この記事の要点
ホームページの社長挨拶は、「創業の理由」「お客様への約束」「これから」の3つを順に書けば、飾らなくても信頼される文章になります。長さは600〜1,000字が目安です。写真は、社長が普段の仕事場で、自然な表情で写ったものが向いています。
ホームページに「ごあいさつ」のページを置いたものの、何を書けばよいか分からず、数年前の文章のままになっている会社は少なくありません。社長ご自身で書くのが難しく、制作会社に任せたら、どこかで見たような文面になったという声もよく聞かれます。
この記事では、社長ご本人が書くことを前提に、文章の「型」、業種の違う3つの架空の文例、写真の選び方と撮り方、避けたい書き方、見直しの時期までを順に説明します。専門の知識は要りません。紙とペンがあれば、最初の下書きは30分ほどで作れます。
なお、文例はすべて架空の会社を想定して作ったものです。実在の企業や人物とは関係がありません。そのまま写すのではなく、ご自身の言葉に置き換えるための見本としてお使いください。
社長挨拶は誰が読み、何を確かめているのか
社長挨拶は、会社概要の中でも「人柄」が最も伝わる場所です。読む人によって、確かめたいことが少しずつ違います。まず読み手を知ることが、書き方を決める出発点になります。
読み手は4種類いる
ホームページを訪れる人は、大きく4つに分けて考えると整理しやすくなります。取引先、仕事を探している人、金融機関や保険会社などの関係先、そして新しく依頼を考えているお客様です。
このように、読み手が見ているのは「文章のうまさ」ではありません。社長がどんな考えで仕事をしているか、その言葉に嘘がなさそうか、という点です。むしろ飾った文章より、少し不器用でも本人の言葉のほうが伝わります。
「立派な文章」は求められていない
社長挨拶に、名文や格調の高さは必要ありません。読み手は、会社案内の一部として数十秒で読み流すことが多いためです。大切なのは、読み終えたときに「この人に相談してみようか」と思えるかどうかです。
たとえば、求職者がこのページを読む場面を考えてみます。仕事内容や給与は募集ページで確認できます。社長挨拶で確かめたいのは、職場の空気や、社長が社員をどう見ているかです。取引先が読む場合は、困ったときに誠実に対応してくれる会社かどうかが関心の中心になります。
挨拶ページがない・古いままのときに起きやすいこと
社長挨拶のページがないこと自体が、すぐに問題になるわけではありません。ただ、次のような場面では、あるほうが話が早くなります。
- 初めて取引する相手が、会社の雰囲気を事前に確認したいとき
- 求人に応募する人が、応募前に職場の考え方を知りたいとき
- 金融機関や保険会社の担当者が、経営者の姿勢を確認するとき
- 代替わりの後に、取引先へ新しい社長の人柄を伝えたいとき
一方で、10年前の写真や、すでに退職した社員の名前が載ったままの挨拶文は、かえって「更新されていない会社」という印象を与えます。ページを置くなら、定期的に見直す前提で作ることが大切です。見直しの時期は、後ほど詳しく説明します。
セクションのまとめ:社長挨拶の読み手は、取引先・求職者・関係先・お客様の4種類です。見ているのは文章のうまさではなく、社長の考えと人柄です。
信頼される社長挨拶の「型」|3つの柱で組み立てる
白紙の状態から文章を書き始めると、多くの方が手を止めてしまいます。そこで、順番に答えを埋めていくだけで形になる「型」を使います。柱は3つです。
文字数は、あくまで読みやすさを考えた目安です。決まりがあるわけではありません。一般的な会社案内やホームページの挨拶ページでは、数百字から1,000字前後に収まっているものが多く見られます。短いほうが読まれやすいことは確かです。
柱1:創業の理由(なぜこの仕事を始めたのか)
最初の柱は、会社を始めた、あるいは継いだきっかけです。ここに出来事を一つだけ具体的に書くと、文章に説得力が生まれます。「地域に貢献したい」といった抽象的な言葉より、「前の職場でこんな場面を見て、こうしたいと思った」という一場面のほうが伝わります。
創業者でなく、先代から会社を引き継いだ社長の場合も同じです。継ぐと決めた日のことや、先代から教わった言葉を書くと、会社の歴史と社長の人柄がつながります。
