ
調査の数字は参考値です。業種、測りにくさ、量と質の違い、の3点に気をつけながら、最後は自社の数字で判断してください。
4. 費用対効果の判断表:大きくかける・延長で続ける・様子見
ここからが、社長に判断していただく部分です。AI検索対策の進め方を3つに分け、費用・社内の手間・リスクを比べます。下の費用の幅は、中小企業の一般的な外注・社内工数をもとにした編集部の目安です。見積もりは会社ごとに違うため、必ず複数の見積もりで確認してください。
| 進め方 | 追加費用の目安(月額) | 社内の手間の目安 | リスク | 向いている会社 |
|---|---|---|---|---|
| A. 別予算で大きくかける | 10万〜30万円程度(外注・ツール) | 週3〜5時間(確認・修正) | 効果が測りにくく、固定費になりやすい | AI経由の問い合わせが月に継続して出ている会社 |
| B. 既存SEOの延長で低コスト | 0〜3万円程度 | 週1〜2時間 | 効果が出るまで半年ほどかかる場合がある | Google検索から問い合わせが取れている会社 |
| C. 今は様子見+計測だけ | 0〜1万円程度 | 月1〜2時間 | AI対応が遅れる可能性(ただし差は小さいとの報告) | ホームページが整っておらず、基本が不足の会社 |
図は、判断の流れを1枚にしたものです。最初の問いは「AI経由の流入と問い合わせを実測しましたか」です。測っていなければ、投資額を決める材料がまだありません。まず計測を1〜3か月行うのが、最も費用が小さい選択になります。
4-1. 回収できるかを、仮の数字で確かめる
社長が見るべき数字は、突き詰めると「AI経由で得られる粗利が、追加費用を上回るか」です。次の表は、すべて架空の仮定で作った計算例です。自社の数字に置き換えて使ってください。
| 項目 | 仮の数字(架空) | メモ |
|---|---|---|
| 月の追加費用 | 10万円 | 進め方Aの下限の目安 |
| AI経由の問い合わせ | 月1件 | GA4とフォーム・電話の記録で確認 |
| 成約率 | 20% | 過去の問い合わせの実績から |
| 1件あたりの粗利 | 50万円 | 受注額ではなく粗利で見る |
| 期待できる月の粗利 | 1件×20%×50万円=10万円 | 追加費用とほぼ同じ。回収はぎりぎり |
この仮定では、月10万円をかけても、回収はぎりぎりです。問い合わせが月3件になれば、期待粗利は30万円になり、判断は変わります。逆に月0件なら、10万円は回収できません。だからこそ、先に件数を測る意味があります。
注意
上の計算は、費用対効果の考え方を示す架空の例です。実際の成約率や粗利は、業種・単価・営業の体制で大きく変わります。これを根拠にして、特定の金額を保証するものではありません。
4-2. 社長が「任せる/自分で決める」の線を引く
| 項目 | 誰が決めるか | 理由 |
|---|---|---|
| AI検索対策に月いくらまで使うか | 社長 | 経営判断。担当者や業者に任せない |
| GA4の設定・集計 | 担当者 | 手順はチェックリストで渡せる |
| robots.txtの書き換え | 制作会社または担当者 | 社長は「止める/許す」の方針だけ決める |
| 記事の改善 | 担当者+AI補助 | 最終確認は人が行う |
このセクションのまとめ
大きくかけるのは、AI経由の問い合わせが継続して出てからで遅くありません。多くの中小企業は、既存SEOの延長か、計測だけで始めるのが無理のない選択です。
