TOP/コラム/ホームページ運用

退職した社員の会社メールアドレスはどうする|削除・転送・引き継ぎの判断

webcan read --article

ホームページ運用公開日

退職した社員の会社メールアドレスはどうする|削除・転送・引き継ぎの判断

机の上の封筒とノートパソコン、引き継ぎの書類

この記事の結論

退職者のメールアドレスは、取引先との窓口だったかどうかで扱いを決めます。窓口でなければ中身を保存してから削除、窓口なら数か月だけ転送し、受注や問い合わせ用は共有アドレス(info@ など)に切り替えます。あわせて、取引先へのお知らせと、中身の確認担当を決めておけば、取りこぼしはほぼ防げます。

社員が退職するたびに、会社のメールアドレスをどうするか迷う社長は少なくありません。消してよいのか、残しておくべきなのか、判断の基準がないまま放置されている会社もよくあります。

この記事では、専門用語をなるべく使わずに、「すぐ消す」「しばらく転送する」「共有アドレスに切り替える」の3つの選び方を表で整理します。最後に、担当者へそのまま渡せるチェックリストも付けました。

なお、メールの中身の扱いは、個人情報や通信の秘密などの法律にも関わります。この記事は一般的な考え方を紹介するもので、個別の判断は社労士・弁護士などの専門家にご確認ください。

退職者のメールアドレスが放置されやすい理由

退職の手続きといえば、社会保険や備品の返却、貸与パソコンの回収が中心です。メールアドレスは目に見えないため、後回しになりがちです。

「誰の仕事か」が決まっていない

総務が担当するのか、ホームページやパソコンに詳しい社員が担当するのか、会社によってばらばらです。決まっていないと、退職者本人のパソコンの設定がそのまま残ります。

結果として、退職後も何か月もアカウントが生きたままになったり、逆に退職日に何も確認せず削除してしまったりします。どちらにも、あとから困る場面があります。

残していても削除しても、困ることがある

状況 起こりやすい困りごと
そのまま放置 退職者のパスワードが生きたままになり、情報管理の面で不安が残る。契約によっては、使っていない人の分の費用がかかり続ける場合もある
すぐ削除 取引先からのメールが戻ってきてしまい、見積依頼や請求書の連絡に気づかない。過去のやりとりも探せなくなる
何となく転送 誰が見ているのか分からず、転送先の担当者の受信箱が埋まる。いつまで続けるかも決まらない

つまり、放置も即削除も、どちらも「決めていない」ことが原因です。基準を先に決めておけば、退職のたびに悩む必要はなくなります。

社長の判断ポイント

メールの扱いは、パソコンに詳しいかどうかではなく、「取引先との窓口が誰に移るか」という仕事の引き継ぎの問題です。操作は担当者や業者に任せて構いませんが、方針は社長が決めておくと現場が迷いません。

このセクションのまとめ

放置も即削除も「決めていない」ことが原因です。方針を先に決めれば、退職のたびに悩まずに済みます。

3つの選択肢を比べる|すぐ消す・しばらく転送・共有アドレスへ

退職者のアドレスの扱いは、大きく3つに分けられます。それぞれ向いている場面が違うため、まず全体の違いを見てください。

退職者のメールアドレス 3つの扱い方すぐ消す社内だけで使っていた取引先とのやりとりが少ない(先に中身を保存)判断は「窓口だったか」しばらく転送取引先との窓口だった数か月は届いてほしい(期限を決めて転送)判断は「窓口だったか」共有アドレスへ問い合わせ・受注の窓口担当が変わっても続く(info@ などに切り替え)判断は「窓口だったか」
選択肢 向いている人 メリット 気をつける点
すぐ消す(保存したうえで削除) 社内の連絡が中心で、取引先とのやりとりがほとんどなかった人 アカウントが残らないため管理が楽。使っていない分の費用も止めやすい 削除すると元に戻せない場合がある。必ず先に中身の保存を済ませる
しばらく転送する 取引先とのやりとりが多かった人。営業・購買・経理など 相手が新しい連絡先に切り替えるまでの間、メールを取りこぼしにくい 期限を決めないと終わらない。転送先の担当者の負担が増える
共有アドレスに切り替える 問い合わせや受注、請求書の受け口として使っていたアドレス 担当が変わっても同じアドレスで受け続けられる。複数人で見られる 誰がいつ返信するかのルールが必要。迷惑メールも複数人に届く