- 創業した年や、始めたときの状況を一文で書く
- きっかけになった出来事や言葉を、一つだけ選ぶ
- 最初に困ったこと、助けられたことがあれば短く添える
- 成功談より、迷ったことや失敗を一つ入れると誠実に見える
柱2:お客様への約束(仕事で守っていること)
二つ目の柱が、挨拶文の中で最も大切な部分です。お客様や取引先が知りたいのは、「この会社は何を守ってくれるのか」だからです。ここでは、目に見える具体的な行動で書きます。
「誠実に対応します」「品質第一です」といった言葉だけでは、どの会社でも言えてしまいます。次のように、行動に置き換えると約束として伝わります。
| 抽象的な書き方 | 行動に置き換えた書き方 |
|---|---|
| 誠実に対応します | ご連絡をいただいた当日中に、必ず一度は返事をします |
| 品質にこだわります | 出荷の前に、必ず二人の目で寸法を確かめます |
| お客様に寄り添います | 見積もりの前に、お客様の話を30分以上お聞きします |
| 地域に貢献します | 地元の学校の職場体験を、毎年受け入れています |
| 丁寧な仕事をします | 工事の終わりに、片付けと掃除を職人が自分の手で行います |
右側の書き方は、その会社が実際に行っていることだけを書く必要があります。守れていないことを書くと、後で信頼を損ないます。実際にやっていることを3つほど書き出し、その中から一つか二つを選ぶとよいでしょう。
柱3:これから(次の数年で大切にしたいこと)
最後の柱は、会社の方向性です。大きな目標を掲げる必要はありません。むしろ、現実的で小さな約束のほうが信頼されます。人手不足の時代に、働く人をどう大切にするか、技術や仕事の進め方をどう受け継ぐかといったことが書きやすい題材です。
終わりは、読んでくれた人への一言で締めます。「お気軽にご相談ください」「一度、工場を見に来てください」など、次の行動を一つだけ案内すると、読み手が動きやすくなります。
ポイント
3つの柱の順番は、創業の理由、お客様への約束、これから、の順が基本です。過去、現在、未来の流れになるため、読み手が自然に理解できます。
一文の長さと文体のルール
社長挨拶は、話しかけるような敬体(です・ます調)で書くのが一般的です。「私は」を使うかどうかは、会社の雰囲気で決めて構いません。ただし、ホームページ上では、一文を60字前後までに収めると読みやすくなります。
- 一つの段落は3〜4文までにして、改行を多めに入れる
- 難しい漢語やカタカナ語より、日常の言葉を選ぶ
- 数字は具体的に書く(「長年」より「創業から38年」のように、事実の数字だけを使う)
- 「〜させていただきます」を連続して使わない
- 最後に社長の肩書きと氏名を入れる
ここで数字を使うときの注意点があります。実績や年数は、必ず自社で確認できる事実だけを書いてください。「業界トップクラス」「お客様満足度の高さ」といった、根拠を示せない表現は避けるほうが安全です。
セクションのまとめ:3つの柱は、創業の理由、お客様への約束、これからの順です。約束は抽象語でなく、行動で書くと信頼されます。
業種別の文例|架空の3社で見る書き方
型が分かったところで、実際の文章を見てみます。以下の3例は、いずれも架空の会社を想定して作成しました。文章の運びと、どこに具体的な話を入れているかに注目してください。
文例1:金属部品の加工会社(従業員30名)
製造業の場合は、品質と納期への姿勢、そして技術を次の世代へどうつなぐかが、読み手の関心になりやすい業種です。
架空の文例:A金属加工株式会社
ホームページをご覧いただき、ありがとうございます。
当社は、私の父が自宅の裏の小さな作業場で始めた、金属の部品づくりが出発点です。子どもの頃、油の匂いのする作業場で、父が一つの部品を何度も測り直す姿を見ていました。「数字は嘘をつかないが、測る人の気持ちは嘘をつく」という父の言葉は、今も事務所の壁に貼ってあります。
お客様へのお約束は三つです。一つ目は、出荷の前に必ず二人の目で寸法を確かめること。二つ目は、納期に間に合わないと分かった時点で、その日のうちにご連絡すること。三つ目は、図面に無理があると感じたら、遠慮せず先にお伝えすることです。
