この記事の要点
検索対策(Googleなどで自社が見つかりやすくする取り組み)の業者を替えるとき、順位を守る鍵は「引き継ぎの順番」です。見るべき項目は、Googleの計測ツールの権限、記事の原稿と権利、外部からのリンク、サイトの設定、解約の時期の5つです。これらを手元に集めてから解約日を決めれば、順位への影響を小さくできる可能性が高まります。
今の外注先に不満があっても、「替えたら順位が落ちるのではないか」と心配で動けない社長は少なくありません。その心配は、半分は当たっています。ただし、落ちる原因の多くは「業者を替えたこと」ではなく、「引き継ぎが足りないまま切り替えたこと」にあります。
この記事では、検索対策の外注先を別の業者に替えるときに、社長が確認する引き継ぎ項目を一覧表にして整理します。細かい操作は担当者の方にお任せして構いません。社長が決めるのは「何を手元に集めるか」と「いつ切り替えるか」の2点です。
ホームページそのものを作った制作会社を替える話は、別の記事で扱っています。ホームページの制作会社を変えたいときの進め方をご覧ください。この記事は、毎月の検索対策(記事づくり、ページの直し、順位の報告など)を任せている業者を替える場面に絞ります。契約書の条文の読み方にも深入りしません。段取りと引き継ぎに集中します。
注意
この記事は一般的な考え方の整理です。個々の契約が解約できるか、違約金が必要かといった法律上の判断は、弁護士などの専門家の役目です。また、順位は競合や検索の仕組みの変更でも動くため、「この手順で必ず順位が保たれる」とは言えません。
まず結論:引き継ぎ項目の一覧表と、社長が決める2つのこと
先に全体像をお見せします。次の表が、乗り換えの前に確認したい引き継ぎ項目の一覧です。担当者の方にこの表を渡し、「自社の名前で持っているか」を1行ずつ確かめてもらってください。
| 引き継ぎ項目 | 何を確かめるか | 持ち主が自社でないとき |
|---|---|---|
| Googleサーチコンソールの権限 | 自社のGoogleアカウントが「所有者」になっているか | 自社のアカウントを所有者に追加してから、業者を外す |
| アナリティクス(GA4)の権限 | 自社のアカウントが「管理者」になっているか。データの入れ物(プロパティ)の持ち主はどちらか | 管理者に追加してもらう。持ち主が業者なら、プロパティの移行も相談する |
| 記事の原稿・画像データ | 納品データを受け取れるか。著作権の扱いは契約でどうなっているか | 契約書で確認し、データ一式の提供を依頼する |
| サイトの管理画面 | 管理者のIDが自社の人にあるか | 業者のIDだけなら、自社の管理者IDを作ってもらう |
| 外部リンク・掲載先の一覧 | 業者が登録・掲載した先が分かるか | 一覧の提出を依頼する。登録情報の名義も確認する |
| 作業の履歴 | いつ何を直したかの記録があるか | 過去6か月〜1年分の履歴の提出を依頼する |
| 契約の解約時期 | 解約の申し出期限と、新旧の重なる期間 | 解約日を決める前に、期限をカレンダーに入れる |
この7行のうち、特に重いのは上の3行です。理由は、あとから取り戻せないものが含まれるからです。
- サーチコンソール:約16か月より前のデータは、画面から消えます。切り替え前に書き出しておけば守れます。
- GA4:データの入れ物が業者のアカウントにあると、移さない限り履歴を失うおそれがあります。
- 記事の原稿:手元になければ、同じものを書き直す手間が出ます。
社長が決めること①:「解約日」より先に「回収日」
乗り換えで失敗しやすいのは、先に解約日を決めてしまう進め方です。解約日が決まると、旧業者の協力が薄くなりやすく、資料の提出が間に合わなくなります。先に「いつまでに全部を手元へ集めるか」という回収日を決め、その後に解約日を決めてください。
社長が決めること②:新しい業者に何を求めるか