5. 担当者に渡す:AI経由の流入と問い合わせを測るチェックリスト
ここは、社長ご自身が操作する部分ではありません。担当者または制作会社に、そのまま渡してください。目的は、投資の前に「AI経由の流入が自社でどれだけあるか」を数字にすることです。
GA4の画面名は、更新で変わることがあります。表示が違う場合は、「参照元(どのサイトから来たか)が分かるレポート」を探すよう伝えてください。
5-1. 担当者向けチェックリスト(所要時間の目安:初回1〜2時間)
- GA4を開き、集客に関するレポートで、「セッションの参照元」が見られる表を表示する
- 期間を過去12か月(無理なら6か月)にする
- 参照元に「chatgpt.com」「perplexity.ai」「gemini.google.com」「copilot.microsoft.com」などの文字がある行を探す
- 見つかった行ごとに、セッション数と、問い合わせ(フォーム送信・電話ボタンのクリック)の件数を控える
- 全体のセッション数に占める割合を、小数点以下1桁まで計算する
- 問い合わせフォームの「どこで知りましたか」欄や、電話での聞き取りで、「AIで知った」という声がなかったか確認する
- 1か月ごとに同じ表を作り、増えているか、横ばいかを見る
- 結果を1枚にまとめて、社長に報告する(グラフでなく数字の表でよい)
参照元の名前は、AIサービスの側の変更で変わることがあります。見つからない場合は「参照元」の一覧を上から眺めて、AIらしい名前がないか確認してください。
5-2. 報告書に入れる項目(表)
| 項目 | 記入例(架空の書式) | 判断のヒント |
|---|---|---|
| AI経由のセッション数(12か月) | ○○件 | 全体の何%かを併記 |
| AI経由の問い合わせ件数 | ○○件 | 0件でも「0件」と記録する |
| Google検索経由の問い合わせ件数 | ○○件 | 比較の基準にする |
| 問い合わせ時の聞き取り | 「AIで見た」の有無 | アクセス解析で拾えない流入の手がかり |
| 前月からの増減 | 増/横ばい/減 | 3か月続けて増えたら次の判断へ |
注意
参照元が分からない訪問は「直接流入」に混ざります。GA4の数字は下限値です。聞き取りの情報と合わせて読んでください。
5-3. 数字が出たあとの動かし方
| 3か月の結果 | 社長の判断 | 次の手 |
|---|---|---|
| AI経由が全体の1%未満・問い合わせ0件 | 進め方C(様子見) | 計測を続け、既存記事の改善を優先 |
| 1〜5%・問い合わせが月に数件 | 進め方B(延長で続ける) | AIに引用されやすい書き方へ既存記事を直す |
| 5%超・問い合わせが継続して増加 | 進め方Aを小さく試す | 3か月の期間と上限額を決めて外注 |
上の区切りは、編集部の目安です。割合は低く見えても、1件あたりの粗利が大きい業種では、1件の価値が高いこともあります。割合より「問い合わせ件数×粗利」で見てください。
Googleの検索結果での見え方や問い合わせの数を確認する基本の操作は、サーチコンソールの使い方の記事にまとめています。AIの引用状況の確かめ方は、AI検索の引用の確認方法の記事も参考になります。
このセクションのまとめ
投資の前に、GA4で12か月分の参照元を確認し、聞き取りも合わせて下限値をつかみます。件数が3か月続けて増えるまでは、大きな費用をかけなくて構いません。
6. robots.txtでAIクローラーを止める?許す?
