この記事の結論
Web制作を外注するときは、会社を探す前に、社長が「目的・予算の幅・締切・決裁者・社内でやること」の5項目をA4用紙1枚に書いてください。この1枚があると、複数の会社に同じ条件で提案をもらえ、見積もりの差も比べやすくなります。料金の相場そのものは、この記事では扱いません。
ホームページを作り直したい、あるいは新しく作りたいと思ったとき、多くの社長が最初にするのは「どこかいい会社はないか」と探すことです。ところが、探し始める前にもう一つだけ済ませておくと、その後の話が驚くほど進みやすくなることがあります。それが、外注先に渡す「依頼書」を1枚にまとめることです。
依頼書というと、大きな会社が作る分厚い書類を想像されるかもしれません。ここで言う依頼書は、そのような立派なものではありません。社長の頭の中にある「こうしたい」「ここまでなら出せる」「この日までに欲しい」を、紙1枚に書き出したものです。
この記事では、書く項目、項目ごとの書き方、そのまま写して使える雛形(架空の会社の例)、渡したあとの進め方までを順に説明します。操作の難しい話は出てきません。ペンと紙、あるいは文書ソフトが1つあれば、1時間ほどで下書きができます(所要時間は目安で、推測を含みます)。
- この記事で分かること:依頼書に書く5つの項目と、それぞれの書き方
- そのまま使える1枚の雛形(架空例)と、書いたあとの確認リスト
- 渡したあとの流れと、やってはいけないこと5つ
- 料金の相場は別の記事に分けています(見積もりの見方・費用の目安へのリンクを本文中に置きました)
依頼書とは何か|外注先に渡す「社長の希望を書いた1枚」
依頼書とは、外注先に「何をお願いしたいか」を伝えるための書類です。難しい言葉では「提案依頼書」や「RFP」と呼ばれることもありますが、中小企業では1枚で十分です。
依頼書がないとき、よく起きること
依頼書がないまま、複数の会社に口頭で相談すると、会社ごとに違う前提で話が進みます。A社には「できるだけ安く」と伝え、B社には「しっかりしたものを」と伝えてしまい、出てきた見積もりを並べても、そもそも比べられない状態になりがちです。
また、打ち合わせのたびに社長が同じ説明を繰り返すことになります。説明のたびに少しずつ言い方が変わり、あとから「最初に聞いた話と違う」というすれ違いが起きることもあります。
| 場面 | 依頼書がないとき | 依頼書があるとき |
|---|---|---|
| 最初の相談 | 毎回ゼロから口頭で説明する | 紙を1枚渡して、質問だけ受ける |
| 見積もりの比較 | 前提がバラバラで比べにくい | 同じ条件の提案が並ぶ |
| 社内への説明 | 記憶と口頭で説明する | 紙を見せれば足りる |
| あとからの食い違い | 言った言わないになりやすい | 紙に戻って確認できる |
| 担当者への引き継ぎ | 社長が毎回同席する | 担当者が紙を持って進められる |
1枚にする理由
ページ数を増やしても、読まれる量は増えません。外注先の担当者も、複数の案件を同時に抱えています。1枚に収めると、読み飛ばされにくくなります。また、1枚に収めようとすると、社長自身が「本当に大事なこと」を選ぶことになります。この作業が、実は依頼書を書く一番の効果だと言えるでしょう。
ポイント
依頼書は「完成した仕様書」ではありません。分からない部分は「分からないので提案してほしい」と書いて構いません。決めている部分と、任せたい部分を分けて見せることが目的です。
この章のまとめ
依頼書は、社長の希望を外注先に同じ形で伝えるための1枚です。分厚い書類は不要で、決めていることと任せたいことを分けて書けば役目を果たします。
書く前に社長が決める5項目|目的・予算の幅・締切・決裁者・社内でやること
依頼書に必ず入れたいのは、次の5項目です。ほかの項目は、この5つが埋まってから足せば十分です。
| 項目 | 何を書くか | 書かないとどうなるか |
|---|---|---|
| 1 目的 | 作ったあとに何が変わってほしいか | 見た目だけの提案が並び、比べる軸がなくなる |
| 2 予算の幅 | 出せる上限と、無理のない目安の幅 | 高すぎる提案や、安すぎて中身が薄い提案が混ざる |
| 3 締切 | いつまでに公開したいか、その理由 | 納期が合わず、直前に慌てて依頼先を変える |
