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記事を外注するときの著作権と契約書|社長が入れておく一文と解約後の扱い

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記事を外注するときの著作権と契約書|社長が入れておく一文と解約後の扱い

契約書と記事の原稿を前に、外注の取り決めを確認する場面のイラスト

記事を外注するとき、社長が最初に決めておきたいのは「納品された記事は、誰のものか」「契約をやめたあとも使えるか」「AIを使うかどうかを知らせてもらえるか」の3点です。この記事では、その3点を契約書に入れるときの考え方と文例を、社長向けに整理します。

この記事で分かること(結論)

1. 記事の著作権は、契約に書かないと自社に移らないのが一般的です。自社のものにしたいときは「譲渡する」と書き、第27条・第28条の権利も入れます。

2. 解約後も記事を使い続けたいなら、「解約後も納品済みの記事は利用できる」という一文を入れておけば、後の揉めごとをかなり減らせます。

3. AIの利用は禁止するより「使うかどうかを申告してもらう」条項で足ります。品質の見分け方は別の記事に譲ります。

4. 法律の細かい判断は事案ごとに変わります。契約書の最終確認は、弁護士などの専門家に頼んでください。

なお、この記事は法律相談ではありません。法律の内容は文化庁の公開資料などを出典に、一般的な考え方として紹介しています。実際の契約書は、取引の内容に合わせて専門家に確認してもらってください。

1. 社長が決めること:3つの問いと、自社でやる/任せる

記事の外注は、お金を払って文章を買うように見えます。しかし「文章を買う」と「著作権を買う」は別の話です。ここを混同すると、解約したときに困ることがあります。

社長が自分で決めておくのは、次の3つです。細かい法律の言い回しは、担当者や専門家に任せて構いません。

決めること 社長が自分で決める部分 担当者・専門家に任せる部分
① 誰のものにするか 自社のものにしたいか、使えれば足りるか 譲渡の書き方、条文の確認
② 解約後も使うか やめたあとも記事を残したいか 文言づくり、期間の書き方
③ AIをどう扱うか 申告してもらうか、禁止するか 申告項目の一覧づくり、受け取りの確認

この3つは、金額の大きい契約でなくても決めておく価値があります。一度決めておけば、次に別の外注先と取引するときも同じ型を使えます。

今やる/後でよい/やってはいけない

区分 内容
今やる 新しい外注先と契約する前に、3つの問いに答えを出す。すでに契約中なら、次の更新のときに追記を申し入れる
後でよい 過去に納品された記事の権利整理。ただし、サイトの主力記事は先に確認しておくと安心
やってはいけない 口約束だけで済ませる。「いつもそうしているから」と、相手任せのひな形にそのまま押印する

2. 何も書かないと、記事の著作権はどうなるのか

著作権は、文章や図を創作した人に、創作した時点で自然に生まれます。登録や届け出は要りません。これは著作権法の基本の考え方で、文化庁の著作権の紹介資料にも説明があります。

会社の従業員が仕事として書いた文章は、会社が自分の名前で公表するなど一定の条件を満たすと、会社が著作者になる決まり(職務著作)があります。ただし、これは一般に社内の従業員が対象で、外部の外注先が書いた記事にそのまま当てはまるとは限りません。

つまり、外注先のライターや制作会社が書いた記事は、特に取り決めがなければ、原則として書いた側に著作権が残る、と考えておくほうが安全です。代金を払ったから自社のものになる、とは言い切れません。

「使える」と「持ち主になる」は違います

代金を払って納品を受けた以上、自社サイトに載せるくらいは当然できる、と考えるのが普通の感覚です。実際にも、そのような暗黙の了解が認められる場合はあります。

ただし「どこまで」「いつまで」「他の用途にも」となると、契約に書いていないぶん、後で見解が分かれやすくなります。揉めやすいのは、まさにそこです。

納品された記事の「持ち主」は、契約で3通りに決められますA 譲渡著作権が自社に移る自由に直せる・使える解約後も自社のもの注意:譲渡の書き方に決まりがある(第3章)B 独占的な利用許諾持ち主は外注先のまま自社だけが使える約束期間・範囲を書く注意:解約後の扱いを必ず書いておくC 通常の利用許諾持ち主は外注先のまま自社は使わせてもらう他社にも売られうる注意:一番安くなりやすいが、自由度も一番低いどれが正解ということはなく、記事の使い道と値段で選びます