2つ目のニュースは、Googleのrobots.txt解説です。Google On robots.txt Rules For AI Crawlers, Emojis, International URLs & More(Search Engine Roundtable、2026年10月21日付)によると、Googleの動画「Non-Canonical Cabinet」の第2回で、Gary Illyes氏とCherry Prommawin氏が説明しています。動画のタイトルは「What can you actually put in a robots.txt?(robots.txtに実際に何を書けるか)」です。
6-1. 動画で説明された内容(元記事の要約)
- Googlebotは、robots.txtで巡回(クロール)の範囲を決める
- 解析は1行ずつ行われ、user-agent・allow・disallow・sitemapの行を探す
- 理解できない行は、静かに捨てられる
- 「#」で始まる行はコメントとして無視される
- ファイルはRFC 9309(標準仕様)に沿うべき
- robots.txtは、クロールを許すかの「お願い」の仕組みで、取得済みデータの使い方までは決めない
- 特定のAIクローラーを止めるには、そのクローラーの名前(user-agentトークン)を指定する
- user-agentの名前に使えるのは英字とハイフンだけで、絵文字や日本語は使えない
- URLの中の日本語などは、パーセントエンコード形式で書く
- 他社や古いクローラーは、同じ書き方に対応しないことがある
- robots.txtは安全対策ではなく、守るかどうかは相手次第
図は、上の内容を「決められること」と「決められないこと」に分けたものです。社長に伝えたいのは、robots.txtは入口の看板のようなもので、鍵ではない、という点です。看板を無視する相手には効きません。
6-2. 止める/許すの判断表
| 選択 | メリット | デメリット | 向いている会社 |
|---|---|---|---|
| AIクローラーを許す(初期状態のまま) | AIの回答に取り上げられる可能性が残る | 自社の文章がAIの学習や要約に使われる | 集客が目的の多くの中小企業 |
| 特定のAIクローラーだけ止める | 独自の資料や価格表を守りやすい | そのAIの回答には出にくくなる | 独自データや会員向け資料を持つ会社 |
| AI関連をまとめて止める | 方針が分かりやすい | AI経由の入口を自分で閉じる | コンテンツ自体が商品の会社 |
| 何もしない(点検もしない) | 手間がない | 意図せず止めている場合に気づけない | 避けたい(点検だけは行う) |
止めるとAIに引用されにくくなる点は、はっきりしています。一方、Googleのrobots.txtの記述が、他社のクローラーにも同じように効くとは限りません。「Googleに効いた設定が、ChatGPT用のロボットにも効く」と思い込まないことが大切です。
6-3. 担当者に渡す:robots.txt点検リスト
- 自社サイトのアドレスの末尾に「/robots.txt」を付けて表示し、内容を保存する
- 「Disallow: /」が全体にかかっていないか確認する
- AIサービスの名前が書かれた行(user-agent)があるか確認する
- あれば、社長の方針(許す/止める)と一致しているか照らし合わせる
- 日本語や絵文字がuser-agent行に入っていないか確認する
- 日本語のURLを指定している行は、パーセントエンコード形式か確認する
- sitemapの行が正しいアドレスを指しているか確認する
- 変更する場合は、変更前のファイルを必ず保存しておく
注意
robots.txtの書き換えを間違えると、検索結果から自社サイトが消える原因になります。変更は制作会社か詳しい担当者に任せ、変更前後のファイルを残してください。
このセクションのまとめ
robots.txtの点検は無料でできます。社長は「AIに取り上げられたいか」の方針だけ決めます。看板にすぎないので、守りたい資料は別の方法(会員制など)で守ってください。
7. CloudflareとOpenAIの試験運用:自社に関係があるか
3つ目のニュースは、Position Digitalのニュース記事(AI SEO News)で伝えられた、CloudflareとOpenAIの試験運用です。この記事では日付が「2026年10月」としか分かりません。細かな日付は、元記事では確認できていません。
