この記事の要点
ホームページからの問い合わせへの返信は、営業時間内なら「2時間以内に最初の返信」を目安に、会社として決めておくのがおすすめです。大切なのは速さだけでなく、担当者・時間・休日の扱いを事前に決めておくことです。返信が遅い問い合わせは、相手が他社に流れて失注につながりやすくなります。この記事では、その決め方を社長の判断軸でまとめます。
せっかくホームページから問い合わせが届いたのに、返信が遅れて話が流れてしまう。こうした悩みは、中小企業では珍しくありません。
「問い合わせが来ない」という悩みは、すでに ホームページから問い合わせが来ない会社が見直す5つの点 で整理しました。この記事はその続きにあたり、問い合わせが届いた後、社内でどう動くかに絞ってお伝えします。
結論から言うと、決めておくことは次の4つだけです。
- 誰が返信するか(主担当と副担当を一人ずつ)
- 何時間以内に最初の返信をするか(営業時間内は2時間が一つの目安)
- 土日祝・夜間・長期休暇のときにどうするか
- 返信の内容と結果を、どこに記録するか
専門的なツールは必須ではありません。メールとスプレッドシートがあれば、今日から始められる内容です。
1. 返信は何時間以内がよいか|社長が決める目安
まず、最も多く聞かれる「何時間以内に返せばよいのか」にお答えします。ここでは、根拠のはっきりしない数字を断定せず、考え方と目安をお伝えします。
一般に、問い合わせへの返信は早いほど商談に進みやすいと言われています。ただし、その効果の大きさは業種や商品によって差があり、「何時間なら成約率が何割上がる」と言い切れる単純な数字はありません。そのため、自社の状況に合わせた目安を決めることが大切です。
| 場面 | 返信の目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 営業時間内に届いた | 2時間以内に一次返信 | 相手がまだ検討の途中で、他社にも問い合わせている可能性が高い時間帯のため |
| 夕方〜夜間に届いた | 翌営業日の午前中 | 相手も就業時間外のことが多く、翌朝の返信で十分に間に合う場合が多いため |
| 土日祝に届いた | 休み明けの午前中(自動返信は即時) | 休日対応を全員に求めると負担が大きく、続かないため |
| 急ぎ・トラブル系 | 当日中、できれば電話 | 待たされること自体が不満につながるため |
| 見積り・資料請求 | 当日中に受付の返信、本回答は1〜2営業日 | 内容の確認に時間がかかるが、受け取った事実は早く伝える方がよいため |
この表の時間は、あくまで多くの会社で無理なく運用できる目安です。たとえば、現場に出ている時間が長い工事業の会社では「当日の夕方まで」でも十分な場合があります。逆に、緊急性の高いサービス(水まわりの修理など)では、もっと短い目安が求められることもあります。
ポイント
目安の時間は「守れる数字」にしてください。守れない短い数字を掲げるより、少し余裕を持たせて確実に守るほうが、結果として信頼につながります。
自社の「ちょうどよい時間」の見つけ方
次の三つを確認すると、自社に合った時間が見えてきます。
- 過去3か月ほどの問い合わせを見て、届いた時間帯と返信までの時間を並べる
- 失注した案件のうち、返信が遅れていたものがあるか振り返る
- お客様が他社にも問い合わせていそうな業種かどうかを考える(相見積もりが多い業種は、より早い返信が望まれます)
特に二つ目は大切です。「失注の原因は価格だった」と思い込んでいても、実際には、返信が遅れたことで比較の土俵に乗れなかったというケースもあります。数字がなければ、一度、担当者と一緒に記憶を整理するだけでも発見があります。
セクションのまとめ:営業時間内は2時間以内の一次返信を目安に、夜間・休日は翌営業日の午前中とします。最終的には自社の過去の問い合わせから、守れる時間を決めることが肝心です。
2. 返信が遅いと失注につながる理由
なぜ返信の遅れが失注につながりやすいのでしょうか。お客様の側の事情を知ると、社内ルールの必要性が理解しやすくなります。