迷ったときの目安

次の3つの質問で、おおむね判断できます。上から順に当てはめてください。

  1. その人のアドレスは、ホームページ・名刺・見積書・請求書などに載っていましたか。載っていたなら「しばらく転送」か「共有アドレス」が候補です。
  2. そのアドレス宛てに、取引先から自動で届く連絡(注文通知、請求書の送付、会員サイトの通知など)がありましたか。あれば、登録先の変更が済むまで残します。
  3. 社内の連絡だけで使っていましたか。そうであれば、保存したうえで削除して構いません。

注意:名刺とホームページを必ず確認

名刺や過去の見積書に載っているアドレスは、思わぬ相手が覚えています。社内の感覚だけで「もう使っていない」と判断せず、載っている場所を一度確認してから決めてください。

このセクションのまとめ

「窓口だったか」「自動通知が届いていたか」「社内専用だったか」の3つで、削除・転送・共有アドレスのどれにするかが決まります。

自社の環境で変わる|メールの仕組み別の考え方

同じ「会社のメール」でも、仕組みは会社によって違います。扱いやすさや費用の考え方が変わるため、まず自社がどのタイプか確認しましょう。

主な3タイプ

タイプ よくある例 退職時の特徴
クラウド型(アカウントごとに利用料がかかる) Google Workspace、Microsoft 365 など 1人ごとにアカウントがあり、停止・削除・他の人への引き継ぎなどの機能がある。契約状況によっては、停止後も料金が続くことがあるため、管理画面や公式ヘルプで確認する
レンタルサーバー付属のメール ホームページと同じサーバーで作ったメール アドレスを追加・削除する画面から操作できる。転送設定も簡単だが、機能は契約内容による。費用は変わらない場合が多い
無料メールの併用 Gmail、Yahoo! メールなど(個人のもの) 会社の管理が及ばない。退職者が持っていくため、取引先とのやりとりに使っていると取り戻せない

クラウド型の場合

Google Workspace や Microsoft 365 では、退職者のアカウントを「停止」「削除」「共有の受信箱へ変換」といった形で扱えるのが一般的です。ただし、どの機能が使えるか、停止後も利用料がかかるかは、契約しているプランによって異なります。

料金は公式の料金ページに掲載されています。為替やプラン改定で変わるため、この記事では金額を載せません。契約の管理画面か、公式の料金ページで最新の状況を確認してください。

また、会社のアカウントを社員が個人名義で作っていた場合は、退職と同時に持ち主が会社でなくなってしまう恐れがあります。こうした問題は、別の記事で詳しく説明しています。

会社のGoogleアカウントを社員個人で作っていませんか|持ち主を会社にする手順もあわせて確認してください。

レンタルサーバーのメールの場合

ホームページと同じサーバーで作ったメールは、アドレスの追加や削除、転送の設定が管理画面から行えます。自社でできる範囲も多いため、担当者に任せやすい環境です。

一方で、そのメールを誰が契約し、管理画面のログイン情報を誰が持っているかが曖昧な会社も少なくありません。サーバー会社の連絡先や契約者の確認は、退職者が出る前に済ませておくと安心です。

会社のメールをGmailから独自ドメインに変える手順と費用では、会社の名前入りのアドレスを持つ意味と、費用の考え方を説明しています。

無料メールを仕事に使っている場合

退職者が個人の Gmail などで取引先とやりとりしていた場合、会社のルールでは取り戻せません。まずは、本人に協力を依頼し、取引先へ新しい窓口を案内する流れになります。

