ホームページ運用2026.10.12

ホームページの事業承継|後継者に渡すドメイン・サーバー等の管理情報一覧

経営者から後継者へ、ホームページの管理情報を引き継ぐイメージ

この記事の要点

ホームページの事業承継で大切なのは、デザインよりも「誰の名義で、誰が管理しているか」の整理です。ドメイン、サーバー、更新システム、Googleの店舗情報、SNS、広告、制作会社との契約を一覧表にして、承継の3年前から順に確認すれば、引き継ぎ漏れはほぼ防げます。この記事では、その一覧表と進め方をお渡しします。

会社を後継者に引き継ぐとき、社長が気にされるのは、株式、取引先、従業員、設備といったところだと思います。ホームページやインターネット上の情報は、後回しにされやすい分野です。

ところが、社長が長年「担当者任せ」「制作会社任せ」にしてきたホームページには、名義や契約が社長個人や昔の担当者のままになっていることが少なくありません。引き継ぎの最後に気づくと、手間もお金もかかります。

この記事は、60代以上の経営者の方が、後継者や社内の担当者に「何を」「いつ」「どう」渡せばよいかを、落ち着いて整理できるように書いています。専門用語は、そのつど言い換えます。細かい操作は担当者に任せる前提で、社長が決めるべき判断だけを中心にまとめました。

なお、事業承継そのものの手続きや税務、株式の扱いは、この記事の対象外です。そちらは税理士・弁護士・商工会議所・公的な支援機関などの専門家にご相談ください。ここでは、ホームページとWebまわりの「管理情報の引き継ぎ」だけを扱います。

ホームページが事業承継で見落とされやすい理由

最初に、なぜホームページの引き継ぎが漏れやすいのかを整理します。理由が分かると、どこを重点的に確認すべきかが見えてきます。

目に見えない契約が、複数の会社にまたがっている

ホームページは、一つの持ち物ではありません。住所にあたる「ドメイン」、土地にあたる「サーバー」、建物にあたる「サイト本体」の3つが、別々の会社と契約になっていることがよくあります。

さらに、Googleの店舗情報、SNS、広告、アクセス解析、会社のメールなども、それぞれ別のアカウントで動いています。契約先が5社、6社と増えるため、全体像を知っている人が社内にいないことも珍しくありません。

作った人と、いま管理している人が違う

ホームページを作ったのは10年前の制作会社で、設定をしたのは辞めた社員、お金を払っているのは経理担当、というケースがあります。名義と実務がバラバラになるのです。

承継のときに「このサイトは誰のものか」「更新は誰が頼めるのか」と聞かれて、即答できる人がいない状態になります。

社長個人のメールアドレスやクレジットカードに紐づいている

小規模な会社ほど、ドメインやサーバーの契約が社長個人のメールアドレス、個人名義のクレジットカードで行われています。社長が退任すると、更新の通知が届かなくなったり、カードの切り替えで支払いが止まったりすることがあります。

見落とされる理由 具体的な状態 承継で起きやすいこと
契約先が複数 ドメイン・サーバー・制作会社・広告などが別会社 どこに連絡すればよいか分からない
名義が人に付いている 社長個人や退職者のアカウント 本人しかログインできず手続きが止まる
通知が社長宛 更新案内が社長の個人メールに届く 後継者が更新時期を知らないまま失効する
支払いが個人カード 社長のカードで自動更新 カード解約や失効で突然停止する
口約束の運用 制作会社との契約書や仕様書がない サイトの権利関係や更新範囲が不明

ポイント

ホームページの引き継ぎは「サイトの見た目」ではなく「名義・窓口・支払い」の3点の整理です。この3点が分かれば、見た目は後からいくらでも直せます。

セクションのまとめ:ホームページは複数の契約と複数のアカウントの集まりで、名義・窓口・支払いが人に付いているほど、承継のときに止まりやすくなります。

後継者に渡す管理情報の一覧表

ここからが中心の内容です。後継者に渡すべき項目を、一覧にしました。社長ご自身で埋める必要はありません。担当者や制作会社に、この表を渡して埋めてもらう使い方がおすすめです。

名義が会社のとき名義が個人・他社のとき・契約者が会社名・連絡先が共通メール・支払いは会社の口座・担当者が替わっても手続き可引き継ぎは名簿の更新だけ・契約者が社長個人や退職者・連絡先が個人のメール・支払いは個人のカード・本人しか手続きできない名義変更や再契約が必要まず「どちらのタイプか」を項目ごとに確認します