お客様は「同時に複数社」に連絡していることが多い
ホームページから問い合わせる方は、多くの場合、複数の会社を比較しています。リフォーム、設備工事、BtoBの部品調達、士業への相談など、比較検討が前提の分野では特にそうです。最初に丁寧な返信をくれた会社に、話が進みやすくなるのは自然な流れです。
時間が経つと、検討の熱が冷める
問い合わせを送った直後は、お客様の関心が最も高い状態です。数日たつと、他の用事が入ったり、別の会社で話が進んだりして、熱が冷めてしまいます。これは相手に悪意があるわけではなく、誰にでも起こることです。
返信の速さは「会社の仕事ぶり」の見本になる
お客様は、返信の速さと丁寧さから、その会社の仕事ぶりを想像します。「問い合わせの段階でこの対応なら、契約後も安心できそうだ」と感じてもらえるかどうかが分かれ目になります。逆に、返信が遅いと、見積りや工事の段取りも遅いのではないかと不安を持たれやすくなります。
失注の原因が「見えにくい」ことが問題
返信が遅れて失注した場合、お客様から「遅かったので他社にしました」と伝えられることはまずありません。何も言わずに離れていくため、会社の側では原因に気づきにくいのです。だからこそ、日頃から返信までの時間を記録し、事前にルールを決めておく価値があります。
| よくある状況 | お客様の気持ち | 会社に起きること |
|---|---|---|
| 2〜3日返信がない | 無視されたのかもしれない | 他社と話が進み、連絡しても「もう決めました」と言われる |
| 返信はあったが一言だけ | 事務的で不安 | 日程調整まで進まず、検討から外される |
| 返信が早く、次の予定が明確 | 話が進めやすい | 電話や訪問の日程が決まり、商談に入れる |
なお、問い合わせの件数そのものを増やす前に、届いた問い合わせを確実に商談へつなげる仕組みを整えるほうが、費用対効果は高くなる場合があります。問い合わせにつながる割合の考え方は CVRとは で、直し方は CVR改善で上がらない原因は? でも説明しています。
セクションのまとめ:比較検討中のお客様は複数社に連絡しており、返信の速さは会社の信頼感の見本になります。遅れによる失注は見えにくいため、先にルールを作ることが大切です。
3. 誰が返信するか|担当を決める三つの役割
返信の遅れの原因は、技術よりも「誰の仕事か決まっていない」ことにあるケースが大半です。ここでは、役割の決め方を説明します。
問い合わせの受け付けには、次の三つの役割を決めておくと動きやすくなります。
| 役割 | 内容 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 主担当 | 毎営業日の朝と昼過ぎ、受信箱を確認して一次返信を送る | 事務・営業事務・総務の方など、社内にいる時間が長い方 |
| 副担当 | 主担当が不在のときに代わりに対応する | 営業担当や店長など、別の部署の方 |
| 責任者(社長) | 週に一度、記録を見て、遅れや失注がないかを確認する | 社長または役員。日々の返信は担当者に任せる |
ポイントは、社長が日々の返信を抱え込まないことです。社長が全件に目を通す形だと、出張や会議で返信が止まります。一方で、完全に任せきりにすると、遅れに気づけません。そこで、社長は週に一度だけ記録を確認するという分担が、現実的で続けやすいと考えられます。
自社でやる/任せる判断軸
| 作業 | 自社でやる | 外部に任せる |
|---|---|---|
| 一次返信(受付・お礼・次の予定) | 自社で行う(会社の顔になる部分のため) | 原則として任せない |
| 専門的な内容の本回答 | 自社の担当者や技術者が行う | 外部の専門家に相談しながら作る場合もある |
| 通知設定・自動返信の設定 | 担当者でも可能 | 制作会社や保守担当に依頼すると確実 |
| 記録表の作成・集計 | 簡単な表なら自社で十分 | 集計の自動化は必要になってから検討 |