もう1つは、乗り換えの目的です。「費用を下げたい」「報告が分かりにくい」「連絡がつきにくい」など、理由によって新しい業者に求める内容が変わります。理由が曖昧なまま替えると、同じ不満がまた出ます。次の章で、替える前の整理の仕方をご紹介します。
ポイント
社長が決めるのは2点です。「回収日」を先に決めること、そして「なぜ替えるのか」を1枚に書くこと。操作や設定は、担当者か新しい業者に任せて構いません。
セクションのまとめ:引き継ぎ項目は7つ。解約日より先に、手元へ集める回収日を決めます。
本当に業者を替えるべきか:替える前に整理する3つの理由
乗り換えには手間と、順位が揺れるリスクがあります。まず、替える理由が「業者を替えれば解決すること」なのかを確かめましょう。
| 不満の中身 | 業者を替えれば解決するか | 先にやってみること |
|---|---|---|
| 成果(問い合わせ・順位)が出ない | 原因次第。業者の力不足とは限らない | 月次報告で、順位と問い合わせのどちらが動いていないかを分ける |
| 報告が分かりにくい | 替えなくても直せる場合が多い | 報告の見方を社長が伝える。月次報告の見方も参考に |
| 連絡が遅い・つながらない | 替える理由になりやすい | 担当者の変更を申し入れる。それでも変わらなければ替える |
| 費用に見合わない | 内容と金額の見直しで解決することも | 作業内容を一覧にして、不要な項目を減らせるか相談する |
| 社内でできるようになった | 「内製に戻す」という選択になる | 社内か外注かの判断表で確かめる |
理由1:成果が出ないとき、まず「どこが動いていないか」を見る
検索対策の成果は、表示回数、クリック数、順位、問い合わせ件数など、いくつかの段階に分かれます。表示回数は増えているのに問い合わせが増えないことがあります。その場合、問題は検索対策ではなく、ページの作りや問い合わせ窓口にあるかもしれません。その場合、業者を替えても改善しない可能性があります。
また、検索対策は結果が出るまでに時間がかかる取り組みです。一般的に、数か月から半年ほどかかると言われます(業種や競合の状況によって幅があります)。始めて3か月で替えると、効果が出る手前で手放す形になることもあります。
理由2:連絡や報告の不満は、替える前に1度だけ正式に伝える
口頭やチャットの不満は、記録に残りません。メールで「次の点を改善してほしい」と書いて送り、1〜2か月ほど様子を見ます。この記録は、改善されなかったときに「替える理由」を社内で説明する材料になります。また、解約の話し合いが必要になったときにも役立ちます。
理由3:替える理由を、1枚の紙に書いておく
次の3行を、社長自身の言葉で書いてみてください。新しい業者を選ぶときの基準にもなります。
- 今の業者の、いちばん困っている点は何か
- それは、業者を替えれば直ると考える根拠は何か
- 新しい業者に、これだけは譲れないという条件は何か
セクションのまとめ:替える理由を整理し、業者を替えても直らない不満は先に別の方法で試します。
乗り換えの段取り:回収、並走、切り替えの順番
理由がはっきりして「替える」と決めたら、段取りに入ります。基本の順番は4段階です。
段階1:棚卸し(1〜2週間が目安)
何を、誰の名前で持っているかを一覧にします。前の章の表を使います。担当者の方に、「自社の名前で持っている」「業者の名前で持っている」「分からない」の3つに分けてもらいます。「分からない」が多い場合は、そのこと自体が最初に分かった大切な情報です。
段階2:回収(2〜4週間が目安)
業者の名前で持っているものを、自社の名前に移す作業です。権限の追加、データの受け取り、管理者IDの作成などがここに入ります。旧業者には、この段階では解約の意向を伝えるかどうかを、社長がご判断ください。伝えるほうが協力は得やすい反面、対応が事務的になることもあります。
この所要期間は、当サイトの一般的な推測であり、業者の対応の速さによって変わります。目安として受け止めてください。
段階3:並走(1〜2か月が目安)