| 4 決裁者 | 最後に「やる」と決める人と、確認に関わる人 | 提案後に「社内で相談します」が続き、話が止まる |
| 5 社内でやること | 写真・原稿・確認など、自社で用意するもの | 外注先の想定と食い違い、進行が止まる |
この5項目は、どれも「外注先が自分で考えても分からないこと」です。外注先は制作の専門家ですが、御社の事情までは知りません。逆に、ページの構成や使う仕組みのような専門的な部分は、外注先に任せるほうが良い結果になりやすいでしょう。
図の左側が、社長が依頼書で決めること。右側が外注先に任せることです。この線引きを先に決めておくと、「どこまで自分で考えなければならないのか」という不安が軽くなります。
この章のまとめ
依頼書の中心は5項目です。専門的な部分は外注先に任せ、社長は目的・お金・期限・決める人・社内の役割という「御社にしか決められないこと」を書きます。
項目ごとの書き方|そのまま使える言い回し付き
ここからは5項目を1つずつ見ていきます。悪い例と良い例を並べますので、御社の状況に合わせて言い換えてください。会社名や数字は、すべて架空の例です。
1 目的|「何のために」を一文で書く
目的は、一文で書きます。「ホームページを新しくしたい」では、目的ではなく作業の名前です。作ったあとに、何がどう変わってほしいのかを書きます。
| 書き方 | 例 |
|---|---|
| 弱い例 | 古くなったので、ホームページを新しくしたい |
| 良い例 | スマートフォンで見る新規のお客様に、サービス内容と問い合わせ方法が伝わるようにしたい |
| 良い例(採用) | 求人を見た人が、会社の雰囲気を確認してから応募できるようにしたい |
| 良い例(問い合わせ) | 見積もり依頼の電話とフォームの数を、今より増やしたい(数値目標は相談して決める) |
数値目標を書くときは、根拠のある数字だけにします。現在の問い合わせ数を把握していないなら、「現在の数は不明です。計測方法の提案もほしい」と書くほうが誠実です。出典のない目標値を書くと、外注先も確認のしようがなく、あとで揉める原因になります。
2 予算の幅|上限と目安を分けて書く
予算は「いくらでできますか」と聞くのではなく、「この幅で考えています」と先に伝えます。幅は2つの数字で示します。無理なく出せる目安と、これ以上は出せない上限です。
- 目安:この金額なら、社内で承認しやすい
- 上限:これを超えるなら、今回は見送る
- 別枠:公開後の更新や保守にかける月々の費用があるか
なお、予算の根拠が分からないときは、同じ内容の依頼で他社がどのくらいの金額を出しているかを、まず見積もりで確かめるのが現実的です。見積もりの項目の見方はホームページ制作の見積もりの見方で整理しています。制作を任せる範囲ごとの費用の考え方はWeb制作の外注・依頼ガイドが参考になります。
注意
予算を「相談してから決めます」と書くと、外注先は上限が分からず、安全のために高めの提案を出すことがあります。逆に、上限を隠したまま「できるだけ安く」と伝えると、必要な作業が削られた提案が来ることもあります。幅を示すほうが、お互いに話が早くなります。
3 締切|日付と、その理由を書く
締切は「できるだけ早く」ではなく、日付で書きます。さらに、その日付になった理由も一言添えます。理由が分かると、外注先は「どこを削れば間に合うか」「どこは削れないか」を判断しやすくなります。
| 項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 公開したい日 | 来年4月1日(新年度の採用活動に間に合わせたいため) |
| 動かせない日 | 展示会が3月10日にあり、その日までに会社案内ページだけは必要 |
| 動かせる日 | 商品紹介の全ページは、4月末までに順次追加でもよい |
「動かせない日」と「動かせる日」を分けるのがコツです。全部を同じ締切にすると、外注先は余裕を見て長めの工期を提示するか、無理な計画になりがちです。優先順位をつけて、段階的に公開する案を出してもらう余地を残しておきましょう。
なお、制作にかかる期間は、ページ数や確認の速さによって大きく変わります。一般的な目安を調べたい場合は、複数の会社に聞いて幅を確かめてください。この記事では期間の数字は示しません。
4 決裁者|最後に「やる」と言う人を書く