これからの五年は、若い社員に技術を引き継ぐことを一番に考えています。ベテランが培った勘を、写真と言葉で記録し、誰でも学べる形に残す取り組みを少しずつ進めています。
小さな部品一つからでも構いません。図面をお持ちの上で、ぜひ一度ご相談ください。
代表取締役 ○○ ○○
この文例では、父の言葉という一つの場面で創業の理由を伝えています。約束は三つに絞り、いずれも行動で書いてあります。最後に、小さな仕事でも相談できると示し、次の一歩を作っています。
文例2:地域の工務店(従業員12名)
住宅や建築の仕事では、「家という大きな買い物を任せてよい人か」が問われます。技術の話に加えて、暮らし方への考え方を書くと、人柄が伝わります。
架空の文例:B工務店
はじめまして。B工務店の代表です。
私は大工として15年、現場で働いたあとに独立しました。きっかけは、修理で伺ったお宅のお年寄りに「この家は、結局いくらかかったのか、誰にも教えてもらえなかった」と言われたことです。家づくりの話は、お客様に分かる言葉でしなければいけないと、そのとき強く感じました。
当社のお約束は、見積書を専門用語で書かないこと、工事の途中で金額が変わるときは必ず工事の前にご相談すること、そして完成後も、困りごとがあれば電話一本でお伺いすることです。
地域で長く家を守るには、派手さよりも、住まれた後のお付き合いが大切だと考えています。この先も、年に数棟ずつ、顔の見える範囲で仕事を続けていきます。
家のことは、小さな相談から構いません。お近くにお越しの際は、事務所へお立ち寄りください。
代表取締役 ○○ ○○
「年に数棟ずつ」という書き方は、規模を誇るのではなく、目の届く範囲で仕事をするという姿勢を示しています。大きさを競わない会社の持ち味が、そのまま強みとして伝わります。
文例3:食品の卸売会社(従業員50名)
卸売業は、お客様が個人ではなく店や事業者であることが多く、「困ったときに頼れるか」が信頼の中心になります。社員への姿勢も、取引先に伝わりやすい題材です。
架空の文例:C食品株式会社
C食品のホームページへようこそ。
創業の頃、私の祖父は、天候の悪い朝でも飲食店へ食材を届けていました。「店の仕込みは待ってくれない」というのが祖父の口癖でした。この言葉を受け継ぎ、当社は今も、注文の締め切り時間を守ることと、欠品が出たときの代わりの提案を、一番大切にしています。
お客様へのお約束は、朝の配送時間を15分単位でお伝えすること、欠品の見込みが分かった時点で前日までに連絡すること、そして、新しい食材のご相談には、必ず担当者が試食品を持ってお伺いすることです。
これからは、働く人が長く続けられる会社づくりにも力を入れます。配送の時間帯や休みの取り方を、社員の声を聞きながら少しずつ見直していきます。
食材のことで困ったときは、まず一度ご連絡ください。
代表取締役 ○○ ○○
この文例では、社員の働き方への姿勢を最後に入れています。取引先は、社員が安定して働ける会社を「約束が守られやすい会社」と受け取りやすいためです。求職者にも同じ効果があります。
3つの文例に共通する書き方
| 共通点 | なぜ効果があるのか |
|---|---|
| 一つの場面から始めている | 具体的な出来事は、読み手の記憶に残りやすい |
| 約束を三つ以内に絞っている | 多すぎると、どれも守れなさそうに見える |
| 数字や時間を使っている | 「15分単位」などは、守れているか確かめられる |
| 最後に次の行動を一つ示している | 相談の入口が見え、問い合わせにつながりやすい |
| 大きなことを言っていない | 小さな約束を守る姿勢が、かえって信頼される |
書き出しに使える4つの型
最初の一文で手が止まる場合は、次の4つの書き出しから選ぶと進めやすくなります。どれも、見たまま・聞いたままの事実から入る点が共通しています。
| 書き出しの型 | 例 |
|---|---|
| 先代・恩人の言葉から入る | 「数字は嘘をつかない」という言葉を、今も大切にしています。 |
| 創業の前の経験から入る | 前の職場で、お客様に怒られた日のことが出発点です。 |
| お客様の一言から入る | 「次も同じ人に頼みたい」と言われたことが、今の仕事の支えです。 |