実際に起きやすい困りごと(架空の例)

ここからは、架空の例です。実在の会社の話ではありません。

従業員40名ほどの工具卸のA社が、外注先に月4本の記事を頼んでいたとします。契約書はなく、発注はメールだけでした。2年後、外注先との関係を見直して契約をやめることにしました。

A社は、これまでの記事をそのまま自社サイトに残すつもりでした。ところが、外注先から「契約が終わったので、記事は削除してほしい」と言われました。契約書がないので、どちらの言い分が正しいのか、A社は判断できません。

このような場面でも、契約書に「納品済みの記事は解約後も利用できる」と一文あれば、話は短く済みます。逆に、外注先が自社の記事を他社にも売っていた、というのも、書面がなければ止めにくい話です。

3. 帰属の決め方:譲渡と利用許諾を比べる

著作権の扱いには、大きく分けて「譲渡」と「利用許諾」があります。譲渡は持ち主が変わること、利用許諾は持ち主はそのままで、使うことを認めてもらうことです。

項目 譲渡(自社が持ち主になる) 独占的な利用許諾 通常の利用許諾
著作権の持ち主 自社 外注先 外注先
自社が使える範囲 基本的に自由 契約で決めた範囲 契約で決めた範囲
外注先が他社に同じ記事を使うこと 持ち主でないので原則できない 契約で禁止できる 禁止されていなければありうる
解約後 自社のものなので使える 契約の書き方しだい 契約の書き方しだい
費用の傾向 高くなりやすい 中間 抑えやすい
向いている記事 会社の看板になる記事、長く使う記事 専門性が高い、他社と被りたくない記事 短期の告知、差し替え前提の記事

費用の傾向は一般的な見方で、実際の金額は外注先ごとに違います。見積もりを取る段階で「譲渡の場合と利用許諾の場合で、金額はどう変わりますか」と聞いてみてください。

譲渡にするときの落とし穴:第27条・第28条

著作権を譲渡する契約で、気をつけたい決まりが1つあります。著作権法第61条第2項は、第27条(翻案権など)と第28条(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)について定めています。これらを譲渡の対象として特に書いていないときは、譲渡した側に残ったと推定する、という内容です。

平たく言うと、「著作権を全部譲渡する」とだけ書いても、記事を書き換えて別の記事にする権利などは、外注先に残ったと見られるおそれがある、ということです。推定ですので、必ずそうなると決まるわけではありません。ですが、争いを避けるには、契約書に第27条・第28条の権利を含むと書いておくのが基本です。

文例:譲渡する場合の帰属条項(案)

納品された記事(文章、図表、写真を含む。以下「成果物」といいます。)に関する著作権(著作権法第27条および第28条に規定する権利を含みます。)は、委託者が受託者に対して代金を全額支払った時に、受託者から委託者へ移転するものとします。

「委託者」は発注する自社、「受託者」は記事を書く外注先のことです。移転の時期を「納品時」にするか「全額支払い後」にするかは、取引の実情に合わせて専門家と相談して決めてください。

もう一つの権利:著作者人格権

著作権とは別に、書いた人には「著作者人格権」という権利があります。名前の出し方を決める権利や、勝手に内容を変えられない権利などです。この権利は、人に譲り渡せない決まりになっています(著作権法第59条)。

そのため、自社で記事を直したり、外注先の名前を出さずに載せたりしたいときは、「著作者人格権を行使しない」と外注先に約束してもらう書き方がよく使われます。譲渡を受けた場合でも、この一文は入れておくのが一般的です。

文例:著作者人格権の不行使

受託者は、成果物について、委託者および委託者が許諾した第三者に対し、著作者人格権を行使しないものとします。

外注先が個人の場合も会社の場合も使われる書き方です。名前を出す約束をしている場合は、その点と矛盾しないよう調整してください。

4. 社長が入れておく一文:場面別の文例集

ここでは、実際に契約書へ入れる一文の例を、場面ごとに紹介します。これはあくまで「考え方の例」で、完成した契約書ではありません。取引の内容に合わせて直し、最後は専門家の確認を受けてください。