新しい業者が作業を始め、旧業者の契約がまだ続いている期間です。この期間を設けると、新しい業者が現状を見て、旧業者に質問もできます。一方で、この間は2社分の費用がかかる場合があります。費用が重なるのは負担ですが、引き継ぎの失敗による損失を考えると、短くても設けておく価値があります。
段階4:切り替え
旧業者の権限を外し、契約の終了日を迎えます。権限を外すのは、データの受け取りが終わってからです。外した後に「あのデータも必要だった」と気づいても、旧業者の協力は得にくくなります。
セクションのまとめ:棚卸し、回収、並走、切り替えの順に進めます。回収が終わるまで、権限は外しません。
引き継ぎ項目1:サーチコンソールとアナリティクスの権限
順位を守るうえで最も大切なのは、この2つの計測ツールの履歴です。どのページがどの言葉で見つかっていたかが分かる、いわば「通信簿」だからです。
サーチコンソールは、所有者が誰かを最初に確かめる
サーチコンソールは、Googleが提供する無料のツールで、自社サイトが検索でどう表示されているかが分かります。使い方の全体像はサーチコンソールの使い方にまとめています。ここでは引き継ぎの観点だけを見ます。
確認するのは、「所有者」が誰のアカウントかです。業者が自社のGoogleアカウントで登録し、社長や担当者の方は権限の弱い「ユーザー」としてしか入れていない例があります。この場合、業者が所有者を外せば、自社は画面を見られなくなる恐れがあります。
ただし、サーチコンソールの検索データは「サイト」に付いています。自社のアカウントで同じサイトを登録し直せば、過去の分も見られることが多いです。本当に失うのは、保存期間を過ぎたデータです。
検索データの保存期間は、約16か月です(Google検索セントラルの2018年の公式発表による。画面の仕様は変わることがあります)。つまり、16か月より前の数字は、時間が経つほど消えていきます。
乗り換えの前に、ひと区切りとして書き出して保管してください。表示回数、クリック数、検索語、ページ別の数字をCSVなどにしておけば十分です。
アナリティクス(GA4)は、管理者の権限と保存期間を見る
GA4(Googleアナリティクス4)は、サイトに来た人の数や、どのページが見られたかを計測するツールです。確認するのは、自社のアカウントが「管理者」になっているかどうかです。「閲覧者」のままだと、あとから権限を渡す作業ができません。
もう1つ大切なのが、データの入れ物(プロパティ)の持ち主です。プロパティが業者のアカウントの中にあると、解約と同時に自社は履歴を見られなくなるおそれがあります。管理者を自社に揃えるのが基本です。必要なら、プロパティを自社のアカウントへ移す方法もあります。新旧の業者に相談してください。
GA4には、データ保持期間の設定もあります。選べるのは2か月か14か月で、Googleアナリティクスのヘルプによると、この設定が効くのは探索レポートなどです。毎月見る通常のレポートには効きません。
保持期間を2か月から14か月へ変えても、すでに消えた分は戻りません。変えるなら早いほうがよいです。ただし、細かな設定は担当者の方にお任せして構いません。
担当者に渡す依頼文の例
次の文面を、業者へのメールの下書きにお使いください。丁寧に、しかし期限を入れて依頼するのがコツです。
依頼文の例
いつもお世話になっております。サイト運用の体制を見直しており、次の2点のご対応をお願いしたく存じます。①サーチコンソールとGA4について、弊社の担当アカウント(○○@○○)を、所有者および管理者として追加してください。②現在の設定内容(計測の目標設定、連携しているサービスなど)が分かる資料をご提供ください。恐れ入りますが、○月○日までにご回答をお願いいたします。
注意
業者の権限を外すのは、自社の権限が確実に付いたことを画面で確かめてからです。担当者の方に、実際に自社アカウントでログインして数字が見られるか、確認してもらってください。
なお、会社のGoogleアカウントを社員個人の名前で作っていると、退職時に同じ問題が起きます。持ち主を会社に揃える手順は、会社のGoogleアカウントの管理をご覧ください。