| 日々の習慣から入る | 毎朝、出社したら最初に作業場を一周しています。 |
注意
文例をそのままホームページに載せることは避けてください。他社と文面が似てしまい、検索の評価や信頼感の面でも不利になります。必ずご自身の経験と言葉に置き換えてください。
セクションのまとめ:文例は、一つの場面、三つ以内の約束、次の行動の案内で組み立てられています。自社の実際の話に置き換えて使います。
書く前の準備|社長が30分でできる質問メモ
文章を書き始める前に、次の質問に短いメモで答えておきます。きれいな文にする必要はありません。箇条書きの単語で十分です。メモが10行ほどたまれば、そこから文章を起こすのは難しくありません。
答えておきたい8つの質問
- この仕事を始めた(継いだ)のは、いつ、どんなきっかけでしたか
- 今の仕事で一番うれしかった言葉は何ですか
- その仕事の中で、これだけは譲れないことは何ですか
- お客様から繰り返し言われる「ありがとう」は何についてですか
- 過去に失敗したことで、今の仕事の進め方を変えたことはありますか
- 社員に一番伝えている言葉は何ですか
- 5年後、お客様や社員にどう思われていたいですか
- このページを読んだ人に、最初にどんな行動をしてほしいですか
このうち、1番と2番は、書き出しに使えます。3番と4番は、お客様への約束に直結します。7番は、「これから」の柱の素材になります。8番は、結びの一文です。
口に出して話し、文字に起こす方法
文章を書くのが苦手な社長には、話した内容を文字にする方法が向いています。スマートフォンの録音機能で、質問に答えるつもりで5分ほど話します。その音声を、担当者や制作会社が文字に起こし、整えます。
最近は、音声を自動で文字にするアプリもあり、無料で使えるものがあります。ただし、機械が起こした文字には聞き間違いがつきものです。社長ご自身が最後に読んで確認することが欠かせません。
社内の誰に確認してもらうか
完成した文章は、古くから働く社員一人と、比較的新しい社員一人に読んでもらうと、確認が行き届きます。「事実と違うところはないか」「言い過ぎている部分はないか」を聞くためです。社員が読んで少し照れるくらいが、ちょうど本音の文章になっています。
セクションのまとめ:8つの質問にメモで答えれば、文章の材料はそろいます。書くのが苦手なら、話した内容を文字に起こす方法が向いています。
社長挨拶に載せる写真の選び方と撮り方
社長挨拶では、文章と同じくらい写真が見られています。人は、文章を読む前に顔写真を見て、おおよその印象を決めることが多いからです。ここでは、写真の選び方と、自社で撮るときの工夫を説明します。
どんな写真が信頼につながるのか
信頼されやすいのは、社長が普段の仕事場で、自然な表情で写った写真です。きれいに加工された肖像写真より、作業服や普段のスーツ姿で、事務所や現場を背景にした一枚のほうが、挨拶文の内容とよく合います。
| 写真の種類 | 向いている場面 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 仕事場で撮った上半身の写真 | 製造業・工務店・卸売など、現場のある会社 | 背景の散らかりを事前に片付ける |
| スーツでの正面写真 | 士業・金融・不動産など、堅い印象が合う業種 | 硬すぎると距離を感じさせる。表情は柔らかく |
| 社員と並んだ集合写真 | 社員の多い会社、採用に力を入れたい会社 | 全員の顔が見える距離で、並びすぎない |
| 作業中の写真 | 職人・技術職の会社 | 安全面(保護具や服装)が適切に写っているか確認 |
撮影の基本は「背景・光・目線」の3つ
背景:何が写り込むかを先に確かめる
写真で最も失敗が多いのは背景です。机の上の書類、壁に貼った古い紙、ごみ箱などは、撮影の前に片付けておきます。逆に、会社の仕事を表す道具や製品、看板が自然に写ると、挨拶文の内容を裏付ける効果があります。
個人情報にも気をつけてください。パソコンの画面、顧客名の書かれた書類、車のナンバーなどが写り込んでいないか、撮影後に必ず拡大して確認します。
光:窓際で、顔に光を当てる
スマートフォンの写真でも、光の向きで印象は大きく変わります。窓の近くに立ち、窓の光が顔の正面か斜め前から当たる位置を選びます。窓を背にすると、顔が暗く写り、表情が分かりにくくなります。