| 営業メールの仕分け | 自社で目視 | フォーム側の対策は制作会社に依頼 |
注意
「返信を代行会社に任せる」と、内容がお客様の期待とずれることがあります。最初の返信は会社の第一印象になるため、少なくとも一次返信は自社の人が行うほうが無難です。外部に任せる場合も、返信文の原案と最終確認は自社で行ってください。
また、担当者個人のメールアドレスだけに通知が届く設定は避けましょう。休暇や退職のたびに、見落としが起きやすいためです。通知先は、担当者二名と共有の受信箱の組み合わせにしておくと安心です。
セクションのまとめ:主担当・副担当・責任者の三役を決め、通知先は複数にします。社長は日々の返信ではなく、週に一度の確認役に回るのが続けやすい形です。
4. 「最初の返信」と「本回答」を分ける
返信が遅れる大きな理由の一つは、「きちんとした回答を用意してから返そう」と考えてしまうことです。そこで、返信を二段階に分ける考え方をおすすめします。
| 一次返信 | 本回答 | |
|---|---|---|
| 目的 | 届いたことを伝え、安心してもらう | 相談内容に具体的に答える |
| 内容 | お礼・受付番号・次の連絡時期 | 見積り・日程・質問への答え |
| 時間の目安 | 営業時間内は2時間以内 | 1〜2営業日以内(内容により調整) |
| 担当 | 主担当 | 主担当または専門の担当者 |
一次返信は、「問い合わせを受け取りました」「いつまでに、誰から、どんな形で連絡します」の二点が伝わればよいのです。この二点があるだけで、お客様は待つ間の不安がぐっと小さくなります。
一次返信に入れる項目
- お礼の一文(問い合わせをいただいたことへ)
- 内容を受け取ったことの確認(念のため、相談内容を一行で復唱する)
- 次の連絡がいつ、誰から、どの手段で来るか
- 急ぎの場合の電話番号と受付時間
- 会社名・担当者名・連絡先
本回答は、見積りや現地確認が必要な内容だと時間がかかります。その場合も、「現地確認のため、〇日までにご連絡します」と一次返信で見通しを伝えておけば、遅れとは受け取られにくくなります。
ポイント
一次返信で約束した「次の連絡の時期」は必ず守ってください。早く返すこと以上に、約束を守ることが信頼につながります。
セクションのまとめ:返信を「一次返信」と「本回答」に分けると、完璧な答えを待たずに素早く連絡できます。一次返信では「受け取った」と「次の予定」を必ず伝えます。
5. 土日祝・夜間・長期休暇のときの決め方
「休日に届いた問い合わせはどうするのか」は、決めていない会社が非常に多い部分です。休日に全員が待機するのは現実的ではないため、仕組みで受け止める考え方をご紹介します。
自動返信メールを整える
多くのフォームには、送信直後に自動で返信メールを送る機能があります。これを「受付完了」という味気ない文面のままにせず、次のことを書き添えます。
- 問い合わせを受け付けたこと
- 通常の営業日・営業時間
- 次に人から連絡が来る時期の目安(例:「翌営業日の午前中を目安にご連絡します」)
- お急ぎの方向けの電話番号と受付時間
この設定は、フォームを作った制作会社や保守担当に依頼すれば、短時間で対応してもらえることが多いです。費用は依頼先や契約内容で変わるため、まず見積りを取ってみることをおすすめします。
休み明けの朝は「最初の仕事」にする
土日祝や連休の後は、問い合わせがまとまって届いています。休み明けの朝、他の仕事より先に受信箱を確認するルールにしておくと、遅れが出にくくなります。連休前には、「休業のお知らせ」を自動返信にも加えておくと、お客様も安心です。
当番制にするか、しないか
| 方法 | 向いている会社 | 注意点 |
|---|---|---|
| 休日は自動返信のみ・休み明けに対応 | 多くの中小企業。まずはこの形から | 急ぎの案件には電話案内を併記する |
| 休日の当番を交代制にする | 休日の問い合わせが売上に直結する業種(住宅設備・飲食の予約など) | 当番の手当や代休の取り決めが必要 |