こうした状況は、退職後の予期せぬトラブルのもとです。今回の退職対応を機に、会社のアドレスで仕事をするルールにそろえることをおすすめします。

このセクションのまとめ

自社のメールがクラウド型・サーバー付属・無料メールのどれかで、できる操作や費用の考え方が変わります。最初に確認しておきましょう。

削除する前に必ずすること|中身の保存と確認

削除はいつでもできますが、元に戻せないこともあります。先に保存と確認を済ませれば、後悔の大半は防げます。

保存しておくもの

  • 取引先とのやりとり(見積・発注・請求・クレーム対応などの履歴)
  • 契約や納品に関わる添付ファイル
  • アドレス帳(取引先の連絡先)
  • 自動で届いていた通知の送信元一覧(どのサービスに登録していたか)

保存先は、共有フォルダやクラウドの共有ドライブなど、複数人が開ける場所が望ましいです。個人のパソコンに置くと、同じ問題がまた起こります。

どこまで中身を見てよいか

退職者の受信箱には、仕事のメールだけでなく、私的なやりとりが混じっていることもあります。会社が中身を見てよいか、どこまで確認してよいかは、就業規則の定めや本人への事前説明の有無によって考え方が変わります。

個人情報保護法や通信の秘密にも関わる論点があるため、断定はできません。実際に中身を確認する前に、社労士・弁護士など専門家へ相談し、就業規則の見直しも含めて確認しておくと安心です。

注意:本人に黙って中身を読み込まない

退職者のメールを、本人に知らせずに読み進めるのは、後々のトラブルのもとになります。仕事に必要な範囲に限る、事前に本人へ説明する、といった運用を、専門家と相談して決めておきましょう。

削除の前に待つ期間

たとえばクラウド型のサービスでは、削除してから一定期間は復元できる仕組みを用意している場合があります。ただし、期間はサービスごとに異なり、その期間を過ぎると取り戻せません。

そのため、「削除ボタンを押した日」ではなく、「削除する前に取引先の切り替えを確認した日」を基準にするのが安全です。公式ヘルプで復元の条件を確認してから進めてください。

このセクションのまとめ

削除の前に、仕事のやりとり・添付ファイル・連絡先・自動通知の一覧を共有の場所へ保存します。中身の確認範囲は専門家に相談してください。

取引先のメールを取りこぼさない段取り

退職者のアドレスを止めると、取引先からのメールは相手に「届きませんでした」という通知が戻るか、あるいは何も返らずに消えます。相手が気づかないうちに、商談が止まる場合もあります。

取引先からのメールを取りこぼさない流れ1相手先を洗い出す2新しい窓口を決める3お知らせを送る4転送で様子を見る5届かなくなったら削除ポイントは、メールを消す前に「誰が窓口を引き継ぐか」を決めておくことです

ステップ1:相手先を洗い出す

退職者が担当していた取引先を、一覧にします。過去の送受信履歴、名刺、請求書、担当表などが手がかりです。退職者本人に、最後の1か月で聞き取りをするのが最も確実です。

ステップ2:新しい窓口を決める

引き継ぐ担当者と、共有アドレスを使うかどうかを決めます。担当者個人のアドレスにするか、部署の共有アドレスにするかで、その後の手間が変わります。

新しい窓口 向いている場面 気をつける点
引き継ぐ担当者の個人アドレス 特定の取引先と長く付き合う営業・購買 その担当者が辞めると、同じ問題が繰り返される
部署の共有アドレス(info@、eigyo@ など) 問い合わせ・見積依頼・請求書の受け口 返信の担当を決めておかないと、全員が見たつもりで放置される
社長や役員のアドレス 重要な取引先が少数で、顔なじみ 社長の負担が増える。長期の運用には向かない

ステップ3:取引先へお知らせを送る

担当が変わったこと、新しい連絡先、いつから切り替わるかを書いたお知らせを送ります。退職者の名前と退職理由を詳しく書く必要はありません。

次のような短い文面で十分です。

お知らせの文面例(架空)

「いつもお世話になっております。◯◯(社員名)は◯月◯日をもって担当を交代いたしました。今後のご連絡は、下記の担当者または共有アドレスまでお願いいたします。しばらくの間は従来のアドレスにも届きますが、お早めにご変更いただけますと幸いです。」

ステップ4:転送で様子を見る

お知らせを送ったあと、一定期間は転送を残して、古いアドレス宛てのメールが残っていないか様子を見ます。期間は取引の頻度で変わります。月に何度もやりとりする相手が多ければ長め、年に数回の相手が中心なら、やや長めに見ておくと安心です。

