この記事の結論
相見積もりで選ばなかった会社への断りは、結果が決まってから3営業日以内に、社長か窓口の担当者が、電話かメールで短く伝えれば足ります。理由は一つだけ、他社の金額は伝えません。見積書や提案書は返事のあとに扱いを決め、再依頼の道は一言で残します。この記事では、そのまま使える文例を3つ用意しました。
Webの制作や運用を外注するとき、2〜3社から見積もりを取るのは普通のことです。比べ方については別の記事で詳しく説明しています。ところが、選ばなかった会社にどう断るかは、あまり語られていません。
地元で長く商売をされている社長ほど、この一本の連絡に気をつかわれます。相手は取引先の知り合いかもしれません。商工会や同業の集まりで、また顔を合わせる可能性もあります。
この記事では、選ばなかった会社への断りの連絡について、いつ・誰が・どの手段で・理由をどこまで伝えるかを順に整理します。あわせて、断ったあとの資料の扱い、将来の再依頼の余地の残し方、避けたい断り方もまとめました。見積もりの比べ方そのものは、ホームページ制作の見積もりの見方に任せ、ここでは扱いません。
断りの連絡の基本は「早く・短く・自分の言葉で」
結論から言うと、断りの連絡で大切なのは三つだけです。決めたら早く伝えること、短く伝えること、社長や窓口の担当者が自分の言葉で伝えることです。上手な文章を書く必要はありません。
なぜ「早く」が一番大事なのか
見積もりを出した会社は、受注できるかどうかを待っています。制作会社や代行会社の多くは、人手が限られています。受注するつもりで来月の作業枠を空けていることも珍しくありません。
返事が遅れると、相手はその枠を他の案件に回せません。早く断ることは、相手の仕事を助けることにもなります。断りの連絡は、気まずさを避けて後回しにするほど、相手への負担が増えます。
なぜ「短く」でよいのか
長い断りの文章は、かえって相手に「何か交渉の余地があるのでは」と思わせます。感謝、結果、理由を一つ、結びの四つがあれば、メールなら5〜8行、電話なら3分ほどで終わります。
なぜ「自分の言葉で」なのか
見積もりの打ち合わせに社長が同席していた場合は、断りも社長からの一報がふさわしいと言えます。打ち合わせを担当者に任せていた場合は、担当者が連絡して構いません。その場合も、社長の了解を得たうえで、会社として伝えている形にします。
AIで作った文章をそのまま貼り付けるのは、おすすめしません。後半で触れますが、下書きに使うのはよくても、相手の名前やこれまでのやり取りを一つ入れて、自分の言葉に直してください。
| 観点 | よい断り方 | 避けたい断り方 |
|---|---|---|
| タイミング | 決めてから3営業日以内 | 催促されるまで放置する |
| 長さ | メール5〜8行、電話は3分ほど | 長文で経緯を説明し続ける |
| 理由 | 一つだけ、事実のみ | 他社の名前や金額を出す |
| 手段 | 電話かメール(やり取りの手段に合わせる) | SNSの短いメッセージだけで済ませる |
| 結び | お礼と、今後の関係に触れる | 「もう結構です」で終える |
セクションのまとめ
断りの連絡は、早く・短く・自分の言葉で。メールなら5〜8行、電話なら3分ほどが目安です。長い説明は相手に交渉の余地を感じさせます。
地元の取引先との関係を、どう守るか
地方の中小企業では、Web制作会社や代行会社が、同じ商工会の会員や、取引先の紹介で来ていることがよくあります。断りの一本が、思わぬところで話題になることもあります。
相手との「距離」を先に整理する
断りの連絡の温度は、相手との距離で変わります。まず、見積もりを頼んだ会社が、次のどれにあたるかを整理してください。
| 相手との関係 | 連絡の手段 | ひとこと添える内容 |
|---|---|---|
| 紹介者がいる(取引先・知人の紹介) | 電話を先に、あとでメールも | 紹介者へ結果を伝えてよいか確認する |
| 同じ地域・同じ団体に所属 | 電話か訪問 | 「また別の機会に」と今後に触れる |
| ネットで見つけた県外の会社 | メールで十分 | お礼と結果だけで足りる |
| すでに別の取引がある | 担当者と社長の両方に伝える | その取引は変わらないことを明記する |
紹介者がいる場合は、断りの連絡の前後で、紹介者にも一言伝えておくと筋が通ります。「せっかく紹介いただきましたが、今回は別の会社にお願いすることにしました」と、短くで構いません。金額や比較の中身は話しません。
「噂になる」ことを前提に考える
地元の事業者同士は、思った以上に情報が回ります。断られた会社が悪く言うかどうかは、断り方で大きく変わります。逆に、丁寧に断られた会社が、後日「あの社長は筋の通った人だった」と話してくれることもあります。
断りの連絡は、その場の気まずさを避けるためではなく、数年後の評判を守るための連絡と考えると、判断しやすくなります。
ポイント
地元の相手には「結果を、本人の口から、早めに」。この三つがそろえば、多くの場合は角が立ちません。
セクションのまとめ
地元の相手ほど、手段と順序に気をつかいます。紹介者がいれば紹介者にも一言、比較の中身は誰にも話さない、が基本です。