| 転送電話・担当者のスマホ通知 | 緊急性が高い業種 | 負担が大きいため、対象を限定する |
注意
休日対応を「社員の善意」に頼る運用は、長続きしません。当番にする場合は、手当や代休など、会社として取り決めたうえで始めてください。
セクションのまとめ:休日・夜間は「自動返信」と「休み明けの朝一番の確認」を基本にします。休日対応が売上に直結する業種に限り、当番制の導入を検討します。
6. そのまま使える返信テンプレート
ここでは、担当者に渡してそのまま使える形の文例を載せます。社名や日付は自社の内容に置き換えてください。
テンプレート1:一次返信(営業時間内)
一次返信の例
件名:【〇〇株式会社】お問い合わせありがとうございます
〇〇様
このたびは、お問い合わせをいただきありがとうございます。〇〇株式会社の△△と申します。
「(相談内容を一行で)」とのご相談を受け取りました。
内容を確認のうえ、〇月〇日(〇)までに、改めてご連絡いたします。
お急ぎの場合は、下記の電話番号(平日9時〜18時)までお知らせください。
〇〇株式会社 △△/電話 00-0000-0000
テンプレート2:本回答の前に確認したい点がある場合
確認事項の例
〇〇様
ご連絡ありがとうございます。より正確にご案内するため、次の点を教えていただけますでしょうか。
1. ご希望の時期 2. ご予算の目安(分かる範囲で結構です) 3. 現在の状況(写真があれば添付ください)
お返事をいただいてから、〇営業日以内にご案内いたします。
テンプレート3:返信が遅れてしまったとき
お詫びの例
〇〇様
お問い合わせへのご連絡が遅くなり、申し訳ございません。
ご相談の件ですが、(本題を簡潔に)。
よろしければ、〇月〇日または〇日のうち、お電話でお話しできる時間帯を教えていただけますでしょうか。
テンプレート4:休日・休業中の自動返信
自動返信の例
お問い合わせありがとうございます。内容を受け付けました。
当社の営業日は〇曜日〜〇曜日(〇時〜〇時)です。休業日にいただいたご連絡は、翌営業日の午前中を目安に、担当者からご連絡いたします。
お急ぎの方は、お電話(00-0000-0000)をご利用ください。
テンプレートは、そのまま貼り付けるだけでなく、お客様の相談内容を一行で復唱する部分だけは必ず手で書き換えてください。それだけで「きちんと読んでもらえた」という印象が大きく変わります。
セクションのまとめ:返信文は型を作っておくと、担当者の負担が減り、品質もそろいます。ただし、相談内容の復唱だけは毎回手で書き、機械的な印象を避けます。
7. 見逃しを防ぐ仕組み|通知・迷惑メール・フォームの不具合
返信の速さ以前に、「そもそも問い合わせに気づいていない」ことが起こる場合があります。次の点を点検してみてください。
| 見落としの原因 | 確認すること | 対処 |
|---|---|---|
| 通知が迷惑メールフォルダに入る | 週に一度、迷惑メールを確認しているか | 受信を許可する設定を行い、制作会社にも相談する |
| 通知先が担当者一人だけ | 休暇・退職時に誰が見るか | 通知先を複数にし、共有の受信箱を作る |
| フォーム自体が動いていない | 定期的に、社内から実際に送信テストをしているか | 月に一度のテスト送信を担当者の仕事にする |
| 営業メールに埋もれる | 件名や本文で仕分けできているか | フォームの項目を見直す(詳しくは別記事) |
| スマホからの送信で不具合 | スマホ画面で入力・送信ができるか | 制作会社に表示確認を依頼 |
営業メールの多さに悩んでいる場合は、 問い合わせフォームに営業メールばかり届くときの対策 も参考になります。本当の問い合わせを見逃さないための具体的な方法をまとめています。
月に一度のテスト送信を習慣にする
フォームは、サイトの更新やサーバーの設定変更をきっかけに、突然動かなくなることがあります。気づかないまま数週間が過ぎると、その間の問い合わせは届いていません。月に一度、担当者が社内から実際に送信して、通知と自動返信が届くかを確認するだけで、リスクは大きく下がります。