セクションのまとめ:サーチコンソールとGA4は、自社が所有者・管理者になってから業者を外します。サーチコンソールの数字は書き出しておきます。
引き継ぎ項目2:記事の原稿・画像データと、その権利
業者が書いた記事は、サイトに載っているだけでなく、原稿のデータとしても手元に残っているのが理想です。あわせて「誰の物か」を確かめておく必要があります。
原稿と画像のデータは、受け取れるかを先に聞く
サイトを丸ごと業者のシステムで運用している場合、記事の原稿が自社の手元にないことがあります。解約後にサイトの記事が消えたり、見えなくなったりすれば、順位の土台を失います。「納品データとして、全記事の原稿と画像をいただけるか」を、乗り換えの最初に聞いてください。
- 記事の本文(Wordやテキストなど、開ける形式)
- 記事で使った画像・図解のファイル
- 記事ごとの狙いの検索語の一覧
- タイトルや説明文の設定の一覧
著作権は、契約書で見る
一般に、文章や画像を作った人(または会社)に著作権があるのが原則とされています。契約で「納品と同時に自社へ譲る」と定めていなければ、業者に権利が残っている場合があります。この場合でも、サイトに載せて使い続けることは許されるのが普通です。ただ、新しい業者が書き換えるときに問題になることがあります。
画像については特に注意が必要です。業者が使った写真やイラストが、第三者の素材だったとき、利用の条件が「契約期間中のみ」ということもあります。素材の権利の考え方は、ホームページの写真・イラストの著作権で整理しています。
| 確認したいこと | 確認先 | 社長の判断 |
|---|---|---|
| 記事の著作権は誰にあるか | 契約書の「権利」や「成果物」の項 | 不明なら業者に書面で質問する |
| 画像は有料素材か、業者の撮影か | 業者への質問 | 素材の利用期間が契約期間だけなら、差し替え案を相談する |
| 新しい業者が加筆・修正してよいか | 契約書、または業者の回答 | 許可が書面で得られなければ、事前に弁護士へ相談する |
法律上の判断が必要になった場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。ここまでの内容は、社長が業者に質問するための材料としてお使いください。
セクションのまとめ:原稿・画像のデータを受け取り、著作権と素材の利用条件を書面で確かめます。
引き継ぎ項目3:外部リンクと、サイト以外の登録情報
検索対策は、自社のサイトの中だけで完結しません。ほかのサイトに載った自社へのリンクや、各種の登録情報も、順位に関わると言われています。
外部リンクの一覧を、業者に出してもらう
外部リンクとは、ほかのサイトに貼られた自社サイトへのリンクです。業者がブログやポータルサイトに登録して貼ったものがあれば、その一覧をもらいます。業者が運営するほかのサイトから貼られているリンクは、解約後に外される可能性があるため、特に確認してください。
一覧をもらう目的は、2つあります。1つは、解約後にリンクが消えても驚かないための準備です。もう1つは、不自然なリンク(お金を払って大量に貼ったもの)が混じっていないかの確認です。後者は、新しい業者に点検してもらうのが現実的です。
Googleビジネスプロフィールなどの登録情報
Googleマップに表示される情報(Googleビジネスプロフィール)を、業者が管理している場合があります。この「オーナー」権限が業者の名義だけだと、解約後に自社で修正できなくなります。自社のアカウントを「オーナー」(できれば最初の持ち主を示すメインオーナー)にしてから、業者を外してください。管理者の権限では、オーナーの権限を移し替えられないためです。
- Googleビジネスプロフィールのオーナー(できればメインオーナー)
- 業者が作ったSNSアカウントの名義
- ポータルサイトや地域サイトへの登録情報の名義
- 業者が管理している問い合わせ用の電話番号・メール