7-1. 報じられた内容
- 試験の対象は、Cloudflareのネットワークの約1%
- OpenAIの検索用クローラーに、どのページが存在し、いつ変わったかを知らせる信号が届く
- Cloudflareは、この信号が、他のサイトからほとんどリンクされていない有用なページの発見に役立ったと説明
- Cloudflareは「数億の新しいページ」の発見に役立ったと述べている
- ページの順位は、OpenAIが独自に決める
- 信号は、AIクローラーにアクセスを許可するものではなく、サイト側のアクセス管理は変わらない
要するに、「新しいページや更新したページが、ChatGPT検索に見つかりやすくなるかもしれない」という試験です。ただし、見つかることと、上位に出ることは別の話です。順位はOpenAI側が決めます。
7-2. 自社に関係があるかの確認
| 確認すること | 確認する人 | 関係ありの場合 |
|---|---|---|
| 自社サイトがCloudflareを使っているか | 制作会社・サーバー管理者 | 対象の約1%に入るかは外から分からない |
| 使っていない場合 | ― | 特に何もしなくてよい |
| 使っている場合 | 担当者 | AI関連のアクセス設定の画面を確認し、方針と合っているか見る |
| 新しいページの掲載を早めたい | 担当者 | サイトマップの更新と、更新日の正しい表示を整える |
Cloudflareを使っているかは、サイトの管理会社に「CDN(高速表示のための仕組み)やセキュリティ対策としてCloudflareを使っていますか」と尋ねれば分かります。使っていても、試験の対象かどうかは自社では判断できません。待っていれば足ります。
注意
「Cloudflareを入れればChatGPTに載る」という売り込みには注意してください。元記事の内容は、試験運用の報告です。載ること、順位が上がることを約束する内容ではありません。
このセクションのまとめ
Cloudflareの話は、使っている会社だけの確認事項です。試験運用の段階であり、順位はOpenAIが決めます。新しい契約を急ぐ理由にはなりません。
8. 「AI対策」を売り込む業者に確認する7つの質問
AI経由の流入がまだ小さいと報告される中で、「AI対策をすぐ始めないと乗り遅れる」と勧める営業が増えるかもしれません。不安をあおる言い方には、落ち着いて質問で返してください。
| 質問 | 望ましい答え | 注意が必要な答え |
|---|---|---|
| AI経由の成果は、どう測りますか | GA4の参照元と問い合わせ件数で報告する | 「AIに載る順位が上がります」だけ |
| 何をしたら、いつ頃分かりますか | 期間と測る数字を示す | 「すぐ効く」「必ず載る」 |
| 費用の内訳は何ですか | 作業ごとの内訳がある | 一式で月額のみ |
| 既存のSEOと何が違いますか | 既存の改善と重なる点を説明する | AI専用の特別な裏技 |
| やめるときの条件は | 最低期間と解約条件を書面で示す | 長期の縛りがある |
| 自社の作業は何ですか | 必要な社内工数を示す | 「全部お任せください」 |
| 3か月で結果が出なかったら | 見直しの条件を決めている | 何も決まっていない |
成果の約束をしてよいのは、事前に測れる数字だけです。「AIに紹介される」「ChatGPTで1位になる」といった約束は、順位をAI側が決める以上、業者には保証できません。
一般的なSEO対策の費用の相場は、SEO対策の費用・価格相場の記事を比べる材料にしてください。AI専用の名目で、それより大幅に高い金額が出た場合は、内訳を求めて構いません。
このセクションのまとめ
不安をあおる営業には、質問で返します。測り方、期間、内訳、解約条件の4点が答えられない業者は、見送って構いません。
9. 短い続報:順位変動が再び話題に(2026年10月20〜21日)
4つ目は短い続報です。Search Engine Roundtableの記事(2026年10月21日付)は、10月20日から21日にかけて、検索順位の変動と業界内の議論が急に増えたと伝えています。同じ記事では、Googleからの確認は報告されていません。
- 10月16日にも、確認されていない更新の話題があった
- 2026年9月24日に始まったスパム更新は、10月8日に完了と報じられた
- 順位変動を測るツールによって、変動を検知した日付が違う例がある