外注の話が止まる原因として多いのが、決める人が曖昧なことです。担当者が外注先と打ち合わせを重ね、いざ契約の段階で「社長に確認します」「奥様にも見てもらいます」と話が戻り、数週間止まる。このような経験をされた会社は少なくありません。
依頼書には、次の3つを書きます。
- 最終的に発注を決める人(多くは社長)
- 提案を見て意見を言う人(専務、店長、現場責任者など)
- 社内の窓口になる人(外注先とのやり取りを受ける人)
窓口役の仕事は、Web外注の社内窓口の仕事で詳しく整理しています。担当者に渡す前に、社長が何を決めておくべきかも書いてあります。
ポイント
決裁者の欄には、「提案の説明を聞く場に、この人は必ず同席します」と書いておくと効果的です。社長が説明の場に出ない会社だと、外注先は「最終判断が見えない案件」と感じ、慎重になります。
5 社内でやること|用意するものと確認の役割
外注しても、すべてを任せられるわけではありません。写真の用意、会社の紹介文の確認、商品情報の提供、公開前のチェックなど、社内でしか出せない材料があります。これを最初に書いておかないと、制作が進んだ途中で「材料が届かない」という理由で止まります。
| 社内でやること | 担当者の例 | 期限の決め方 |
|---|---|---|
| 会社概要・代表あいさつの原稿確認 | 社長 | ページ案が届いてから3営業日以内(目安) |
| 商品・サービスの写真の用意 | 現場責任者 | 制作開始の前に渡す |
| お客様の声・実績の提供と掲載許可 | 営業担当 | 許可の取り方も外注先に相談 |
| 公開前の誤字・数字の確認 | 窓口担当者+社長 | 公開予定日の1週間前に確認依頼が来る想定 |
どの程度の時間が社内で必要になるかは、案件によって違います。目安として、週に2時間前後の確認時間を確保しておくと進めやすいことが多いと考えられます(推測であり、規模やページ数で変わります)。この時間を確保できないなら、「社内でやること」を減らしたい旨と、その分を外注先に任せる前提で見積もりを依頼してください。
この章のまとめ
5項目は、悪い例から良い例に書き換えるだけで質が大きく変わります。目的は一文、予算は幅、締切は日付と理由、決裁者は3つの役割、社内作業は担当と期限まで書くのが基本です。
依頼書の雛形|架空の会社の例をそのまま写して使う
ここでは、架空の会社が書いた依頼書の例を示します。実在の会社や人物とは関係ありません。自社の内容に置き換えて、1枚に収まる量に整えてください。
架空の会社は「山川設備工業」(従業員30名、地方都市で水回りの工事を行う会社)です。現在のホームページは10年前に作ったままで、スマートフォンでは見にくい、という状況を想定しています。
| 項目 | 社長が書くこと(架空の例) |
|---|---|
| 依頼の件名 | 会社ホームページのリニューアルに関する提案のお願い |
| 依頼日・連絡先 | 2026年11月10日 窓口:総務の佐藤(電話・メールは別記) |
| 会社の概要 | 従業員30名。水回りのリフォームと設備工事。地元の個人のお客様と、地元の工務店が主な取引先 |
| 現在の状況 | 10年前に制作。スマートフォンで文字が小さい。問い合わせは電話が中心。アクセス数は計測していない |
| 目的 | スマートフォンで調べる新規のお客様に、工事の内容と費用の考え方、問い合わせの方法が伝わるようにする。求人への応募者にも会社の様子を見てもらえるようにする |
| 予算の幅 | 目安:(社内承認が取りやすい金額を記入)、上限:(これ以上は出せない金額を記入)。公開後の月々の費用についても、別途見積もりを依頼したい |
| 締切 | 公開希望:来年4月1日(新年度の求人開始のため)。3月10日の展示会までに、会社案内ページのみ先行して必要 |
| 決裁者 | 最終決定:社長。意見を聞く人:専務、現場責任者。提案の説明には、社長と窓口の佐藤が同席する |
| 社内でやること | 写真(施工事例)の用意は現場責任者。会社概要と代表あいさつの確認は社長。公開前の確認は佐藤と社長。確認は依頼から3営業日以内を目標とする |
| 参考にしたいサイト | (2〜3件のURLと、気に入った点を一言ずつ記入) |
| やらないこと | 予約システムや通販機能は今回は入れない。ブログの毎日更新は行わない |