登録情報の「表記ゆれ」にも気をつける
会社名、住所、電話番号の書き方は、サイトや登録先で揃っているのが望ましいとされます。乗り換えのタイミングで、新しい業者に表記を点検してもらうと、整理しやすくなります。
セクションのまとめ:外部リンクの一覧と、サイト外の登録情報の名義を確かめます。名義は自社に揃え、Googleビジネスプロフィールは自社をオーナーにします。
引き継ぎ項目4:サイトの管理画面と設定(制作会社の乗り換えとの違い)
サイトのドメインやサーバーの扱いは、制作会社を替えるときの中心の話題です。検索対策の業者を替える場面では、ドメインやサーバーを動かさないことが前提になります。ここでは、検索対策に関わる設定だけを確認します。
| 項目 | 検索対策の乗り換えでの扱い | 制作会社の乗り換えとの違い |
|---|---|---|
| ドメイン・サーバー | 動かさない前提。名義が自社かだけ確認 | 制作会社の乗り換えでは、移転も検討対象 |
| 管理画面のID | 自社の管理者IDを作ってもらう | 同じく必要。権限の範囲が広い |
| タイトル・説明文の設定 | 現在の内容を一覧でもらう | 制作会社の乗り換えでも同じ |
| リダイレクトの設定 | ページのURLを変えていないか確認 | URLを作り替えるとき、特に重要 |
| 計測タグ | 計測が止まっていないか画面で確認 | サイトの作り替えで外れやすい |
ドメインやサーバーの持ち主が不明な場合や、業者と連絡が取れない場合は、制作会社と連絡が取れないときの対処の手順が役に立ちます。
ページのURLを変えないことが、いちばんの安全策
順位は、ページのURLごとに積み重なっていきます。URLを変えると、検索エンジンから見れば別のページになるため、順位が一度リセットされる場合があります。乗り換えと同時にサイトの作り替えを行うと、原因の切り分けが難しくなります。検索対策の業者を替える時期は、サイトの作り替えとずらすのが無難です。
ポイント
乗り換えと、サイトのデザイン変更・URLの変更は、同じ時期に重ねないようにします。順位が動いたときに、原因がどちらにあるのか分からなくなるためです。
セクションのまとめ:ドメイン・サーバーは動かさず、管理者IDとURLの扱いを確かめます。
引き継ぎ項目5:解約の時期と、新旧が重なる期間
最後は「いつ」の話です。契約書の細かい条文の読み方は別の機会に譲り、ここでは乗り換えの段取りに関わる点に絞ります。
解約の申し出期限を、回収日から逆算する
月額契約では、解約の申し出が「終了日の1〜3か月前まで」などと決まっていることがあります。この期限を過ぎると、次の更新期間まで契約が続いてしまうことがあります。契約書を確認し、期限の日をカレンダーに入れてください。
たとえば、終了日が3月末で申し出が2か月前までなら、1月末までに連絡が必要です。この例は架空ですが、「回収日」を1月中旬に置けば、無理なく間に合います。
| 日程 | やること | 社長の判断 |
|---|---|---|
| 終了日の3〜4か月前 | 棚卸し、新しい業者の候補探し | 契約書の申し出期限を確認する |
| 終了日の2〜3か月前 | 新しい業者の決定、回収の開始 | 旧業者への連絡の時期を決める |
| 終了日の1〜2か月前 | 並走の開始、データの受け取り | 権限が付いたか画面で確認する |
| 終了日 | 旧業者の権限を外す、契約終了 | 外した後、計測が続いているか確認する |
上の日程は一般的な目安であり、契約の内容によって変わります。実際の期限は、必ずご自身の契約書でお確かめください。
並走の費用は、見積もりに入れておく
新旧の業者が重なる期間は、費用が二重にかかることがあります。新しい業者の見積もりに、「引き継ぎ期間の費用」が含まれているかを確かめます。旧業者には、「引き継ぎの協力に追加費用がかかるか」をあらかじめ聞いておきましょう。金額は業者によって幅があり、「無料」から「作業時間に応じた請求」まで様々です。
解約を伝えるときの伝え方