ステップ5:届かなくなったら削除

転送された先を担当者が確認し、古いアドレス宛ての新しいメールがほとんど来なくなったら、削除に進みます。期限を決めておけば、「いつまでも消せない」状態を避けられます。

このセクションのまとめ

取引先の洗い出し、新しい窓口、お知らせ、転送、削除の順に進めます。お知らせを送ってから転送で様子を見るのが、取りこぼしを防ぐ近道です。

自動で届く通知・各種サービスの登録も見直す

人が書いたメール以外に、システムが自動で送ってくる通知も意外と多くあります。ここを見落とすと、気づかないまま重要な連絡が届かなくなります。

確認する登録先 届いている可能性があるもの 見直しの方法
ホームページの問い合わせフォーム お客様からの問い合わせ通知 通知先を共有アドレスに変更する
ドメイン・サーバーの契約 更新の案内、請求、障害のお知らせ 登録メールを共有アドレスか社長に変更する
広告・SNS・Googleのビジネスプロフィール 審査結果、請求、ログイン通知 管理者を追加し、連絡先を変更する
会計・給与・クラウドの業務サービス 請求書、利用料の通知 登録メールを経理の共有アドレスに変更する
銀行・保険・リース会社 契約更新、取引の通知 担当部署の連絡先を変更する

特にドメイン(ホームページの住所)やサーバーの契約は、登録メールが退職者のアドレスのままだと、更新の案内が届かず、最悪の場合ホームページが止まることもあります。

自社ドメインの所有者は誰か確認する方法を参考に、契約者と連絡先の確認を行ってください。

注意:ログインの認証コードも確認

最近のサービスでは、ログイン時にメールやスマートフォンに認証コードが届く仕組みが増えています。退職者のアドレスや電話番号で認証している場合、削除した途端に管理者が入れなくなることがあります。削除の前に、管理者の登録先を切り替えておきましょう。

このように、ホームページや各種サービスの管理を誰が担当していたかは、退職時の見落としやすい論点です。担当者の退職で何が起こりやすいかは、Web担当者が辞めたときに社長がやることでも整理しています。

このセクションのまとめ

メールの削除前に、問い合わせフォーム・ドメイン・サーバー・業務サービスの登録メールを、共有アドレスか別の担当者へ付け替えます。

共有アドレスへの切り替えを進めるコツ

担当が変わっても続く窓口がほしい場合は、info@ のような共有アドレスが役に立ちます。ただし、作るだけでは機能しません。運用のルールが欠かせません。

共有アドレスの作り方は3通り

方法 内容 向いている会社
別名(エイリアス) 1人のアドレスに別名を追加し、同じ受信箱で受ける 少人数で、1人が窓口を担当する会社
グループ(配信リスト) 1つのアドレス宛てのメールを、複数人に同時に配る 複数人で状況を共有したい会社
共有メールボックス 複数人で同じ受信箱を開き、返信の状況も共有する 問い合わせが多く、対応漏れを避けたい会社

呼び方や機能は、Google Workspace・Microsoft 365・レンタルサーバーで異なります。自社の環境で何ができるか、契約している会社の公式ヘルプか、担当業者に確認してください。

返信のルールを決める

  • 誰が最初に見るか(当番制か、固定の担当者か)
  • 何営業日以内に返信するか
  • 返信済みの目印をどう付けるか(件名の記号、担当者名など)
  • 迷惑メールや営業メールを、どう扱うか

ルールを作ったら、紙1枚にまとめて共有します。難しい表は要りません。誰が見るかと、返信の期限の2点が決まっていれば、運用は回り始めます。

営業メールの多さには備える

info@ のように名前が広く知られているアドレスには、営業メールや迷惑メールがまとまって届きます。大事なメールが埋もれないよう、受信箱の振り分けや、迷惑メールのフィルターの設定を、あわせて確認してください。