| 提案してほしいこと | ページの構成案、公開後の更新のしかた、作業の分担、スケジュール、見積もりの内訳 |
| 回答の期限 | 提案書の提出:依頼から2週間後を希望 |
注意
雛形の「予算の幅」は、ここでは金額を伏せています。実際の依頼書では、必ず具体的な金額を記入してください。金額のない依頼書は、提案の質を下げる原因になります。
雛形を自社用にするときの三つの手順
- まず、5項目(目的・予算の幅・締切・決裁者・社内でやること)だけを書く。
- 次に、現在の状況と、やらないことを足す。
- 最後に、1枚に収まっているかを確認し、はみ出した項目は優先順位の低いものから削る。
「やらないこと」を書く意味
依頼書の中で、意外と効果が大きいのが「やらないこと」の欄です。外注先は、親切心から多くの機能を提案してくれます。予約機能、会員機能、ブログ、SNS連携。どれも魅力的に見えますが、すべて入れると費用も運用の手間も膨らみます。
最初に「今回は入れない」と書いておけば、提案が絞り込まれ、比較もしやすくなります。あとから追加することはいつでもできます。中小企業の場合、最初から全部を作るより、必要になったときに足すほうが失敗が少ないと言えるでしょう。
この章のまとめ
雛形は、5項目に現在の状況・やらないこと・提案してほしいことを足した13行の表です。金額は必ず記入し、1枚に収めてください。
依頼書を渡したあとの進め方|質問・提案・比較の流れ
依頼書は書いて終わりではありません。渡したあとの進め方まで決めておくと、判断がぶれにくくなります。
渡す会社の数は2〜3社に絞る
多くの会社に送れば比較の材料は増えますが、窓口担当者の負担が増え、社長も判断に迷います。2〜3社に絞り、同じ依頼書を同じ日に渡すのが現実的です。会社の探し方に迷うときは、契約前に聞く質問リストも使えます。検索対策の業者向けに書いた記事ですが、制作会社との最初の面談でも使える質問が多く入っています。
質問は全社に同じ答えを返す
外注先からは、必ず質問が来ます。「予算の上限は確定ですか」「写真は何点ありますか」といった内容です。ある会社への回答を、ほかの会社にも共有するのが公平です。回答は窓口担当者が一覧に記録しておき、あとで見直せるようにします。
提案が届いたら、表にして比べる
提案書が届いたら、同じ項目で表にして並べます。見る点は次のとおりです。
| 見る点 | 確認すること | メモ欄の例 |
|---|---|---|
| 目的との合致 | 依頼書の目的に対して、何をするのか説明があるか | 目的の言葉を使って説明しているか |
| 範囲 | 何が含まれ、何が別料金か | 更新・保守・写真撮影は別か |
| スケジュール | 締切に合っているか。社内作業の時間を想定しているか | 社内の確認回数は何回か |
| 進め方 | 窓口は誰か。連絡の速さと方法は | 返事までの目安日数 |
| 見積もりの内訳 | 項目ごとに分かれているか | 「一式」が多くないか |
| 公開後 | 更新、問い合わせ対応、費用は | 月額と契約期間 |
金額の比べ方はホームページ制作の見積もりの見方に任せ、ここでは「依頼書の目的に答えているか」を最優先で見てください。安さだけで選ぶと、目的が置き去りになることがあります。
決めたら、理由を一行だけ残す
どの会社に決めたか、なぜその会社にしたかを、依頼書の余白に一行書いておきます。数年後に担当者が代わったとき、「なぜこの会社なのか」が分かると、引き継ぎがとても楽になります。
この章のまとめ
依頼書は2〜3社に同じ日に渡し、質問の回答は全社で揃え、提案は表で比べます。決めた理由は一行だけ記録に残しましょう。
担当者に渡すチェックリスト|書いた依頼書の最終確認
社長が下書きを書いたら、担当者(窓口役)に読んでもらい、分からない所がないか確認してもらうと精度が上がります。以下は、担当者に渡す確認リストです。
- 目的が一文で書かれ、「作業の名前」になっていないか
- 予算が「目安」と「上限」の2つの数字で書かれているか
- 締切が日付で書かれ、動かせない日と動かせる日が分かれているか
- 最終決定をする人と、説明の場に同席する人が書かれているか
- 社内でやることに、担当者名と期限の目安があるか
- 「やらないこと」が1つ以上書かれているか
- 専門用語に、かっこで言い換えが付いているか(例:SSL(通信を守る仕組み))