蛍光灯の真下は、目の下に影ができやすいため避けます。曇りの日の窓際が、実は柔らかい光になり、人物の撮影には向いています。
目線と表情:カメラを見て、少し口角を上げる
目線は、レンズを見るのが基本です。真顔で撮ると緊張した印象になるため、「撮るよ」の声の直前に息を一度吐いてから、口角を少しだけ上げるとよいでしょう。何枚も撮って、その中から自然な一枚を選びます。
- 最低でも20〜30枚は撮り、その中から1〜2枚を選ぶ
- 撮影者の肩から上の高さで、カメラを目の高さに合わせる
- 服装は、普段仕事で着ている服にアイロンを当てた程度でよい
- 眼鏡の反射が気になるときは、顔の向きを少し変える
- 縦長と横長の両方を撮っておくと、ページの作りが変わったときに使い回せる
自社で撮るか、プロに頼むか
スマートフォンでも、前述のポイントを押さえれば、十分使える写真になります。一方で、採用に力を入れる会社や、会社案内などにも使い回したい場合は、プロの撮影が向いています。
| 選択肢 | 費用の目安 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 自社で撮影 | 0円(機材はスマートフォンのみ) | まず公開を優先したい、小規模な会社 |
| 出張の写真撮影を依頼 | 一般的な出張撮影サービスの料金表では、数万円から、が一つの目安 | 社長と社員の写真をまとめて撮りたい |
| 制作会社とあわせて依頼 | 制作の見積もりに、撮影費が含まれているか要確認 | サイトの全面的な作り直しと同時に進める場合 |
撮影の料金は、地域、撮影時間、枚数、写真の使用範囲によって幅があります。上の数字はあくまで一般的な料金表に見られる目安です。依頼する場合は、必ず複数の撮影者から見積もりを取り、データの使用範囲(ホームページ以外の印刷物に使えるか)まで確認してください。
注意
ホームページの写真は、撮影した人(撮影者)に著作権がある場合があります。外部へ依頼するときは、ホームページ、パンフレット、求人広告での使用が認められているかを、契約書か見積書で必ず確認してください。ネット上で見つけた他人の写真や、無料素材の人物写真を、社長の写真の代わりに使うのは避けてください。
担当者に渡す撮影チェックリスト
撮影を社員に頼むときは、次のチェックリストをそのまま渡してください。社長が操作を覚える必要はありません。
- 背景に、個人情報や古い掲示物が写っていないか確認した
- 窓の光が顔に当たる位置で撮った
- スマートフォンのレンズを、乾いた布で拭いた
- 20枚以上撮り、表情の違うものを比べた
- 縦長と横長の両方を残した
- ホームページへ載せる前に、画像のサイズを小さくした(目安は、横1,200ピクセル前後、容量は1枚500KB以内)
- 元の写真データは、別の場所にも保管した
画像のサイズが大きすぎると、スマートフォンでページが開くのに時間がかかります。表示の遅さは、読む人が離れる原因になりやすいため、載せる前の軽量化は欠かせません。ここで触れた数値は、ホームページ制作の現場で一般的に使われる目安です。詳しくは、制作を依頼している担当者に確認してください。
セクションのまとめ:写真は、普段の仕事場で、背景と光に気をつけて撮ります。自社撮影でも十分使えますが、著作権と個人情報の確認は欠かせません。
やってはいけない書き方|信頼を損なう6つのパターン
良い文章を書くことと同じくらい、避けるべき書き方を知っておくことが大切です。次の6つは、善意で書いたつもりでも、読み手に悪い印象を与えやすいパターンです。
1. 抽象的な美辞麗句だけで埋める
「お客様第一」「感謝の気持ちを忘れず」「誠心誠意」といった言葉だけで文章が終わると、読み手には何も残りません。どの会社の挨拶にも書けてしまう言葉だからです。必ず一つ、その会社でしか言えない場面や行動を入れてください。
2. 実績や数字を、根拠なく大きく見せる
「地域No.1」「業界屈指」「お客様満足度の高さ」などは、根拠が示せないなら書かないほうが安全です。第三者の調査や公的な資料に基づかない順位や評価は、誤解を招き、取引先や求職者との信頼を損ねる可能性があります。事実として確認できる年数や件数だけを書きます。