確認の際は、パソコンとスマホの両方から送信してみるのがおすすめです。お客様の多くはスマホから入力するためです。
セクションのまとめ:通知先を複数にし、迷惑メールの確認とテスト送信を習慣にします。「気づいていない」を防ぐことが、返信の速さ以前の土台になります。
8. 記録して改善する|週5分の確認表
ルールを決めても、守れているかが見えないと、いつの間にか元に戻ってしまいます。そこで、簡単な記録をつけることをおすすめします。専用のシステムは不要で、スプレッドシートで足ります。
| 項目 | 記入例 | 何が分かるか |
|---|---|---|
| 受信日時 | 10/15 14:20 | 届く曜日・時間帯の傾向 |
| 相談内容の種類 | 見積り/資料請求/その他 | 種類ごとの対応の違い |
| 一次返信の日時 | 10/15 15:10 | 返信までの時間 |
| 担当者 | 主担当/副担当 | 属人化していないか |
| 結果 | 商談/見積り提出/受注/失注/連絡なし | どの段階で止まるか |
| メモ | 現地確認の予定など | 次に何をするか |
社長は、週に一度、この表を5分ほど眺めるだけで構いません。見るポイントは次の三つです。
- 決めた時間内に一次返信できているか
- 返信が遅れた案件が、どの曜日・時間帯に集中しているか
- 「連絡なし」で終わっている案件が増えていないか
たとえば、月曜日の朝に届いた問い合わせの返信が遅れがちだとすれば、週末明けの確認ルールに問題がありそうだと分かります。このように、数字が見えると、次の手を打ちやすくなります。
数字に過度にとらわれない
件数が少ないうちは、割合を出しても意味が薄いことがあります。月に数件〜十数件の会社では、「遅れた件が何件あったか」「その原因は何か」を文章で書き留めるほうが、役立つ場合が多いです。
問い合わせを増やす施策については、 リード獲得とは?中小企業が最初にやる手法 で扱っています。先に受け止める体制を作ってから施策に進むと、無駄が減ります。
セクションのまとめ:スプレッドシートに受信・返信・結果を記録し、週に5分だけ確認します。件数が少ないうちは、遅れた原因を文章で残す方法でも十分です。
9. 電話・LINE・メールなど、窓口が複数あるときの考え方
問い合わせの窓口はフォームだけとは限りません。電話、メール、LINE、Googleマップ経由の連絡など、複数の入口がある会社も多いはずです。窓口ごとにバラバラに対応すると、漏れや二重対応が起こります。
| 窓口 | 返信の考え方 | 注意点 |
|---|---|---|
| フォーム | この記事のルール(営業時間内2時間目安) | 自動返信を必ず設定 |
| 電話 | その場で対応。不在時は折り返し | 着信履歴と折り返し記録を残す |
| メール | フォームと同じルールで対応 | 誰宛てのメールかで担当が分かれないようにする |
| LINE公式アカウント | 自動応答+人の返信 | 営業時間外の案内を設定 |
| Googleマップ・口コミ経由 | 電話やフォームへ誘導する | 返信の仕方は別の記事を参照 |
重要なのは、窓口が違っても、記録は一つの表にまとめることです。同じお客様が電話とフォームの両方で連絡してくるケースもあり、一元管理しないと二重の返信や対応漏れが生じます。
また、電話に出られない時間帯が多い会社は、フォームの案内文に「お電話は平日〇時〜〇時」と明記しておきましょう。電話がつながらないことで離れてしまうお客様を、フォームに誘導できます。
セクションのまとめ:窓口が複数あっても、返信のルールと記録は一本化します。電話の受付時間をフォームにも明記すると、取りこぼしが減ります。
10. 架空の例|返信ルールを作った会社の流れ
ここでは、考え方をつかんでいただくために、架空の会社を例にします。実在の会社や人物ではありません。
従業員40名ほどの設備工事会社「A社」(架空)では、ホームページの問い合わせ通知が、社長のスマホにだけ届く設定になっていました。社長が現場や出張で忙しい日は、数日間、返信が止まることがありました。