一覧表(社長が決めるのは「誰に渡すか」だけ)

項目 何のためのものか 確認すること 名義が個人だった場合のリスク
ドメイン ホームページの住所(例 ○○.co.jp) 登録会社・名義人・更新期限・自動更新の可否 失効するとサイトとメールが同時に止まる
サーバー サイトのデータを置く場所 契約会社・プラン・料金・更新期限・管理画面の入口 解約や支払い停止でサイトが消える
更新システム(CMS) お知らせを書き換える管理画面 種類(WordPressなど)・管理者アカウント・バックアップ 本人以外が更新できず情報が古くなる
会社メール ○○@会社のドメイン アカウント一覧・管理者・転送設定 退職者宛の問い合わせが見えなくなる
Googleの店舗情報 地図検索に出る会社の情報 オーナーの権限・管理者の人数・登録メール オーナー確認の再取得に手間がかかる
SNS Instagram・Facebook・X・LINEなど 管理者・ログイン用のメール・電話番号 本人確認が通らず乗っ取りと同じ状態になる
広告アカウント 検索広告・SNS広告など 請求先・支払い方法・運用会社の権限 広告費が止まる、または請求が個人に届く
アクセス解析・Search Console アクセス状況の確認 閲覧権限・所有者の登録 過去の数字が引き継げない
制作会社・保守会社との契約 制作・更新・保守 契約書・料金・解約条件・権利の帰属 サイトの権利や更新が制作会社に握られる
画像・文章などの素材 写真・ロゴ・原稿 元データの保管場所 再制作のときに素材が手元にない

この表の「確認すること」が、そのまま引き継ぎシートの項目になります。後の章で、項目ごとに社長が決めるべき判断を説明します。

セクションのまとめ:渡す対象は10項目前後に整理でき、どの項目も「名義」「窓口」「期限」「支払い」を確認すれば足ります。

項目別の確認ポイントと判断軸

一覧表の項目のうち、特に事故につながりやすいものを選んで、社長の判断軸を添えて説明します。操作の細かい手順は、担当者にお任せして大丈夫です。

ドメイン:最優先で名義と期限を確認する

ドメインは、ホームページの住所であり、会社のメールアドレスの一部でもあります。失効するとサイトも会社メールも止まるため、承継の確認では最優先です。

確認の順番は、登録している会社、契約者名、更新期限、自動更新の設定、支払い方法の5つです。更新に関する基本は、ドメインの更新を忘れるとどうなるかの記事で詳しくまとめています。

  • 契約者が会社名か、社長個人か
  • 更新の案内メールがどのアドレスに届くか
  • 自動更新がオンか、支払いカードの有効期限はいつか
  • 登録会社の管理画面にログインできる人が、会社に2人以上いるか

ポイント

ドメインは「会社の持ち物として会社名義で持つ」が原則です。個人名義だった場合は、承継の前に登録会社の手続きで会社名義へ変更できるかを、早めに確認しておきます。手続きの可否や条件は登録会社ごとに異なります。

サーバー:契約会社と料金を一枚にまとめる

サーバーは、サイトのデータを置いている場所です。契約会社を特定できないまま、料金だけが毎月引き落とされているケースもあります。

引き落とし明細から契約会社を探す方法もありますが、まずは制作会社に聞くのが近道です。契約の見直し方は、レンタルサーバーの選び方と契約確認の基本を参考にしてください。

更新システム(CMS):管理者を2人以上にする

お知らせやブログを書き換える管理画面を、更新システム(CMS)と呼びます。WordPressが代表的です。ここで重要なのは、管理者権限を持つ人が1人だけになっていないかという点です。

管理者が社長1人、または退職した社員1人だけという状態は、承継のときに最も困ります。後継者と、社内の担当者の2人以上に、管理者の権限を付けておくと安心です。パスワードを共有するのではなく、人ごとのアカウントを作るのが基本です。

Googleの店舗情報:オーナー権限を後継者にも付ける

地図検索に表示される会社や店舗の情報は、Googleビジネスプロフィールで管理します。オーナー権限が社長1人のアカウントにだけ付いていると、社長が退任した後に、営業時間の変更や口コミへの返信ができなくなります。

登録の考え方はGoogleビジネスプロフィール登録の手順で説明しています。承継では、後継者を「オーナー」または「管理者」として追加し、権限の種類を確認しておくことが大切です。