3. 自慢話と武勇伝が中心になる
創業のご苦労を語ることは大切です。ただ、苦労話や成功談が文章の大半を占めると、読み手は「自分には関係がない」と感じます。話の主役は、あくまでお客様です。社長自身の話は、お客様への約束につなげるための前置きと考えます。
4. 他社や他人の文章を、そのまま借りる
インターネット上の文例や、他社の挨拶文を写して使うと、同じ表現が複数のサイトに並びます。著作権の面でも問題になり得ますし、検索サイトでも評価されにくくなります。参考にするのは構成までにとどめ、言葉は必ず自分のものにしてください。
5. 社員やお客様の名前・話を、許可なく載せる
「先日もお客様の○○様に感謝されました」のように、特定の個人や会社が分かる書き方は、必ず本人の許可を得てから行います。許可が取れない場合は、「あるお客様から」のように、特定できない形にします。
6. 将来の約束を、守れない水準で書く
「3年後には売上を倍にします」「全国に展開します」といった大きな目標は、達成できなかったとき、そのまま記録として残ります。ホームページは長く公開されるため、実際に守れる範囲の約束だけを書きます。
| 避けたい書き方 | 代わりの書き方 |
|---|---|
| お客様第一で頑張ります | ご連絡には、当日中に必ず一度お返事します |
| 地域No.1の実績 | 創業から38年、この地域で仕事を続けています(事実の場合のみ) |
| 苦労の末に成功しました | 最初の3年は赤字でしたが、お客様の紹介で続けてこられました |
| 日本一を目指します | 隣の町のお客様にも、頼られる会社になりたいと考えています |
注意
医療・介護・士業・不動産など、広告の表現に法令やガイドラインの定めがある業種では、「必ず治る」「絶対に安心」のような断定は書かないでください。表現に不安があるときは、公開前に所管の団体や専門家へ確認することをお勧めします。
セクションのまとめ:美辞麗句、根拠のない数字、自慢話、借り物の文章、許可のない個人名、守れない約束の6つは避けます。
AIの使い方|文章づくりは「半分だけ」任せる
近ごろは、文章を作るAIを使って挨拶文を書こうとする方も増えています。AIは便利な道具ですが、社長挨拶では任せ方に注意が必要です。AIが作る文章は整って見える反面、どの会社にも当てはまる内容になりやすいためです。
AIに任せてよいこと
- 社長が話した内容を、読みやすい順番に並べ替える
- 長すぎる文を、60字前後の短い文に分ける
- 誤字や、重複した表現の確認
- 同じ内容を、別の言い回しで3案出してもらう
AIに任せてはいけないこと
- 創業の理由や、お客様への約束の中身を考えさせること
- 社長が語っていない出来事や実績を、補って書かせること
- 最終的な文章を、そのまま公開すること
AIに入力する材料は、前の章で作った8つの質問のメモです。メモを渡して「この内容を、600字の挨拶文の下書きに整えてください」と頼むと、素材が自分のものなので、会社らしさが残ります。出てきた文章は、必ず社長が声に出して読み、自分の言葉でないところを直します。
ポイント
AIは、下書きを整える道具として使います。中身を決めるのは社長です。人の判断を残す「半自動化」が、中小企業にはちょうどよい使い方です。
なお、入力する情報には、顧客名や社内の機密を含めないでください。AIサービスによっては、入力内容が学習などに使われる設定の場合があります。利用規約と設定を確認してから使うことをお勧めします。
セクションのまとめ:AIは文章の整理と推敲に使い、内容の決定と最終確認は社長が行います。機密情報は入力しません。
社長挨拶を見直すタイミング|更新の目安
社長挨拶は、一度書いたら終わりではありません。ただ、頻繁に書き換える必要もありません。見直しのきっかけを決めておくと、「いつの間にか古くなっていた」という状態を防げます。
| タイミング | 見直す内容 | 手間の目安 |
|---|---|---|
| 年に1回(決算期や年始など) | 創業年数、従業員数、所在地、取り組みの事実が合っているか | 社内で15〜30分ほど |
| 社長が交代したとき | 文章と写真の両方を、新社長の言葉で書き直す | 下書き1日、確認を含め1〜2週間ほど |