感情的にならず、事実だけを書面(メール)で伝えます。「理由の詳細」は必須ではありません。「契約書の定めに従い、○月○日付で終了したい」と書きます。続けて「引き継ぎのため、次の資料の提供をお願いしたい」と、簡潔に添えるのが安全です。
セクションのまとめ:解約の申し出期限から逆算して日程を組み、並走の費用は見積もりに入れておきます。
順位を落とす典型パターンと、防ぎ方
引き継ぎが不十分だと、どのような形で順位に響くのでしょうか。よくあるパターンを表にしました。以下は一般的に起こり得る例で、すべての案件で起こるわけではありません。
| 起こりやすいこと | なぜ起こるか | 防ぐ方法 |
|---|---|---|
| 記事が消える・見えなくなる | 原稿が業者のシステムにあり、解約で止まる | 原稿とサイトの管理者権限を先に回収する |
| 計測の履歴が途切れる | サーチコンソール・GA4の所有が業者 | 自社を所有者・管理者に追加してから外す |
| 新しい業者が過去の経緯を知らない | 作業の履歴がない | 履歴の提出と、並走期間での質問 |
| 急にページの構成を変えてしまう | 新しい業者が成果を急ぐ | 最初の3か月は、既存の記事を大きく変えない約束をする |
| 外部リンクが外される | 業者の運営サイトからのリンクだった | 一覧を事前に確認し、影響の大きいものは代替を相談する |
新しい業者が、最初の1か月にやってはいけないこと
新しい業者が張り切って、最初から大きく手を入れる場合があります。タイトルの一括変更、ページの統合、URLの変更などです。これらは順位が大きく動く可能性があります。最初の1か月は、現状の把握と、小さな改善にとどめてもらうよう、依頼時に伝えておいてください。
「どのページを、いつ、何のために直すのか」を、作業前に共有してもらってください。順位が動いたときの原因を追いやすくなります。
セクションのまとめ:順位への影響は、記事の消失、計測の途切れ、急な構成変更で起きやすくなります。最初の3か月は大きく変えない約束が有効です。
新しい業者に聞く質問:乗り換え先を選ぶ7つの確認
引き継ぎを受ける側の業者の対応力も、乗り換えの成否を左右します。検索対策を代行する業者の費用や見積もりの比べ方はSEO対策代行とは?任せられる作業と費用、見積もりの比べ方で扱っています。ここでは、乗り換えの場面で特に聞きたい質問に絞ります。
| 質問 | よい答えの例 | 注意したい答え |
|---|---|---|
| 他社から引き継いだ経験はありますか | 引き継ぎの手順を具体的に説明できる | 経験が曖昧、「全部こちらでやり直します」 |
| 最初の1か月は何をしますか | 現状把握と小さな改善を示してくれる | いきなり大規模な作り替えを提案する |
| 計測ツールの権限は誰の名義になりますか | 自社が所有者・管理者になると明言する | 業者のアカウントで管理すると言う |
| 原稿やデータは解約後も自社に残りますか | 納品データとして渡すと明言する | 契約書に書いていない、答えをにごす |
| 報告はどんな頻度で何を見せますか | 月次で、数字の意味を説明してくれる | 数字だけを並べた資料 |
| 順位が下がったときはどうしますか | 原因の切り分け方を説明できる | 「すぐ戻ります」と断定する |
| 解約するときの条件を教えてください | 期限・費用・引き継ぎ協力が明確 | 書面で示せない |
順位の保証を約束する業者には、慎重に対応してください。検索結果は検索エンジン側の仕組みで決まるため、順位を確実に約束することは本来できません。「必ず1位」「保証します」といった言葉は、判断材料として疑ってかかる価値があります。
セクションのまとめ:新しい業者には、引き継ぎの経験、最初の1か月の動き、権限の名義、データの扱いの4点を必ず聞きます。
担当者に渡すチェックリスト:乗り換え前の6点セット
ここからは、担当者の方(社長が任せる方)に渡していただくための章です。社長ご自身が操作する必要はありません。