社長が契約書に入れておきたい5つの条項1帰属(誰のものか)譲渡か、利用許諾か。移る時期も書く2利用の範囲自社サイト・チラシ・SNSなど、使い道を広めに書く3解約後の扱い使い続けてよいか、外注先は載せてよいか4AI利用の申告使うか、どこまで使うか、事前に知らせる5他人の権利を侵していない保証写真・引用・コピーの有無と、問題時の対応細かい言い回しは、最後に弁護士などの専門家へ確認してください

文例1:利用の範囲を広めに書く

利用許諾の場合は、使い道を狭く書くと、あとで「それはこの契約の範囲外です」と言われかねません。社内で使いそうな場面を、あらかじめ広めに書いておきます。

文例:利用範囲(利用許諾の場合)

委託者は、成果物を、委託者のウェブサイト、メールマガジン、SNS、印刷物、営業資料その他委託者の事業のために、日本国内外で利用できるものとします。受託者は、委託者が成果物を編集、要約、改変して利用することを認めます。

文例2:解約後も使えるようにする

いちばん入れておきたい一文です。契約が終わっても、すでに納品して代金を払った記事は使い続けられる、と書いておきます。

文例:解約後の利用

本契約が終了した後も、委託者は、終了前に納品を受けて代金を支払った成果物を、引き続き従前の範囲で利用できるものとします。

独占的な利用許諾の場合は、「期間の定めなく」と書くか、期間を書くかも決めておきます。

文例3:外注先の実績掲載を整理する

外注先は、自社の実績として、納品した記事や取引先名を載せたがることがあります。無断で載せられると困る会社もあるはずです。載せてよい範囲を決めておきます。

文例:実績の掲載

受託者は、委託者の書面または電子メールによる事前の承諾を得た場合に限り、委託者の社名および成果物を、受託者の実績として公開できるものとします。

文例4:他人の権利を侵していないことの確認

記事の中の写真・図・引用が、他人の権利を侵していないことを、外注先に確認してもらう一文です。詳しい事情は ホームページの写真・イラストの著作権 でも紹介しています。

文例:第三者の権利

受託者は、成果物が第三者の著作権その他の権利を侵害しないものであること、および他の文章、画像、記事を無断で複製したものでないことを保証します。第三者から権利侵害の申し立てがあった場合、受託者は委託者と協力して、その解決にあたります。

費用の負担をどちらにするか(受託者が持つか、折半か)は、取引の金額に応じて別に決めます。

文例5:修正対応の約束

納品された記事に事実の間違いなどがあった場合、いつまで、何回まで直してもらえるかも決めておきます。確認の方法は 外注した記事の納品チェック にまとめています。

文例:修正対応

委託者は、納品後30日以内に、成果物の誤りや不備を受託者に通知することができ、受託者は合理的な期間内に無償で修正するものとします。

「30日」は例です。記事の本数や確認にかかる時間で決めてください。

5. 解約後の扱い:場面ごとに決めておくこと

契約をやめるときは、お互い気持ちに余裕がないことが多いものです。だからこそ、始める時点で解約後の扱いを決めておくと、後でお互いに楽になります。

契約で「いつ・何が決まるか」を時間の順に並べた図発注納品代金の支払い契約の途中解約①帰属と範囲誰のものか何に使えるかAI利用の申告②移る時期納品時か全額の支払い後かを決める③直す・変える自社で直してよいか名前の出し方を決める④解約後の扱い使い続けられるか外注先の実績掲載を決める揉めやすいのは②と④です。ここを空白にしないのが一番の備えです
場面 決めておくこと ひとこと
解約前に納品済み・代金を支払い済みの記事 引き続き使えるか 最も大事。「使える」と書く
納品済みだが、代金が未払いの記事 使ってよいか、権利がいつ移るか 支払い後に移る、と書くのが一般的
書きかけで未納品の記事 どこまで払うか、途中の原稿の扱い 出来高の払い方も書いておく
外注先が過去記事を実績として載せる 載せてよいか、社名を出してよいか 事前承諾の形にすると安心
解約後の記事の修正 外注先に頼めるか、自社で直せるか 自社で直せると書いておく
解約後の外注先の使い回し 同じ内容を他社に使わないか 独占にしたいなら明記する