問い合わせフォームに営業メールばかり届くときの対策も参考になります。

このセクションのまとめ

共有アドレスは、作ったあとの「誰が見て、いつまでに返すか」のルールが肝心です。ルールは紙1枚で足ります。

自社でやる・任せるの判断軸

作業の中には、社内の担当者で十分なものと、業者や専門家に相談したほうがよいものがあります。社長は、この線引きだけ決めておけば十分です。

作業 自社の担当者でできるか 外部に相談したほうがよい場面
取引先の洗い出しとお知らせ 自社で行うのが基本。取引先を知っているのは社内だけ 特になし
転送設定・アドレスの削除 管理画面に慣れた担当者なら可能 契約の管理者が誰か分からない、ログインできない場合
共有アドレスの設計 小規模なら可能 メールの仕組みが複雑、複数の契約が混在している場合
ドメイン・サーバー契約の連絡先変更 契約者であれば可能 契約者が退職者個人のままの場合
中身の確認範囲・就業規則の整備 社内だけで決めない方がよい 個人情報や通信の秘密に関わるため、社労士・弁護士へ
過去メールの移行(別のサービスへ) 少量なら可能 量が多い、形式が特殊な場合は業者へ

任せる前の一言

業者に頼むときは、「誰のアドレスを・いつまでに・どうしたいか(消す、転送、共有)」を最初に伝えます。方針が決まっていれば、見積もりも早く、費用のぶれも小さくなります。

もし社内に詳しい人がいない場合は、無料相談で現状をお伝えいただければ、自社でできる範囲と、外部に任せる範囲の切り分けをご案内できます。

このセクションのまとめ

取引先への連絡は自社で、契約や設定の不明点は外部へ、中身の扱いは専門家へ。この3つに分けると判断が早くなります。

担当者に渡すチェックリスト

ここからは、社長が担当者にそのまま渡せるチェックリストです。印刷して、退職者が出るたびに使ってください。

退職の1か月前〜退職日まで

  • □ 退職者のアドレスが載っている場所(名刺・見積書・ホームページ・契約書)を一覧にした
  • □ 取引先の担当者名と、頻度の高い相手を一覧にした
  • □ 退職者本人に、自動通知の登録先を聞き取った
  • □ 新しい窓口(担当者・共有アドレス)を決めた
  • □ 取引先へのお知らせの文面を作り、送付日を決めた
  • □ 保存する対象(やりとり、添付、連絡先)と保存先を決めた
  • □ 中身を確認する範囲について、社内の決まりを確認した(不明なら専門家へ相談)

退職日〜1か月後

  • □ 取引先へお知らせを送った
  • □ ホームページの問い合わせ通知先を、共有アドレスに変更した
  • □ ドメイン・サーバー・各種サービスの登録メールを付け替えた
  • □ 管理者のログイン認証先(電話番号、メール)を付け替えた
  • □ 転送設定を入れ、転送の期限を決めた
  • □ 転送先の担当者に、確認の頻度とルールを伝えた

1〜6か月後

  • □ 転送されたメールの内容を確認し、古いアドレス宛ての相手を一覧にした
  • □ 一覧の相手へ、あらためて連絡先の変更をお願いした
  • □ 古いアドレス宛ての新しいメールがほとんど来なくなったか確認した
  • □ 中身の保存が済んでいることを再確認した
  • □ 削除(または停止)を実行し、実施日を記録した
  • □ 費用が止まったか、契約の請求を確認した

担当者へのひとこと

迷ったら削除せず、社長に相談して構いません。メールは、消したあとに困ることはあっても、残したことで困ることは少ない、という順番で考えてください。

このセクションのまとめ

チェックリストは、時期ごとの3段階に分けると使いやすくなります。退職のたびに同じ紙を使えば、担当者が変わっても同じ品質で進められます。

社長が決めておくとよい運用ルール

退職のたびに考えるのではなく、一度ルールを作っておくと、次からは作業だけで済みます。就業規則の変更が必要な内容もあるため、専門家に確認しながら整えてください。

決めること 決め方の例 効果
退職者アドレスの標準的な扱い 「原則、転送◯か月のあとに削除。窓口だった場合は共有アドレスへ」 担当者が迷わず進められる
仕事のやりとりに使うアドレス 会社のアドレスを使い、個人の無料メールは使わない 退職後に取り戻せないやりとりをなくせる
契約・登録の名義 ドメイン・サーバー・各種サービスは会社名義、管理者は2人以上 担当者の退職で止まることを防げる
入社時の説明 会社のメールは業務用であることを説明しておく 中身の確認をめぐる誤解を減らせる
年に1回の棚卸し 使っていないアドレスと、管理者の一覧を確認 放置アドレスと余計な費用を減らせる