チェックリスト(上から順に)
- サーチコンソールで、自社アカウントが「所有者」になっているかを確認する。なっていなければ、業者に追加を依頼する
- GA4で、自社アカウントが「管理者」か、プロパティの持ち主はどちらかを確認し、データ保持期間が2か月のままか見る
- サーチコンソールの検索データ(表示回数・クリック・検索語)を、約16か月で消える前にCSVなどで書き出す
- 業者から、記事の原稿・画像データ・作業履歴・外部リンクと掲載先の一覧を受け取る
- サイトの管理画面に、自社の管理者IDがあるかを確認する
- 契約書で、解約の申し出期限と、引き継ぎ協力の記載を確認し、日付をカレンダーに入れる
質問の文例(旧業者向け)
- 「引き継ぎ用に、記事の原稿データ一式をいただけますか。形式はWordかテキストで構いません」
- 「これまでに外部サイトへ登録・掲載した先の一覧はありますか」
- 「過去1年間の作業履歴(何を、いつ直したか)はまとまっていますか」
- 「引き継ぎのご協力に、追加の費用は発生しますか」
回答が曖昧なときは、メールで再度質問し、記録を残してください。記録は、後で認識が食い違ったときの助けになります。
セクションのまとめ:担当者には6点セットを渡し、権限、データ、履歴、期限の4種類を確実に回収してもらいます。
架空の事例:地方の建材卸会社が、乗り換えで学んだこと
次の事例は、読者の方がイメージしやすいように作った架空の話です。実在の会社や人物ではありません。
従業員40名ほどの建材卸会社(仮にA社とします)が、2年間続けた検索対策の業者を替えることにしました。月次報告が数字の羅列で意味が分からず、社長が不満を抱えたためです。
A社の担当者が棚卸しをしてみると、サーチコンソールの所有者は旧業者のアカウント、GA4の管理者も旧業者でした。自社は「閲覧者」としてしか入れていなかったのです。
そこで、新しい業者に決める前に、旧業者へメールで権限の追加を依頼しました。応じてもらうまでに2週間ほどかかりましたが、自社が所有者・管理者になったことを確認し、検索データも書き出しました。
並走期間は1か月とし、その間に新しい業者が過去の記事と作業履歴を確認しました。最初の3か月は、既存記事を大きく変えない約束です。この間、順位は小さな上下はあったものの、大きな落ち込みはなかった、という想定です。
この事例から言えるのは、特別なことをしたわけではない点です。権限を自社に移し、データを手元に集め、急な変更を避けた。それだけです。ただし、実際の結果は業種や競合により異なるため、同じ手順で同じ結果になるとは限りません。
セクションのまとめ:架空の事例でも、権限の回収、データの書き出し、並走、急な変更を避ける、の4つが共通の骨格です。
やってはいけない5つのこと
乗り換えの場面で、特に避けたい行動を5つにまとめました。
- 引き継ぎの資料を受け取る前に、旧業者との契約を終わらせる
- サーチコンソールとGA4の権限を、自社に付ける前に業者へ外すよう頼む
- 乗り換えと同時に、サイトのデザイン変更やURLの変更を行う
- 旧業者への不満を、感情的な文面でぶつける(協力が得にくくなる)
- 新しい業者の「順位を保証します」という言葉を、そのまま信じる
どれも「焦って先に動く」ことで起きます。回収日を先に決め、順番を守ることが、結局は近道です。
セクションのまとめ:焦って先に権限を外す・解約するのが、最も避けたい行動です。
AIを使って、引き継ぎの整理を手伝ってもらうときの注意
文章の整理や表の下書きには、生成AI(ChatGPTやClaudeなど、文章を作るAI)が使えます。乗り換えの場面でも、次のような使い方なら役に立ちます。
- 旧業者へのメール文面の下書きを作ってもらう(そのまま送らず、社長が読んで直す)
- 引き継ぎ項目の一覧表を、自社向けに作り替えてもらう
- 業者から届いた資料を要約してもらい、抜けている項目を洗い出す
注意