SNS:ログイン用のメールと電話番号を確認する

SNSは、アカウントを作ったときのメールアドレスや電話番号で本人確認をします。社長の個人の携帯電話番号で登録されていると、番号を解約した後にログインできなくなることがあります。

会社の公式アカウントは、会社の共通メールアドレスで管理する形に整えておくと、担当者が替わっても引き継げます。SNSごとの仕組みは変わりやすいため、各サービスの公式ヘルプで現在の手順を確認してください。

広告アカウント:請求先と支払い方法を確認する

検索広告やSNS広告を使っている場合は、請求先と支払い方法を確認します。広告費が社長個人のカードから引き落とされていると、承継のときに突然止まったり、経費の扱いが不透明になったりします。

広告を運用会社に任せている場合は、アカウントの所有者が自社か運用会社かを必ず確認してください。所有者が運用会社だと、契約を終えたときに過去のデータを持ち出せないことがあります。

制作会社・保守会社との契約:権利と解約条件を読む

制作会社との契約書は、承継のときに必ず読み直したい書類です。確認する点は、サイトのデータや画像の権利が誰に帰属するか、保守契約の期間と解約の条件、更新の依頼ができる範囲の3つです。

契約書が見つからない場合でも、慌てる必要はありません。請求書と、メールのやりとりを集めて、現在の取引内容を担当者に整理してもらいます。法的な権利関係の判断が必要になった場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。

注意

制作会社に「データを渡してほしい」と頼むと、費用がかかったり、断られたりする場合があります。契約内容によって異なるため、解約や乗り換えを考える前に、まず事実関係を落ち着いて確認してください。

セクションのまとめ:項目ごとの共通の判断軸は「名義は会社」「管理者は2人以上」「連絡先は共通メール」「支払いは会社」の4つです。

いつ・誰が・何を確認するか:承継までの時間軸

引き継ぎは、承継の直前に一度に行うと必ず漏れます。余裕を持って、段階的に進めるのがおすすめです。時期は会社の状況で変わるため、あくまで目安としてご覧ください。

1承継の約3年前棚卸し一覧表を作る2約1年前名義の整理会社名義へ変更3承継の直前権限の追加後継者を管理者に4承継の後最初の90日後継者が確認ホームページ管理情報の引き継ぎ:4つの段階

時期 社長がすること 担当者・後継者がすること 判断軸
承継の約3〜5年前 引き継ぎを始める方針を決める。担当者を1人指名する 一覧表を埋める。契約先と請求書を集める 担当者に任せてよい。社長は方針だけ決める
約1〜2年前 名義を会社に変える方針を承認する ドメイン・SNS・広告の名義と支払いを整える 今やる。期限がある手続きから先に
約半年前 後継者を管理者に加える権限付与を承認する 各サービスで後継者のアカウントを追加 後継者が実際にログインできるかを必ず確かめる
承継の直前 引き継ぎシートを後継者と一緒に確認する 不明点を制作会社などに問い合わせる 社長が自分の口で後継者に説明する
承継後の90日 相談役として質問に答える 更新期限・費用・契約を見直す 見直しは後継者の判断。社長は口を出しすぎない

特に重要なのは、承継の半年前の「後継者が実際にログインできるか」の確認です。権限を付けたつもりでも、本人の端末で入れないことがあります。承継前に試しておくと、社長が元気なうちに問い合わせができます。

「今やる」「後でよい」「やってはいけない」の仕分け

区分 内容
今やる 更新期限のあるもの(ドメイン、サーバー)の名義と支払い方法の確認。管理者を2人以上にする。引き継ぎシートの作成
後でよい サイトのデザイン刷新、文章の全面書き換え、ブログの再開。承継が済んでから後継者が判断する
やってはいけない パスワードをメールやチャットで丸ごと送る。自分で契約を解約・再契約して、一時的にサイトを止める

セクションのまとめ:引き継ぎは3年前から始めて、半年前に後継者のログイン確認を済ませておけば、直前の混乱をほぼ避けられます。

引き継ぎシートの作り方:書くべき項目と保管のしかた

一覧表の内容を、一冊の引き継ぎシートにまとめておくと、後継者も担当者も迷いません。紙でもスプレッドシートでも構いませんが、保管と共有のルールは決めておきます。

シートに書く項目

欄 書く内容 書かないもの
サービス名 ドメイン、サーバー、Googleの店舗情報 など (なし)
契約会社・連絡先 会社名、サポートの窓口、問い合わせ方法 担当者の個人携帯の番号
契約者・名義人 会社名か個人名か (なし)
更新期限・料金 期限の日付、年額または月額 カード番号の全桁
管理者・権限 誰がどの権限を持つか パスワード本体
ログイン方法の案内 パスワード管理ツールの保管場所など パスワードそのもの
備考 過去のトラブル、制作会社との約束事 感情的な批評