- 全体がA4用紙1枚(2ページ以内)に収まっているか
- 会社の連絡先と、窓口担当者の名前が書かれているか
- 社外に出してよい情報だけが書かれているか(社内の人件費や取引先の名前などを含めない)
特に最後の項目は大切です。依頼書は社外の複数の会社に渡す書類です。取引先との契約内容、従業員の個人情報、社内の給与額などは書かないようにします。迷ったら、窓口担当者に「これは外に出して大丈夫ですか」と一言聞いてください。
この章のまとめ
チェックリストは10項目です。担当者に読んでもらうと、社長が気づかない説明不足を見つけやすくなります。
やってはいけないこと5つ|依頼書でよくある失敗
依頼書は便利な道具ですが、使い方を誤ると逆効果になります。次の5つは避けてください。
1 予算を隠したまま「見積もりをください」と言う
予算が分からないと、外注先は安全のために幅のある提案を出します。逆に、予算を聞かれて「そちらで決めてください」と返すのも同じです。目安と上限を伝えることは、価格交渉で不利になることではなく、提案の精度を上げるための情報提供です。
2 他社のサイトを「これと同じにして」と書く
気に入った参考サイトを示すこと自体は有効です。ただし、「同じにしてほしい」と書くと、著作権の問題が生じるおそれがあり、外注先も困ります。参考サイトのどこが良かったのか(見やすさ、写真の使い方、問い合わせへの導き方)を言葉で書きましょう。
3 目的が複数あって、優先順位がない
「新規のお客様も増やしたい、求人も強くしたい、既存のお客様向けの情報も載せたい」と全部を同じ重さで書くと、どの提案も焦点がぼやけます。順位を付け、「第一の目的はこれ、第二はこれ」と書いてください。
4 決裁者が違う人に変わる
提案が出てから、「実は会長にも確認が必要で」と新しい人が出てくる。これは最もよくある遅延の原因です。依頼書を書く段階で、関わる人をすべて書き出しておきましょう。
5 渡したあとに、条件を口頭だけで変える
途中で予算や締切が変わることは、現実にはあります。そのときは、必ず依頼書を更新し、全社に同じ内容で伝えます。口頭だけで変えると、会社ごとの前提が再びバラバラになります。
これらに加えて、全部を外注先に任せてしまう「丸投げ」にも注意が必要です。社長が手放してはいけない判断はWebの外注を丸投げして失敗する会社の共通点にまとめています。
この章のまとめ
隠した予算、複数の目的、後から出てくる決裁者、口頭だけの変更が、依頼書の効果を消す主な原因です。
AIを使うと書きやすくなる部分|下書きは任せ、判断は社長が残す
文章を書くのが苦手な方は、AI(文章を作る道具)に下書きを手伝ってもらうのも一つの方法です。ただし、決めるのは社長です。
AIに手伝ってもらうと便利な作業
- 社長の話し言葉のメモを、箇条書きに整える
- 「目的」の一文の言い回しを、3つほど案として出す
- 専門用語に、やさしい言い換えを付ける
- 書いた依頼書の「分かりにくい点」を指摘してもらう
AIに任せてはいけないこと
- 予算の金額を決めること(会社の財布の事情はAIには分かりません)
- 決裁者や社内の分担を決めること
- 取引先の名前や社員の個人情報を入力すること
AIに入力した内容は、サービスによっては学習などに使われる場合があります。社外秘の情報は入れないのが基本です。使うときは、会社名を伏せるなど、個人や取引先が特定されない形で相談してください。
ポイント
AIは「下書き係」、窓口担当者は「確認係」、社長は「決める人」と役割を分けると、手間をかけすぎずに依頼書が仕上がります。
この章のまとめ
AIは文章を整える補助として使い、予算・決裁者・社内分担といった判断は社長が行います。社外秘の情報は入力しないでください。
依頼書を書いても迷うとき|内製・外注・半々の判断
依頼書を書き進めると、「そもそも外注すべきか」という疑問が出ることがあります。それ自体は自然なことです。
社内でどこまでできるか、人件費を含めてどちらが得かは、Webマーケティング内製化 vs 外注で判断の枠組みを整理しています。また、公開後の更新を外注先に頼むときの文面はホームページ更新の依頼の書き方が使えます。制作の依頼書と更新の依頼書は、別のものとして用意しておくと扱いやすくなります。
| 状況 | おすすめの考え方 |
|---|---|