特に、管理者を1人にしないことは、メールだけでなくホームページ全般で大切です。担当者が急に辞めても、もう1人が入れる状態にしておけば、止まる心配は大きく減ります。

このセクションのまとめ

原則の扱い・会社名義・管理者2人以上・年1回の棚卸しの4つを決めておくだけで、退職のたびの混乱はかなり減らせます。

AIの活用|洗い出しと文面づくりを助けてもらう

AIは、判断そのものを任せる道具ではありません。ただし、一覧づくりや文面の下書きの手間を減らす点では、中小企業でも役に立ちます。

場面 AIに頼める使い方 人が必ず確認すること
取引先へのお知らせ 状況を伝えて文面の下書きを作ってもらう 相手先ごとの失礼がないか、日付や連絡先は正しいか
チェックリストの作成 自社の環境(Google Workspace など)に合わせて項目を整理してもらう 自社の契約内容と合っているか
送受信履歴からの相手先の抽出 社内で許可された範囲で、頻度の多い相手を整理する 個人情報をAIサービスへ入力してよいか、社内ルールを確認する

注意:個人情報をそのまま入力しない

取引先の氏名やメールアドレスなど、個人情報を含む情報を外部のAIサービスへそのまま入れるのは避けてください。入力してよい範囲は、利用するサービスの規約と社内ルールを確認し、判断に迷う場合は専門家にご相談ください。

AIは便利ですが、最終的な判断は人が行います。Web運用でAIにどこまで任せるかの考え方は、サーバー保守はAIに任せるべきかも参考にしてください。

このセクションのまとめ

AIは「一覧づくり」と「文面の下書き」に使い、個人情報の扱いと最終判断は人が行います。

やってはいけないこと(NOT TO DO)

退職対応で後悔しやすい行動を、5つにまとめました。どれも、現場でよく起こりがちなものです。

  1. 取引先を確認せずに、退職日にアドレスを即削除する。
  2. 期限を決めずに転送を続け、誰も見ない状態にする。
  3. 個人の無料メールで取引先とやりとりしていた状況を、そのままにする。
  4. 退職者の受信箱を、本人に説明なく詳しく読み進める。
  5. ドメイン・サーバー・各種サービスの登録メールを、退職者のアドレスのまま放置する。

この5つを避けるだけで、退職に伴うメールの事故の大半は防げます。完璧を目指すより、「取引先に迷惑をかけない」「後から確認できる」の2点を守りましょう。

このセクションのまとめ

即削除、期限なし転送、個人メールの放置、無断の閲覧、登録メールの放置。この5つだけは避けてください。

架空の事例|ある会社の場合

以下は、よくある状況をもとにした架空の事例です。実在の会社や人物とは関係ありません。

従業員が約30名の設備工事会社(架空)で、事務を10年担当していた社員が退職することになりました。その社員のアドレスは、見積書や請求書に載っており、協力会社とのやりとりも多くありました。

社長は当初「退職日に消してよいのでは」と考えていましたが、総務の担当者が名刺と請求書を確認したところ、複数の取引先に載っていることが分かりました。そこで、次の流れに変更しました。

時期 やったこと
退職の1か月前 取引先の一覧を作り、本人に自動通知の登録先を聞き取った。ホームページの問い合わせ通知先を共有アドレスに変更した
退職日 取引先へお知らせを送付。古いアドレスは、後任の担当者へ転送する設定にした
退職後3か月 転送されたメールを後任が確認。古いアドレス宛ての相手に、再度お願いの連絡をした
退職後半年 古いアドレス宛てのメールがほとんど来なくなったため、保存を再確認したうえで削除した