この表の中で、特に大事なのは1行目です。ほかの事項を決めきれなくても、1行目だけは必ず書面にしておいてください。

解約の申し出方法や、契約期間の縛りについては、検索対策の契約の縛りと解約条件 で、確認する項目を整理しています。記事の外注でも、同じ考え方が使えます。

支払いと権利の移るタイミング

譲渡を受ける場合、権利がいつ移るかも決めておきます。主な選び方は2つです。

移る時期 メリット 注意点
納品した時 自社はすぐ自由に使える 代金を払う前に権利が移るので、外注先は不安に思うことがある
代金を全額支払った時 外注先が安心しやすく、話がまとまりやすい 支払いが遅れると、使えるかどうかが曖昧になる

外注先と合意しやすいのは、全額支払い時に移る形です。代金が払われるまで権利が手元に残るので、外注先が安心できるためです。ただし、広告やキャンペーンなど、納品後すぐ使いたい事情があるときは、「納品後すぐに使ってよい」と別に書いておきます。

6. AI利用の申告条項:知らないまま受け取らないための一文

近ごろは、外注先が記事づくりの一部に生成AIを使うことも珍しくありません。社長が確認したいのは、AIを使ったかどうかを知らされないまま、記事を受け取らないことです。

ここでは、契約書に入れる申告条項だけを扱います。AIで書かれた記事の質をどう見抜くかは、別の記事に譲ります。品質の面については AI記事の事実確認をGoogleが明記 や AI記事のSEO評価の条件 が参考になります。

申告してもらう項目の例

項目 聞くこと 理由
使うかどうか 記事づくりにAIを使うか、使わないか まず事実を知るため
使う範囲 構成案だけか、下書きか、全文か 責任の所在を明らかにするため
ツール名 どのAIサービスを使ったか 後から確認できるようにするため
情報の入力 当社の取引先名や非公開情報を入力しないか 情報が外に出ないようにするため
人による確認 事実や数字を、人が確認したか 最終の責任を外注先に持たせるため

文例:AI利用の申告

受託者は、成果物の作成に生成AIを利用する場合、事前にその旨を委託者に書面または電子メールで通知します。通知には、利用するツール名および利用の範囲を含めるものとします。受託者は、委託者から提供を受けた非公開情報および個人情報を、生成AIに入力してはならないものとします。

「禁止」と書くか「申告」と書くかは、社長の考え方しだいです。禁止にすると、守られているか確認する手間が増えます。まず申告から始めると、運用の負担が小さく済みます。

なお、確認者の記名や証拠の添付といった運用の細かい点は、この記事では扱いません。ここでは契約書に入れる一文に絞っています。

AIを使った記事の権利は、どう考えるか

令和6年3月15日に、文化審議会 著作権分科会 法制度小委員会が「AIと著作権に関する考え方について」を取りまとめ、文化庁のサイトで公開されています。その中で、生成AIの出力が著作物にあたるかどうかは、人がどのように創作に関わったか(指示の工夫や、出力の選び方、手直しなど)を見て、個別に判断される、という整理が示されています。

これは、「AIで作った部分には著作権が生まれない場合があり得る」ということでもあります。その場合、契約書で「著作権を譲渡する」と書いても、もともと権利が生じていない部分については、譲渡の対象になりません。

だから、AIの利用を申告してもらうのと同時に、「納品された成果物は、権利の有無にかかわらず、自社が自由に利用できる」という趣旨の一文を入れておくと、ずれを減らせます。

文例:権利の有無にかかわらない利用

成果物の全部または一部について著作権が成立しない場合であっても、委託者は、当該成果物を第三者の権利を侵害しない限りにおいて、自由に利用できるものとします。

この種の書き方が自社の取引に合うか、他の条項と矛盾しないかは、専門家に確認してください。

AIの使用を禁止したい場合

社長の方針として、AIを使わず人が書いた記事だけを受け取りたい場合もあるでしょう。そのときは、申告条項の代わりに、使用を禁止し、違反が分かったときの対応(やり直し、返金など)を書きます。

ただし、AI機能が組み込まれた文章校正ツールなどは範囲が曖昧になりがちです。どこまでを禁止するかは、外注先と話し合ってから決めるほうが、お互いに誤解がありません。