ポイント

引き継ぎシートには、パスワードそのものを書かないことが大切です。シートが漏れたときの被害が大きくなるためです。パスワードは、別の安全な方法で渡します。

パスワードを安全に渡す方法

パスワードを渡す方法は、次の順で検討します。上にいくほど安全で、後で履歴も残ります。

方法 向いている場面 注意点
サービスごとに後継者のアカウントを追加 ほとんどの場面。最も安全 追加の手続きを担当者が行う
パスワード管理ツール(共有機能) 複数サービスをまとめて渡したい ツールの月額料金と、設定を担当者に任せる必要
紙に書いて金庫や貸金庫で保管 パソコンが苦手な社長の補助 定期的に最新か確認する。紛失に注意
メールやチャットで本文に書いて送る 原則として使わない 履歴に残り、漏えいのリスクが高い

サービスごとのアカウント追加を基本にして、それでも足りない部分を補う、という考え方が現実的です。社長のパスワードを共有してもらうより、後継者本人の名前で入れるようにしておくほうが、後の記録も明確です。

セクションのまとめ:引き継ぎシートは「パスワードを書かない」「期限と名義を書く」の2点を守り、権限の追加で渡すのが基本です。

架空の事例:製造業の社長が3年かけて整理したケース

ここでは、実際の企業ではなく、よくある状況を組み合わせた架空の事例をご紹介します。従業員30名ほどの製造業で、社長が66歳、後継者は長男という想定です。

項目 整理前 整理後
ドメイン 社長個人名義、更新通知は社長の個人メール 会社名義に変更、通知は共通メールと担当者の2か所
サーバー 10年前の制作会社が契約。請求書は制作会社経由 契約者を会社に整理し、請求先を会社に変更
更新システム 管理者は元社員1人のみ 後継者と総務担当を管理者に追加
Googleの店舗情報 オーナーは社長の個人アカウント 後継者をオーナーに追加
SNS 社長の携帯番号で登録 会社の共通メールと管理担当者に切り替え

この会社で一番時間がかかったのは、サーバーの契約会社の特定でした。制作会社の担当者が替わっており、問い合わせから契約者の確認まで約2か月かかったという想定です。

一方、ドメインやGoogleの店舗情報の整理は、担当者が数時間ずつで終えたという流れです。整理の対象が多く見えても、実際に時間のかかる項目は限られています。早く始めるほど、時間のかかる項目に余裕を持って対応できます。

なお、この事例の数字は、状況を分かりやすくするための架空の設定です。実際の期間や費用は、契約先や会社の状況によって変わります。

セクションのまとめ:時間がかかるのは「契約先の特定」と「他社への問い合わせ」で、ここを早く始めることが全体の安心につながります。

費用と手間の目安:誰に頼むか

引き継ぎの整理を、自社で行うか、専門家に頼むかの判断軸をまとめます。費用の金額は依頼先や範囲で大きく変わるため、ここでは幅と考え方だけをお示しします。

進め方 社内の手間の目安 費用の考え方 向いている会社
社内の担当者が一覧表を埋める 担当者が週1〜2時間を数週間 追加の外注費は基本かからない(名義変更の手数料が発生する場合あり) 担当者がいて、契約先がはっきりしている
制作会社に整理を依頼 社長や担当者の確認で数時間 作業内容に応じて見積もり。事前に範囲を確認 制作会社と良好な関係で、契約が明確
第三者に棚卸しを依頼 窓口対応で数時間〜 診断や整理の範囲で見積もり。無料診断から相談できる場合も 契約先が不明、担当者がいない

第三者に依頼する場合は、作業を丸ごと任せるのか、現状の洗い出しだけを頼むのかで費用が変わります。範囲を決めたうえで、複数の見積もりを取ると比較しやすくなります。

日常の更新や運用そのものを外部に任せることも選択肢です。保守・更新代行の考え方はホームページ運用代行とは、担当者の役割を外部に頼む場合はWeb担当者代行とはが参考になります。