そこで、次の見直しを行いました。
- 通知先を、事務の担当者・営業の副担当・社長の三名に変更した
- 自動返信メールに、営業日と「翌営業日の午前中を目安に連絡」の一文を追加した
- 一次返信のテンプレートを作り、事務の担当者が返信するようにした
- スプレッドシートに受信日時・返信日時・結果を記録し、社長が毎週月曜に5分確認するようにした
この例では、見直し後、「返信までの時間が日によってばらつく」という状態が改善に向かいました。ただし、これは架空の例であり、実際の効果は会社の状況によって変わります。大事なのは、特別な機械を入れたのではなく、担当・時間・記録を決めただけという点です。
セクションのまとめ:特別な投資をしなくても、通知先・自動返信・テンプレート・記録の四つを整えれば、返信の安定感は変わっていきます。
11. やってはいけない5つのこと(NOT TO DO)
最後に、返信対応でよく見られる失敗を五つにまとめました。いずれも、ついやってしまいがちなことです。
- 返信を社長一人に集中させる。出張や会議のたびに返信が止まります。
- 完璧な回答ができるまで返信しない。一次返信と本回答を分けてください。
- 長すぎる返信を一度に送る。相手は読む前に疲れてしまいます。要点を短くまとめましょう。
- 約束した連絡日を守らない。早さより、約束を守ることが信頼を左右します。
- 営業メールと一緒にすべて削除する。本当の問い合わせまで消えてしまうおそれがあります。件名での仕分けルールを決めましょう。
注意
返信の速さを競うあまり、内容が雑になると逆効果です。速さと丁寧さの両方を満たすために、一次返信の型を用意しておくことが役立ちます。
セクションのまとめ:社長への集中、完璧主義、長文、約束の不履行、一括削除の五つは避けます。型を用意しておくと、ほとんどの失敗を防げます。
12. AIを「下書き係」として使う場合の注意
最近は、返信文の下書きを生成AIに作らせる会社も増えています。うまく使えば、担当者の負担を減らせます。ただし、使い方を誤るとリスクもあります。
| AIに任せてよいこと | 人が必ず行うこと |
|---|---|
| 返信文の下書き、言い回しの整え | 内容の事実確認(納期・金額・できること) |
| 長いメールの要約 | お客様の状況に合った言葉に直す最終確認 |
| 問い合わせ内容の分類案(見積り・資料請求・その他) | 重要案件・クレームの判断 |
| よくある質問への回答案 | 送信ボタンを押す前の目視確認 |
AIが書いた文章は、一見きれいでも、事実と違うことを書いてしまうことがあります。金額・納期・対応可否など、お客様との約束に関わる部分は、必ず人が確認してください。また、お客様の個人情報(氏名・連絡先など)を外部のAIサービスに入力する際は、社内の情報管理ルールに沿って行う必要があります。判断に迷う場合は、入力する情報を最小限にするか、使用を控えてください。
「AIに自動返信させる」ところまで一気に進めるのではなく、まずは下書きを作らせて、人が仕上げるという半自動の形から始めるのが無理のない進め方です。
セクションのまとめ:AIは返信の下書き係として便利ですが、事実確認と送信は人が行います。個人情報の入力には社内ルールを守ります。
13. 担当者に渡すチェックリスト
ここまでの内容を、担当者にそのまま渡せるチェックリストにまとめました。印刷して机に貼っておくと便利です。
毎日(営業日)
- 朝、始業後すぐに受信箱を確認した
- 昼過ぎにもう一度確認した
- 新しい問い合わせには、決めた時間内に一次返信した
- 記録表に受信日時・返信日時を入力した
毎週
- 迷惑メールのフォルダを確認した
- 返信が遅れた案件と原因を、責任者に報告した
- 「連絡なし」の案件に、お礼や追加の連絡をする必要がないか確認した
毎月・長期休暇の前
- パソコンとスマホからテスト送信し、通知と自動返信が届くことを確認した
- 連休前に、自動返信文へ休業のお知らせを追加した