結果として、請求書の送付先が古いアドレスのままだった協力会社に、早い段階で気づけました。もし退職日に削除していたら、その請求書は届かなかった可能性があります。

このセクションのまとめ

事例のように、名刺・請求書の確認と転送期間の設定があるだけで、取りこぼしのリスクは小さくできます。

よくある質問

Q. 退職者の会社メールは、いつまで残しておけばよいですか。

A. 決まった期間はありません。取引先とのやりとりが多かった場合は、数か月から半年程度を目安に、転送で様子を見る会社が多いようです。取引の頻度と、取引先の切り替えの進み具合で判断してください。

Q. 退職者のメールの中身を、会社は読んでもよいのですか。

A. 業務に必要な範囲かどうか、就業規則や本人への説明の有無などで考え方が変わります。個人情報保護法や通信の秘密にも関わるため、断定はできません。実際に確認する前に、社労士・弁護士などの専門家へご相談ください。

Q. 削除したあとに、メールを復元できますか。

A. サービスによっては、削除後の一定期間は復元できる仕組みがあります。ただし、期間や条件はサービスごとに異なり、期間を過ぎると取り戻せないこともあります。公式ヘルプで確認し、削除の前に中身を保存しておくのが安全です。

Q. アカウントを残すと、費用はかかり続けますか。

A. クラウド型のサービスでは、契約やプランにより、停止後も費用が続く場合があります。管理画面と公式の料金ページで確認してください。レンタルサーバーのメールは、追加の費用が変わらない場合もあります。

Q. info@ のような共有アドレスは、どうやって作りますか。

A. 別名(エイリアス)、グループ、共有メールボックスなど、方法は契約しているサービスによって異なります。自社の環境で何ができるかは、公式ヘルプか担当業者にご確認ください。

Q. 退職者が個人の Gmail で取引先とやりとりしていた場合は、どうすればよいですか。

A. 会社のアドレスではないため、会社だけでは取り戻せません。本人に協力をお願いし、取引先へ新しい窓口をお知らせするのが基本です。以後は会社のアドレスで仕事をするルールにそろえてください。

まとめ|退職のたびに慌てないために

退職者のメールアドレスは、「消すか残すか」ではなく、「取引先との窓口を誰が引き継ぐか」で考えると整理しやすくなります。

  • 社内専用だったアドレスは、中身を保存してから削除してよい。
  • 窓口だったアドレスは、数か月の転送と、取引先へのお知らせを組み合わせる。
  • 問い合わせや受注の受け口は、共有アドレスに切り替える。
  • ドメイン・サーバー・各種サービスの登録メールは、必ず付け替えてから削除する。
  • 中身の確認の範囲は、社労士・弁護士など専門家に確認してから決める。

すべてを一度に整えようとしなくても構いません。次に退職者が出るときに、この記事のチェックリストを1回使ってみる。それだけでも、現場の混乱は大きく減るでしょう。

相談の入口

自社のメールの仕組みが分からない、契約者が誰か不明、担当者に任せてよいか迷う、といったご相談をお受けしています。現状をお聞きして、自社でできることと外部に任せることの切り分けをご案内します。ホームページ全体の状態は、無料のSEO診断からもご確認いただけます。

無料相談

無料のSEO診断はこちら

退職日を軸にした段取り退職の1か月前引き継ぎ先と取引先を洗い出す退職日転送の設定パスワード回収退職後〜3か月転送で届く分を担当者が確認3〜6か月後取引先の連絡先変更を見届けて削除期間は目安です。会社の取引の頻度に合わせて決めます

この記事を書いた人

webcan.jp編集部 主筆 K.Takenouchi。Webディレクター・SEOコンサルタントとして10年以上の現場経験を持ち、大手金融系メディアや医療系コーポレートサイトのコンテンツマーケティング支援、ECサイトの企画運営・KPI設計、月商数百万円から月商1億円規模への成長支援などに携わってきました。

← コラム一覧へ戻る無料相談で相談する →

FROM READING, TO RESULTS.

読むだけでなく、
成果に変えませんか。

御社の状況に合わせた具体的な道筋は、無料相談で。サイトの運用をAIで回す仕組みづくりをご提案します。

無料相談はこちら 完全オンライン・全国対応/売り込みの電話はありません