毎月の維持にいくらかかるかを把握するには、ホームページの維持費はいくらの内訳が役立ちます。承継後の予算を後継者が組みやすくなります。

セクションのまとめ:整理は社内でできる範囲が大きく、外部に頼むのは「契約先の特定」や「権利関係の確認」が必要なときに絞るのが現実的です。

AIを使った引き継ぎシートの下書き:使える場面と注意点

生成AIは、引き継ぎシートの下書きを作るのに役立ちます。ただし、AIに任せきりにせず、人が確認する前提で使います。

使える場面 AIにさせること 人が必ずすること
項目の洗い出し 自社の状況を伝えて、確認すべき項目の一覧案を作らせる 自社に当てはまらない項目を消す、足りない項目を足す
問い合わせ文の下書き 制作会社や登録会社への確認メールの文面案 宛先、契約者名、事実関係を確認してから送る
請求書・明細の整理 金額を除いたサービス名の一覧表づくり 金額や契約者名は原本で確認する
後継者向けの説明資料 専門用語を平易な言葉に直した説明文の案 誤りがないか、担当者がチェックする

注意

パスワード、カード番号、顧客の個人情報は、AIの入力欄に入れないでください。シートの下書きには、サービス名、期限、担当部署といった情報だけを使います。

AIはあくまで下書きの道具です。契約の内容や名義の最終確認は、人が原本で行います。「AIが言っていたから大丈夫」という判断は避けてください。

セクションのまとめ:AIは項目の洗い出しと文面の下書きまでに使い、名義や契約内容の確認は必ず人が原本で行います。

やってはいけない5つのこと

引き継ぎでは、よかれと思ってした行動が事故につながることがあります。次の5つは避けてください。

1. パスワードを丸ごとメールで送る

メールの履歴に残り、第三者に見られるリスクがあります。権限の追加を基本にしてください。

2. 名義変更の前に解約・再契約する

解約した瞬間にサイトやメールが止まったり、ドメインが他人に取得されたりする可能性があります。

3. 制作会社に確認せずに更新システムを入れ替える

データや設定が失われ、元に戻せなくなることがあります。

4. 承継の直前に一度で終わらせようとする

他社への問い合わせに時間がかかり、間に合わなくなります。

5. 後継者に確認せず、社長が判断を進める

後継者が今後の運用を担うため、方針は一緒に決めたほうがうまくいきます。

セクションのまとめ:名義変更より先に解約や入れ替えをしない、パスワードを丸ごと送らない、直前に詰め込まない、の3点が特に重要です。

担当者に渡すチェックリスト

ここからは、社長が担当者に渡す部分です。表のうち、できたものにチェックを入れていく使い方を想定しています。

担当者用:引き継ぎ確認チェックリストドメインの契約者と更新期限を確認したサーバーの契約会社と料金を確認した更新システムの管理者を2人以上にしたGoogleの店舗情報に後継者を追加したSNSの登録メールを共通メールにした広告・解析の権限と請求先を確認した

担当者の作業 完了の目安 社長への報告
契約先一覧の作成 全サービスが一覧に載っている 不明な契約が何件あるか
名義の確認 契約者名が会社か個人かを記録 個人名義の件数と変更の見込み
期限の確認 期限が近いものから順に並べた 1年以内に切れるもの
権限の追加 後継者本人のアカウントで入れた ログインに成功したか
問い合わせ 制作会社や登録会社に確認を送った 返事待ちの案件

日常の確認項目は、ホームページ管理を月1時間で回す最小限チェックリストとあわせて使うと、承継後の運用にもそのまま移れます。サイトを安全に表示するための証明書(SSL)の期限も、SSL証明書とは何かで確認しておくと安心です。

セクションのまとめ:担当者には、作業の完了の目安と社長への報告項目をあらかじめ決めて渡すと、進み具合が見えます。

承継後の最初の90日に、後継者がやること

引き継ぎが終わった後も、後継者が現状を自分の目で確かめる期間があると安心です。最初の90日で、次の流れを目安にしてください。

  • 最初の30日:引き継ぎシートの内容を、実際にログインして確かめる
  • 次の30日:更新期限と費用を一覧にして、1年分の予算を組む
  • 最後の30日:制作会社・保守会社との契約を見直し、続けるか変えるかを判断する