| 事務所・工場の移転、事業内容の変更 | 所在地、取り扱い内容、写真の背景 | 変更箇所だけなので短時間 |
| 創業◯周年などの節目 | これまでと、これからの柱の書き直し | 1週間ほど |
| 写真の印象が大きく変わったとき | 社長の写真(髪型、眼鏡、体型などが変わったとき) | 撮影を含め半日ほど |
手間の目安は、一般的な中小企業での進め方を想定した大まかな見立てです。会社の規模や、担当者の有無によって変わります。目安としては、年に一度の確認を「社内の定例行事」にしておくと、続けやすくなります。
ホームページ全体の更新と一緒に見直す
挨拶ページだけを単独で更新するのは、つい後回しになりがちです。お知らせの更新や、求人情報の見直しなど、ほかの更新の機会に合わせて確認する形にすると、無理なく続きます。更新の頻度については、ホームページの更新頻度はどれくらい必要かで業種別に整理しています。
月に1時間程度でホームページを管理する方法は、ホームページ管理を月1時間で回すチェックリストにまとめています。社長挨拶の年1回の確認も、そのチェックリストの項目に組み込むと、忘れにくくなります。
セクションのまとめ:文章の全面的な書き直しは節目のときだけです。年に1回、事実の確認を行い、写真は3〜5年を目安に見直します。
挨拶ページの置き方|名前・場所・スマホでの見え方
文章と写真ができたら、ホームページのどこに、どのように置くかを決めます。ここは社長が決めて、実際の作業は担当者や制作会社に任せる部分です。決めるべき点は多くありません。
ページの名前と置き場所
メニューの名前は、「代表挨拶」「社長挨拶」「ごあいさつ」のいずれかにすると、初めて訪れた人にも分かります。「Message」「Greeting」のような英語の表記は、年配の読み手に伝わりにくいため避けます。
| 置き方 | 向いている会社 | 特徴 |
|---|---|---|
| 会社概要ページの冒頭に載せる | ページ数をあまり増やしたくない小規模な会社 | 会社概要と一緒に読まれるので、手間が少ない |
| 独立した「社長挨拶」ページを作る | 採用や、取引先への説明に使いたい会社 | メニューから見つけやすく、写真や文章を広く使える |
| トップページに短い要約を載せ、詳細は別ページへ | 社長の人柄を強みにしたい会社 | 第一印象で伝わり、詳しく知りたい人は別ページに進める |
会社案内として紙のパンフレットも併用している場合は、紙とホームページで挨拶文の内容がずれないようにします。紙とWebの役割分担については、会社案内とホームページはどっち?で考え方を説明しています。
スマートフォンでの見え方を必ず確認する
今は、ホームページをスマートフォンで見る人が多くなっています。文字が小さすぎる、写真が大きすぎて文章が下に追いやられる、といったことがないか、公開前に実際のスマートフォンで確認してください。担当者に頼んで、社長自身の端末でも見てもらうと、実際の印象が分かります。
- 文字の大きさは、眼鏡をかけない状態でも読めるか
- 写真が小さすぎて、表情が分からなくなっていないか
- 段落ごとの行間が詰まりすぎていないか
- 電話番号や問い合わせへのリンクが、文章の最後に見つけられるか
採用や会社の紹介ページとのつながり
求人に応募する人は、社長挨拶と採用ページを行き来して読むことが多くなります。挨拶ページから採用ページへ、採用ページから挨拶ページへ、お互いのリンクを置いておくと、読み手が迷いません。採用向けのページの作り方は、採用サイトの作り方と制作の流れや、中小企業の採用を成功させる方法も参考になります。
建設業や工務店のように、社長の人柄が受注に直結しやすい業種では、挨拶ページの役割はさらに大きくなります。業種ごとの載せ方は、建設業のホームページ制作や、工務店のホームページ制作ガイドで解説しています。
作ってもらうなら、費用の考え方を押さえる
挨拶ページの追加や写真の入れ替えは、ホームページの中でも、比較的軽い作業です。多くの制作会社では、ページ単位や作業時間単位で料金を決めていますが、料金は会社によって大きく異なります。まず、ホームページ制作全体の費用の考え方をホームページ制作の費用・相場ガイドで確認しておくと、見積もりを受け取ったときに判断しやすくなります。