| 何を頼めばいいか分からない | 5項目のうち、目的と社内でやることだけ先に書き、残りは相談する |
| 予算がまだ決まっていない | 幅を決めるために、先に1〜2社へ概算の相談をする |
| 社内に担当者がいない | 社長が窓口を兼ね、決裁者を明記して進める。確認の時間を先に確保する |
| 公開後の運用も頼みたい | 依頼書に「公開後の更新・問い合わせ対応も含めて提案してほしい」と書く |
どの場合でも、完璧な依頼書を目指す必要はありません。60点でも、書かないよりは大幅に進みやすくなります。出した後に外注先から質問が来て、足りない部分が見つかるのは普通のことです。
この章のまとめ
書いても迷うときは、5項目のうち書ける部分だけ先に書き、残りは提案の中で外注先と詰めていく進め方でも構いません。
よくある質問
依頼書についてよくいただく質問に、順番にお答えします。
Q. 依頼書は、どのくらいの長さが適切ですか。
A. A4用紙1枚、多くても2枚が目安です。長くなるほど読み飛ばされやすくなります。詳細が必要な部分は、別紙として「打ち合わせで説明します」と書き、依頼書本体は短くまとめてください。
Q. 予算が決まっていない場合、どう書けばよいですか。
A. 「予算は未確定のため、内容に応じて2〜3段階の案を提案してほしい」と書く方法があります。ただし、上限の目安だけでも書いたほうが、提案の精度は上がります。決められないときは、まず1〜2社に概算を聞いてから幅を決めてください。
Q. 専門用語が分からなくても書けますか。
A. 書けます。依頼書は、専門用語を使う書類ではありません。「スマートフォンで見やすくしたい」「問い合わせが来るようにしたい」といった普通の言葉で十分です。専門的な言い換えは、外注先が提案の中で説明してくれます。
Q. 依頼書は、1社だけに渡す場合にも必要ですか。
A. 必要です。1社だけでも、依頼書があると、打ち合わせの回数が減り、後から条件が変わったときも紙に戻って確認できます。比較する相手がいない分、社内で納得するための材料にもなります。
Q. 依頼書は、相手の会社に見積もりを出してもらうための書類ですか。
A. 見積もりのためだけではありません。目的と条件を共有し、提案を引き出すための書類です。見積もりは提案の一部として出てきます。見積もりの見方は別の記事(ホームページ制作の見積もりの見方)で説明しています。
Q. 社内に担当者がおらず、社長が一人で進める場合は。
A. 決裁者と窓口を同じ人(社長)にして構いません。ただし、確認に使える時間を依頼書に書いておくと、外注先も進め方を調整できます。時間が取れない時期があるなら、その時期も書いてください。
まとめ|今週やることは「5項目を紙に書く」だけです
最後に、この記事の要点を整理します。
- 外注先を探す前に、社長が目的・予算の幅・締切・決裁者・社内でやることをA4用紙1枚に書く
- 予算は目安と上限の2つ、締切は日付と理由、決裁者は3つの役割まで書く
- 雛形の表に自社の内容を入れ、「やらないこと」も1つ以上書く
- 2〜3社に同じ日に渡し、質問の回答は全社で揃え、提案は表で比べる
- AIは下書きの補助にとどめ、判断は社長が行う
依頼書を書く作業は、外注のためだけでなく、会社として「Webに何を期待するのか」を整理する機会にもなります。書いてみると、社長自身が答えを持っていない部分が見つかることがあります。それは悪いことではなく、相談すべき点がはっきりしたということです。
料金の相場や見積もりの比べ方に進みたい場合は、ホームページ制作の見積もりの見方と、Web制作の外注・依頼ガイドをご覧ください。
相談の入口
依頼書の下書きを見てほしい、5項目のどこから決めればよいか分からない、という段階でも構いません。WEBCANでは、地方の中小企業の社長さまからのご相談を、無料でお受けしています。まだ外注先が決まっていない状態でも、お気軽にご連絡ください。
自社サイトの現状を先に知りたい場合は、無料診断もご利用いただけます。
webcan.jp編集部 主筆 K.Takenouchi。Webディレクター・SEOコンサルタントとして10年以上の現場経験を持ち、大手金融系メディアや医療系コーポレートサイトのコンテンツマーケティング支援、ECサイトの企画運営・KPI設計、月商数百万円から月商1億円規模への成長支援などに携わってきました。