サイトの全面的な作り直しは、この90日では判断しなくて構いません。リニューアルを考える場合は、ホームページリニューアルの判断基準と進め方を参考に、まず現状のアクセス状況と問い合わせの数を確認してからにしましょう。

社長は、後継者から質問があったときに答える相談役にまわり、運用の判断は後継者に任せるほうが、世代交代がうまく進みます。

セクションのまとめ:最初の90日は確認と予算づくりに使い、サイトの作り直しは現状を把握してから判断します。

事業承継全体の相談先と、ホームページの位置づけ

事業承継全体の進め方については、中小企業庁が「事業承継ガイドライン」を公開しています。また、各都道府県には、事業承継・引継ぎ支援センターなどの公的な相談窓口があります。株式の移転、税金、後継者の選び方などは、これらの窓口や、税理士・弁護士・商工会議所などの専門家にご相談ください。

詳しい内容は変更されることがあるため、最新の情報は中小企業庁や各窓口の公式ページでご確認ください。

ホームページとWebまわりの整理は、こうした全体の計画のなかの一つの項目として、無理のない時期に進めるのが現実的です。会社の信用や問い合わせの入口として、ホームページは取引先から見られる場所でもあります。承継の挨拶や代表者名の変更を、ホームページや店舗情報にも反映する準備として、今回の整理が役立ちます。

承継に伴うWebの更新 内容 担当の目安
代表者名・会社概要 ホームページの会社概要を更新 担当者。承継日に合わせて
Googleの店舗情報 代表者名や営業時間の変更 担当者または後継者
SNS・名刺・パンフレット 肩書きや挨拶文の更新 後継者の確認のうえで担当者
お知らせ 後継者就任のご挨拶 後継者が内容を決める

セクションのまとめ:事業承継の大きな手続きは公的機関や専門家に相談し、ホームページの整理は一つの項目として早めに進めます。

よくある質問

社長からよくいただく質問を、5つ選んで答えています。

Q. ホームページの契約が誰の名義か分からないときは、何から調べればよいですか。

まず、クレジットカードの明細や会社の請求書から、ドメイン、サーバー、制作会社への支払いを探します。次に、制作会社や登録会社に、契約者名の確認を依頼します。ご自身で調べきれない場合は、第三者に棚卸しを依頼する方法もあります。

Q. 制作会社が連絡を取れなくなっている場合はどうすればよいですか。

サーバーやドメインの契約先を、明細や管理画面の記録から特定する方法があります。契約が制作会社名義の場合は、各会社の規定により手続きが異なるため、サポート窓口に相談してください。権利関係の判断が必要な場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。

Q. ドメインを個人名義から会社名義に変えるには、どのくらいの時間がかかりますか。

登録会社や、ドメインの種類によって手続きは異なり、数日から数週間かかる場合があります。必要な書類や条件も会社ごとに違うため、登録会社の公式の案内で確認してください。承継の直前ではなく、1年ほど前から余裕を持って進めるのがおすすめです。

Q. パスワードを全部まとめて後継者に渡しても問題ありませんか。

おすすめできません。サービスごとに後継者のアカウントを追加する形が、最も安全です。やむを得ず渡す場合は、メールの本文に書かず、パスワード管理ツールの共有機能や、紙の保管など、履歴の残りにくい方法を選んでください。

Q. ホームページを引き継がず、承継を機に閉じる選択はできますか。

可能です。ただし、閉じる前に、取引先や求職者がホームページを確認している可能性や、会社メールがドメインに紐づいていることを確認してください。閉じる場合も、ドメインとデータは一定期間保管するほうが安心です。

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まとめ:まず一覧表を作るところから

ホームページの事業承継では、デザインや文章よりも先に、名義・窓口・期限・支払いの整理が大切です。10項目前後の一覧表を作り、承継の3年前から順に、半年前までに後継者がログインできる状態に整えれば、大きな事故は避けられます。

今日できる最初の一歩は、担当者に「ドメイン、サーバー、Googleの店舗情報の契約者名と更新期限を調べてほしい」と一言伝えることです。それだけで、引き継ぎは動き出します。

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この記事の執筆者

webcan.jp編集部 主筆 K.Takenouchi。Webディレクター・SEOコンサルタントとして10年以上の現場経験を持ち、大手金融系メディアや医療系コーポレートサイトのコンテンツマーケティング支援、ECサイトの企画運営・KPI設計、月商数百万円から月商1億円規模への成長支援などに携わってきました。

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