7. 契約書をだれが作るか:自社でやる/任せる

契約書の準備には、いくつかの方法があります。金額の大きさと、取引を続ける長さで選んでください。

方法 向いている場面 注意点
外注先のひな形を確認する 少額、短期の取引 外注先に有利な内容になりがち。3つの問いが書かれているか自分で確認する
文化庁の契約書作成支援システムで案をつくる 少額で、自社の意向を伝えたいとき 提供されるのは案。内容を理解して使うこと、と案内されている
弁護士などに契約書を見てもらう 継続的な取引、金額が大きい取引 相談できる専門家がいない場合は、商工会議所などの相談窓口も手がかりに
自社の定型契約書を作ってもらう 複数の外注先と取引する会社 一度作れば、使い回せる。数年に一度見直す

文化庁は、著作権に関する契約書の案を作成できる「著作権契約書作成支援システム」を公開しています。原稿の執筆に関するひな形も含まれています。ただし、このシステムは主に個人どうしなど一般の方を想定したもので、著作権の譲渡のように提供されていないひな形もあります。事業での取引にそのまま使えるとは限りません。

担当者に渡すチェックリスト

社長が方針を決めたら、次のリストを担当者に渡し、外注先との確認を進めてもらいます。

  1. 契約書または発注書に、記事の著作権をどう扱うかが書かれているか。
  2. 譲渡の場合、第27条・第28条の権利が含まれると書かれているか。
  3. 著作者人格権を行使しない旨が書かれているか。
  4. 解約後も、納品済み・支払い済みの記事を使えると書かれているか。
  5. 外注先が、自社の記事を実績として公開するときの条件が書かれているか。
  6. 他人の権利(写真・引用・コピー)を侵していない旨の確認があるか。
  7. AIの利用について、事前の申告が求められているか。
  8. 修正の依頼を、いつまで・何回まで頼めるかが書かれているか。
  9. 契約書の最終確認を、専門家に依頼したか。

この9項目が全部そろっていれば、完璧な契約書だと言いたいわけではありません。「何が書かれていないか」を見つけるための道具として使ってください。

8. 外注先を選ぶときの聞き方:契約前の3つの質問

契約書を作る前に、外注先に口頭やメールで次の3つを聞いておくと、相手の考え方が分かります。答え方に誠実さが表れます。

質問 良い答えの例 様子を見たほうがよい答え
納品した記事の権利は、どうなりますか 選択肢を示し、費用の違いも説明してくれる 「うちは全部こうです」と選択肢を示さない
契約をやめたとき、記事はどうなりますか 解約後も使えると、すぐに答えられる 「その時に相談で」と答えをぼかす
記事づくりにAIを使いますか 使う場合の範囲と確認方法を説明してくれる 「企業秘密です」と答えない

外注先の選び方全体については、記事作成代行の選び方 が参考になります。契約の細かい条項より先に、まず「何を、どこまで任せるか」を決めておくほうが、契約書の中身も決めやすくなります。

また、丸投げにしてしまうと、こうした権利の確認も後回しになりがちです。Webの外注を丸投げして失敗する会社の共通点 では、社長が手放してはいけない判断をまとめています。

9. すでに外注中の場合:契約書がないときの進め方

「実はもう2年も、契約書なしで頼んでいる」という会社もあるはずです。そのこと自体を、責める必要はありません。今から整えれば間に合います。

  1. 外注先との発注のやり取り(メールなど)を、保存しておく。
  2. 主力の記事の一覧を作り、いつ・だれが書いたかを整理する。
  3. 外注先に「記事の権利について、一度書面で確認させてください」と丁寧に切り出す。
  4. 解約後の利用と、AI利用の申告の2点だけでも、まず文書にする。
  5. 金額が大きい場合は、弁護士などの専門家に見てもらう。

切り出し方は、「問題が起きたから」ではなく「会社の方針として、取引先すべてにお願いしている」と伝えるのが穏やかです。外注先も、権利を整理したいと思っていることがよくあります。

メールの文例:書面での確認をお願いする

平素よりお世話になっております。今後も長くお付き合いしたく、納品いただく記事の取り扱いについて、書面で整理させていただきたく存じます。帰属、解約後の利用、AIの利用の3点について、ご意見をお聞かせいただけますでしょうか。ご都合のよい日時をお知らせください。