順位チェックのツールが日によって違う数字を出すこと自体は、珍しくありません。数字が揺れた日に慌てて記事を書き換えると、かえって原因が分からなくなります。社長は、「2週間は記録だけ取る」と担当者に伝えてください。
順位が下がったときの回復までの目安は検索順位が下がったときの回復期間の記事に、ツールの数字がずれる理由は順位チェックツールの数字が不正確になる記事にまとめています。ここでは詳細を繰り返しません。
このセクションのまとめ
順位変動は未確認の話題です。2週間は記録を取り、慌てて書き換えない、が基本です。詳しくは既存の2記事を参照してください。
10. 架空の事例:従業員40名の部品メーカーが決めたこと
ここで紹介するのは、実在しない会社の架空の例です。判断の流れを理解していただくために作りました。
地方にある従業員40名の部品メーカー(架空のB社)では、営業担当の社長が、ある業者から「AI検索対策に月20万円」を提案されました。社長は、決める前に担当者へ3つの宿題を渡しました。
| 宿題 | 結果(架空) | 社長の判断 |
|---|---|---|
| GA4でAI経由の流入を12か月分確認 | AI経由は全体の0.5%程度で、問い合わせはゼロ | 大型投資は見送り |
| 問い合わせ時の聞き取りを1か月 | 「AIで調べた」という声が1件 | 聞き取りを続ける |
| robots.txtの点検 | 不要な禁止設定は入っておらず、AIクローラーは許可のまま | 現状維持 |
B社は、月20万円の提案を断りました。代わりに、既存の技術解説ページ3本を見直す作業(外注で数万円)と、毎月の計測だけを続けています。3か月後に、AI経由の問い合わせが月に1件以上継続して出るかを見直しの基準としました。
この例のポイントは、断ったことではなく、基準を決めたことです。「3か月」「月1件」という見直しの目安があれば、後から迷いません。数字は例であり、自社に合わせて変えてください。
このセクションのまとめ
架空のB社のように、先に測り、見直しの基準を決めるのが、費用の無駄を防ぐ最も簡単な方法です。
11. AIを「半自動化の道具」として使う場面
AI検索対策そのものにお金をかけなくても、AIを社内の作業の補助として使うことはできます。ここでの使い方は、完全に任せるのではなく、人が最終確認を行う半自動化です。
| 作業 | AIの使い方 | 人が確認する点 |
|---|---|---|
| GA4の集計表の読み取り | 書き出した表を貼り、増減の要約を作らせる | 数字の転記ミスがないか |
| 既存記事の見直し | 古い情報・曖昧な表現の洗い出しを頼む | 事実関係は人が確認 |
| 問い合わせ聞き取りの整理 | メモを分類させる | 個人情報は貼らない |
| robots.txtの読み解き | 書かれている内容を平易な文で説明させる | 変更は制作会社が行う |
注意
お客様の氏名や社外秘の資料を、AIサービスに貼り付けないでください。社内ルールを決めてから使う、が原則です。
費用の面では、AIの補助に使う有料プランは月数千円程度の場合が多いと考えられます。大型の外注より先に、社内の作業を軽くする使い方から試すのが、無理のない順番でしょう。
このセクションのまとめ
AIは社内作業の補助に使い、判断と最終確認は人が行います。AI検索対策への大型投資より、先に試せる使い方です。
12. やってはいけない5つのこと(NOT TO DO)
最後に、今回のニュースを受けて避けたい行動を5つにまとめます。どれも、不安から急いだときに起きやすいものです。
- 数字を測る前に、AI検索対策の外注契約を結ぶ
- robots.txtで、理由を確かめずにAI関連をまとめて禁止する
- 「AIに載ります」という約束を信じ、長期契約に応じる
- 順位が揺れた日に、記事を一斉に書き換える
- 調査の数字を、自社の数字だと思い込む
| やってはいけないこと | 起きること | 代わりにすること |
|---|---|---|
| 測る前の契約 | 成果が分からず、固定費だけ残る | 3か月計測してから決める |
| AI関連の一括禁止 | AIの回答に出る可能性を自分で閉じる | 方針を決め、ロボットごとに設定 |
| 長期契約 | 解約しにくい | 最短の契約期間で試す |
| 一斉の書き換え | 原因が分からなくなる | 2週間記録してから判断 |
| 調査の数字の流用 | 判断を誤る | 自社のGA4で測る |
このセクションのまとめ
「測る前に決めない」「約束を鵜呑みにしない」「慌てて動かない」の3つが、今回のニュースから得られる共通の教訓です。