契約書の全文や、アカウントのパスワード、お客様の個人情報は、AIに貼り付けないでください。また、契約が有効かといった法律の判断を、AIの答えだけで決めることは避けてください。最終的な判断は、社長か専門家が行います。
AIはあくまで「下書きの道具」です。送る前に、日付、金額、相手の名前を必ず人の目で確認してください。
セクションのまとめ:AIは文面と一覧の下書きに使い、契約や権限の最終判断は人が行います。
よくある質問
乗り換えを考える社長から寄せられやすい質問を、5つにまとめました。
Q. 検索対策の業者を替えると、必ず順位は下がりますか。
必ず下がるわけではありません。権限やデータの引き継ぎが不十分なときや、替えると同時にサイトの構成を大きく変えたときに、下がる可能性が高まると考えられます。ただし、順位は競合や検索の仕組みの変更でも動くため、乗り換えとの関係を断定することはできません。
Q. サーチコンソールやGA4の権限は、いつ旧業者から外せばよいですか。
自社のアカウントが所有者・管理者として付き、実際に数字が見られることを確認し、必要な履歴を書き出したあとです。外す時期は、並走期間の終わり、解約日の前後が一般的です。先に外すと、データを取り戻せなくなる場合があります。
Q. 記事の原稿は、解約したら業者に返す必要がありますか。
契約の内容によります。納品物の権利は契約で定めるものなので、契約書の「成果物」や「権利」の項を確認してください。記事の原稿データを渡してもらえるかどうかは、解約前に書面で質問しておくと安心です。法律上の判断が必要なときは、弁護士などの専門家にご相談ください。
Q. 乗り換えの準備には、どのくらいの期間を見ておけばよいですか。
一般的な目安として、棚卸しから切り替えまで1〜3か月を見ておくと余裕があります。これは当サイトの推測で、業者の対応の速さや契約の申し出期限によって変わります。まず契約書の解約の申し出期限を確認し、そこから逆算してください。
Q. 今の業者に不満を伝えにくいのですが、どう切り出せばよいですか。
感情的な表現を避け、事実と希望を書面(メール)で簡潔に伝えるのが安全です。「契約書の定めに従い、○月○日付で終了したい」「引き継ぎのため、次の資料の提供をお願いしたい」と書けば十分です。理由の詳細は必須ではありません。
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まとめ:解約日より先に「回収日」を決める
検索対策の業者を替えるとき、順位を守る土台は、権限・データ・履歴を自社の手元に集めることです。落ち着いて順番を守れば、乗り換えは過度に恐れるものではありません。
- 替える前に、不満が業者の問題かどうかを整理する
- 棚卸し、回収、並走、切り替えの順に進める
- サーチコンソールとGA4は、自社が所有者・管理者になってから業者を外す
- 記事の原稿・画像データと、権利の扱いを書面で確かめる
- 最初の3か月は、URLや構成を大きく変えない約束をする
- 解約の申し出期限から逆算し、回収日を先に決める
どこから手をつければよいか迷うときは、お気軽にご相談ください。契約書の法律上の判断はお受けできませんが、引き継ぎ項目の抜けがないか、次の業者に何を聞くべきかを、一緒に整理できます。
相談の入口
検索対策の業者を替えようか迷っている、引き継ぎで何を集めればよいか分からない、という社長は、無料でご相談いただけます。今の状況を伺い、確認すべき項目の整理をお手伝いします。契約書の法律上の判断はお受けできません。
自社サイトの現状を先に知りたい場合は、無料診断もご利用いただけます。
この記事の執筆
webcan.jp編集部 主筆 K.Takenouchi。Webディレクター・SEOコンサルタントとして10年以上の現場経験を持ち、大手金融系メディアや医療系コーポレートサイトのコンテンツマーケティング支援、ECサイトの企画運営・KPI設計、月商数百万円から月商1億円規模への成長支援などに携わってきました。
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