10. 社長がよく迷うポイント:整理表

迷うこと 考え方の目安
譲渡にすべきか 会社の看板になる記事や、長く使う記事は譲渡を検討。短期のものは利用許諾で十分なことが多い
費用は上がるか 譲渡のほうが高くなる傾向がある。見積もりで両方の金額を出してもらう
外注先の名前を出すか 出す約束があれば、その旨を書く。出さないなら、人格権の不行使を入れる
AIを禁止すべきか まず申告から。必要に応じて、運用しながら禁止に切り替える
弁護士費用が心配 契約書の確認だけなら、すべてを任せるより費用は抑えやすい。見積もりを取って比べる
口約束でもよいか 記録が残る形(メール、書面)にする。口頭だけは後で確認できない

弁護士費用などの金額は、事務所や内容によって大きく違い、一般的な相場を示せる根拠が手元にありません。数字が気になるときは、気軽な相談枠や商工会議所などの窓口で、見積もりの目安を聞いてみてください。

11. 出典と参考資料

この記事の法律に関する説明は、以下の公開資料を参考にしています。条文や運用は改正されることがあるため、実際に契約するときは最新の内容をご確認ください。

文例は、考え方を伝えるための一般的な書き方の例で、特定の取引に適した内容とは限りません。実際に使う前に、必ず弁護士などの専門家に確認してください。

12. まとめ:社長が今日決めること

  • 記事の著作権は、契約に書かないと自社に移らないのが一般的。自社のものにしたいなら「譲渡」と書き、第27条・第28条を含める。
  • 解約後も記事を使いたいなら、「納品済み・支払い済みの成果物は解約後も利用できる」と一文入れる。
  • AIの利用は、禁止より先に「事前の申告」を求める。品質の見分けは別の記事で確認する。
  • 契約書の最終確認は、弁護士などの専門家に頼む。少額のときは、文化庁の契約書作成支援システムで案をつくる手もある。
  • 契約書がない現状も、次の更新のときに整えれば間に合う。

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よくある質問

Q. 記事を外注すると、納品された記事の著作権は自動的に自社のものになりますか。

A. 自動では移らないのが一般的です。著作権は、記事を書いた人(外注先)に生まれます。代金を払っても、契約に書かなければ「著作権が移る」とは限りません。自社のものにしたいときは、契約書に譲渡すると書き、第27条・第28条の権利も含めると明記します。最終的な言い回しは弁護士などの専門家にご確認ください。

Q. 契約を解約したあとも、納品済みの記事を自社サイトに載せ続けられますか。

A. 契約書の書き方しだいです。著作権の譲渡を受けていれば、基本的に載せ続けられます。利用許諾だけの場合は、解約後も使えると書いていないと、使い続けてよいかが曖昧になります。解約後も既存の記事は利用できる、と一文入れておくのが安全です。

Q. 外注先がAIを使って書いたかどうかを、契約書で確認できますか。

A. できます。AIを使うかどうか、使う範囲、使ったツール名、取引先の情報を入力しないことなどを申告してもらう条項を入れます。確認の目的は、使うことを禁じることではなく、知らないまま納品を受けない状態をつくることです。

Q. AIが書いた記事にも、著作権はありますか。

A. 一概には言えません。文化庁の資料では、生成AIの出力が著作物にあたるかは、人がどのように創作に関わったかなどを見て個別に判断される、という考え方が示されています。そのため、「帰属」の条項だけに頼らず、「自由に使ってよい」という利用条項も合わせて入れておくと安心です。

Q. 契約書のひな形は自分で作ってよいですか、それとも弁護士に頼むべきですか。

A. 文化庁が公開している契約書作成支援システムで、ひな形の案をつくることはできます。ただし提供されるのは案で、内容を理解して使うことが前提とされています。金額が大きい取引や、長く続ける取引は、最後に弁護士などへ一度見てもらうと安心です。

Q. 外注先が契約書を出してこない場合はどうすればよいですか。

A. 自社から「この3点を書面で確認させてください」と申し出て構いません。帰属、解約後の利用、AI利用の申告の3点です。メールでの合意でも記録は残りますが、後から読み返せる形にしておくことが大切です。

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