13. 今後1か月のスケジュール(担当者・制作会社向け)
最後に、1か月の動きを表にします。社長が見るのは、最後の週の報告だけで足ります。
| 時期 | 作業 | 担当 | 社長の関わり |
|---|---|---|---|
| 1週目 | GA4の参照元確認(12か月分)、robots.txtの保存と点検 | 担当者 | 方針(許す/止める)を決める |
| 2週目 | 問い合わせフォームに「知ったきっかけ」欄があるか確認、なければ追加を相談 | 担当者・制作会社 | 費用が出る場合のみ承認 |
| 3週目 | Cloudflare利用の有無の確認、既存記事の見直し候補を3本選ぶ | 制作会社 | 特になし |
| 4週目 | 結果を1枚にまとめて報告 | 担当者 | 進め方A/B/Cを選ぶ |
この表のとおりに進めれば、1か月後には、AI検索対策に月いくらまで使うかを、社長が自分の数字で決められる状態になります。
14. よくある質問(FAQ)
Q. AI検索対策は、今はやらなくてよいのでしょうか。
A. 「何もしない」ではなく、「大きな費用をかける前に測る」が基本です。3つの調査は、AI経由の流入がGoogle検索に比べて小さいと報告しています。まず自社のGA4で参照元を確認し、問い合わせの件数を数えるところから始めてください。既存のSEOの質を上げる作業は、AI対策にもつながります。
Q. AI経由の流入は、GA4でどう見ればよいですか。
A. 集客に関するレポートで「セッションの参照元」を表示し、chatgpt.com、perplexity.ai、gemini.google.comなどの行を探します。参照元が付かない訪問は直接流入に混ざるため、数字は下限値として読み、問い合わせ時の聞き取りも合わせてください。画面の名称は更新で変わることがあります。
Q. robots.txtでAIクローラーを止めると、どうなりますか。
A. 止めたAIの回答には、自社の情報が取り上げられにくくなる可能性があります。また、Googleのrobots.txtの書き方が他社のクローラーにも同じように効くとは限りません。robots.txtは安全対策ではなく、守るかどうかは相手次第です。方針を決めてから、制作会社に設定を依頼してください。
Q. Cloudflareを使っていれば、ChatGPTに載りやすくなりますか。
A. 報じられたのは、Cloudflareのネットワークの約1%を対象にした試験運用です。新規・更新ページがOpenAIのクローラーに知らされる内容で、順位はOpenAIが決めます。載ることを約束するものではないため、これを理由に新しい契約を急ぐ必要はありません。
Q. AI検索対策の業者に、月いくらまで払ってよいですか。
A. 決まった金額はありません。目安として、AI経由の問い合わせから見込める粗利を計算し、追加費用がそれを上回らない範囲に収めてください。測定前は、計測だけの0〜1万円程度から始め、3か月後に見直すのが無理のない進め方です。
Q. 順位が急に動きましたが、何をすべきですか。
A. Googleは2026年10月20〜21日の変動について確認していません。2週間は記録だけ取り、記事の一斉な書き換えは避けてください。回復期間の目安は、当サイトの既存記事で解説しています。
15. 出典と関連記事
本記事で参照した元記事は次の4つです。事実の細部は、必ず元記事でご確認ください。
- Search Engine Roundtable:3つの調査(2026年10月22日付)
- Search Engine Roundtable:Googleのrobots.txt解説(2026年10月21日付)
- Position Digital:AI SEO News(Cloudflare・OpenAIの試験運用)
- Search Engine Roundtable:順位変動(2026年10月21日付)
関連記事です。あわせてお読みください。
- LLMOとは?AI検索に引用される仕組みと中小企業がやるべき対策
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著者について
webcan.jp編集部 主筆 K.Takenouchi。Webディレクター・SEOコンサルタントとして10年以上の現場経験を持ち、大手金融系メディアや医療系コーポレートサイトのコンテンツマーケティング支援、ECサイトの企画運営・KPI設計、月商数百万円から月商1億円規模への成長支援などに携わってきました。