- 副担当と、不在時の引き継ぎ方法を確認した
- 返信テンプレートの見直しを行った
セクションのまとめ:毎日・毎週・毎月のチェックを担当者に渡し、社長は週に一度の確認に専念します。
よくある質問
問い合わせへの返信について、社長からよくいただく質問をまとめました。
Q. ホームページの問い合わせには、何時間以内に返信すればよいですか。
営業時間内に届いた場合は、2時間以内の一次返信を一つの目安にしてはいかがでしょうか。遅くとも当日中、夜間や休日に届いた分は休み明けの午前中が現実的な線です。ただし、これは一般的な目安であり、業種や問い合わせの内容によって適切な速さは変わります。自社の過去の問い合わせを見直して決めるのが確実です。
Q. 返信が遅れたときは、お詫びを書くべきですか。
はい、短く添えるのがよいでしょう。長い言い訳は不要で、「ご連絡が遅くなり申し訳ございません」の一文と、次にいつ何をするかを伝えれば十分です。遅れた理由を詳しく書くより、今後の見通しを示すほうが相手の不安は和らぎます。
Q. 休日や夜間の問い合わせには、自動返信だけで足りますか。
自動返信は「届いたこと」を伝えるもので、本回答の代わりにはなりません。ただ、何も返らない状態に比べて相手の不安はかなり小さくなります。自動返信に営業日と次回連絡の目安を書き、休み明けに人が一次返信する形が無理のない運用です。
Q. 営業メールと本当の問い合わせが混ざって見分けにくいです。
件名と本文の先頭だけで仕分けるルールを決めておくと負担が減ります。フォームに「ご相談内容」の選択欄を設けると、分類もしやすくなります。営業メールの対策は別の記事でも詳しく説明していますので、あわせてご覧ください。
Q. 返信の担当者が辞めたり休んだりしたときはどうなりますか。
主担当と副担当の二人体制にし、通知先も二人以上にしておくことをおすすめします。担当者個人の受信箱だけに通知が届く形だと、休暇や退職の際に見落としが起きやすくなります。共有の受信箱を作る方法もあります。
Q. 社長自身が返信すべきでしょうか。
原則として、日々の返信は担当者に任せ、社長は大口案件や判断が必要な案件だけ確認する形が続けやすいと考えられます。社長が全件を見ようとすると、出張や会議のたびに返信が止まるおそれがあります。
まとめ|今週中に決める四つのこと
ホームページからの問い合わせは、届いた後の動きで結果が大きく変わります。専門的な技術よりも、社内の取り決めが成果を左右する部分です。
| 決めること | 今週の宿題 |
|---|---|
| 担当 | 主担当と副担当を一人ずつ決める |
| 時間 | 営業時間内は2時間、夜間・休日は翌営業日の午前中など、守れる時間を決める |
| 休日 | 自動返信の文面を見直す |
| 記録 | スプレッドシートを作り、週に一度の確認日を決める |
すべてを一度に整える必要はありません。まずは、通知先を複数にして、自動返信文を見直すところから始めてみてください。問い合わせが来ない悩みと同じくらい、来た問い合わせを逃さない仕組みづくりも、会社の成長に欠かせない一歩です。
あわせて読みたい関連記事
今回の内容とあわせて確認すると、理解が深まる記事をご紹介します。
- ホームページから問い合わせが来ない会社が見直す5つの点 — 問い合わせそのものが少ない場合の確認順です。
- 問い合わせフォームに営業メールばかり届くときの対策 — 本物の問い合わせを見逃さない仕分けの考え方です。
- CVR改善で上がらない原因は? — 問い合わせにつながる割合を見直すときの視点です。
この記事を書いた人
webcan.jp編集部 主筆 K.Takenouchi。Webディレクター・SEOコンサルタントとして10年以上の現場経験を持ち、大手金融系メディアや医療系コーポレートサイトのコンテンツマーケティング支援、ECサイトの企画運営・KPI設計、月商数百万円から月商1億円規模への成長支援などに携わってきました。
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