ホームページの全体の作り方から確認したい場合は、ホームページの作り方や、会社のホームページ作成も参考にしてください。
セクションのまとめ:ページ名は分かりやすい日本語にし、置き場所は会社の目的で決めます。公開前にスマートフォンでの見え方を必ず確認します。
よくある質問
社長挨拶についてご相談の多い質問を、まとめて確認します。
Q. 社長挨拶は何字くらいが適切ですか。
目安は600〜1,000字です。スマートフォンで3〜4画面に収まる長さで、読み手が最後まで読みやすい分量といえます。決まった規則があるわけではないため、伝えたいことが少ない場合は400〜500字でも問題ありません。長さより、具体的な場面が一つ入っているかを優先してください。
Q. 文章を書くのが苦手です。どうすればよいでしょうか。
まず、本記事の8つの質問にメモで答えてください。その後、スマートフォンで5分ほど話した内容を録音し、担当者や制作会社に文字へ起こしてもらう方法があります。文章を整える部分はAIや外部に任せてもかまいません。ただし、最終的な内容の確認は、社長ご自身で行ってください。
Q. 社長の顔写真は必ず載せるべきですか。
必須ではありません。ただ、顔写真があるほうが、人柄が伝わり、取引先や求職者に安心感を与えやすいと言われています。どうしても顔を出したくない場合は、仕事中の後ろ姿や手元の写真など、人柄が伝わる別の写真で代えることもできます。
Q. 社員が多い会社でも、社長挨拶は必要ですか。
会社の規模にかかわらず、あると役立つページです。社員数が多い会社ほど、取引先や求職者は、社長がどんな考えで会社を率いているかを知りたいと考えます。社員への姿勢や、働く環境への考え方を一つ入れると、採用面でも効果が期待できます。
Q. 社長が交代したとき、前の社長の挨拶は残してもよいですか。
新社長の挨拶に差し替えるのが基本です。そのうえで、会社の歴史を紹介するページに、前社長の言葉や創業の経緯を残す方法もあります。古い挨拶が現在の社長の名前で残っていると、読み手が混乱するため、肩書きと日付を明記してください。
Q. 文例をそのまま使っても問題ありませんか。
お勧めしません。本記事の文例は架空の会社を想定した見本であり、そのまま使うと他社と似た文章になってしまいます。構成や順番を参考にしつつ、実際の経験と言葉に置き換えて使ってください。
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まとめ:社長挨拶は「型」と「写真」で、飾らず信頼を伝える
社長挨拶は、うまい文章を書くための場所ではなく、社長の考えと人柄を、短く誠実に伝える場所です。型に沿って書けば、飾らなくても十分に伝わります。
- 読み手は、取引先・求職者・関係先・お客様の4種類で、見ているのは人柄と誠実さです
- 文章は「創業の理由」「お客様への約束」「これから」の3つの柱で、600〜1,000字を目安にします
- 約束は抽象語でなく、実際に守っている行動で書きます
- 写真は、普段の仕事場で、背景・光・目線に気をつけて撮ります
- 美辞麗句、根拠のない数字、借り物の文章などは避けます
- 年に1回、事実を確認し、写真は3〜5年を目安に見直します
まずは、8つの質問のうち、最初の2つにだけ答えてみてください。それだけで、挨拶文の書き出しは見えてきます。挨拶ページを含めた会社案内ページ全体の見直しや、制作会社への依頼の進め方で迷われたときは、お気軽にご相談ください。
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この記事の内容を自社に当てはめるとどうなるか。見積もりを取る前の整理から、無料でご相談を受け付けています。売り込みの電話はしません。
webcan.jp編集部 主筆 K.Takenouchi。Webディレクター・SEOコンサルタントとして10年以上の現場経験を持ち、大手金融系メディアや医療系コーポレートサイトのコンテンツマーケティング支援、ECサイトの企画運営・KPI設計、月商数百万円から月商1億円規模への成長支援などに携わってきました。