いつ連絡するか|タイミングの目安
連絡のタイミングは、早すぎても遅すぎても困ります。社内で最終決定するまでと、決まったあとの二つに分けて考えます。
決まったあとは3営業日以内
選ぶ会社が決まり、社内の了解が取れたら、3営業日以内(WEBCANの目安)に断りの連絡を入れます。契約書を交わすまで待つ必要はありません。契約が先に進んでから断ると、相手の期待を長引かせてしまいます。
決まるまでに時間がかかるときは「途中経過」を一言
社内の会議や、家族・役員との相談で、結論までに時間がかかることもあります。その場合は、見積書を受け取ってから2週間(WEBCANの目安)を過ぎる前に、「まだ検討中です。○日までにお返事します」と一言入れてください。これだけで、相手は枠を調整できます。
補助金の結果待ちなど、事情があるとき
補助金の採択結果を待つなど、返事を出せない事情があるときは、その事情をそのまま伝えて構いません。「結果が○月頃に出るため、それまでお待ちいただけますか」と聞けば、相手も予定を組めます。
| 場面 | 連絡の目安 | 伝える内容 |
|---|---|---|
| 社内で決まった | 決まってから3営業日以内 | 結果とお礼 |
| まだ決まらない | 受け取りから2週間以内 | 途中経過と、いつ返事するか |
| 結果待ち(補助金など) | 事情が分かった時点 | 待ってほしい理由と目途 |
| 相手から催促が来た | その日のうち | お詫びと、結果または見通し |
セクションのまとめ
決まってから3営業日以内、決まらないときは2週間以内に途中経過を一言。この二つを守るだけで、印象は大きく変わります。
誰が、どの手段で伝えるか
次に、手段の選び方です。電話、メール、訪問、書面のうち、どれが合うかは、相手との関係と、見積もりまでのやり取りの仕方で決まります。
手段ごとの向き不向き
| 手段 | 向いている場面 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 電話 | 対面や電話で打ち合わせを重ねた相手、紹介案件 | 相手が忙しい時間帯を避け、3分で終える。あとでメールを送ると記録が残る |
| メール | やり取りがメール中心だった相手、遠方の会社 | 件名に「お見積もりの件」と入れ、本文は短く。夜間の送信は避ける |
| 訪問・来社 | 何度も会い、提案に時間をかけてもらった地元の会社 | 事前に連絡し、短時間で。手土産は不要 |
| 書面(郵送) | 入札に近い形式、契約前の正式な手続き | 文面が硬くなりやすい。通常の中小企業では不要なことが多い |
| SNS・チャット | 普段から連絡手段として使っている相手のみ | 初めての断りには不向き。メールも併せて送る |
社長が伝えるか、担当者に任せるか
判断の目安は、見積もりの打ち合わせに社長が出たかどうかです。社長が会っている相手には、社長から電話を一本入れるのが礼儀に合います。担当者のみが対応していた相手には、担当者からのメールで足ります。
ここで大事なのは、断る理由と結果を、社長が事前に担当者へ伝えておくことです。担当者が相手に聞かれたときに困らないよう、言ってよいことと言わないことを、短く決めておきます。
担当者に渡す一言メモ
「結果は伝えてよい。理由は体制・時期・予算のうち事実に合う一つだけ。聞かれても『総合的に検討した結果』で止める。他社の名前と金額は言わない。」この数行を渡すだけで、担当者は迷いません。
電話をかけるときの時間帯
電話は、午前中の早い時間や、昼休み、夕方の締め時間を避けて、午前10時から11時、または午後2時から4時ごろにかけるのが無難です。つながらなかったときは、留守番電話に長い伝言を残さず、「お見積もりの件でご連絡しました。またかけ直します」とだけ伝えます。
セクションのまとめ
手段は相手との関係に合わせます。社長が会った相手は電話、担当者だけの相手はメールが目安で、理由と言ってはいけないことは事前に共有します。
理由をどこまで伝えるか
断りの連絡で最も迷うのが、理由をどこまで話すかです。結論から言うと、理由は一つだけ、事実に近いものを短く伝えます。
伝えてよい理由・伝えない方がよい理由
| 理由の種類 | 伝えてよいか | 言い方の例 |
|---|---|---|
| 社内の体制・予算の都合 | よい | 「今期の予算の範囲で、別の形を選びました」 |
| やり方・進め方が合った | よい | 「進め方が、社内の事情に近い会社にお願いすることにしました」 |
| 時期・納期の都合 | よい | 「公開を急ぐ事情があり、時期の合う会社にしました」 |
| 他社の金額・会社名 | 伝えない | 言わなくても結果は伝わります |
| 相手の見積もりへの不満・評価 | 伝えない | 聞かれたら「総合的に検討しました」で止める |
| 実は最初から決まっていた | 伝えない | 事実でも、相手の時間を使わせたことの説明にはなりません |
理由は「相手が直せること」と「直せないこと」を分ける
理由を伝えるのは、相手が改善できることか、改善しようがないことかで、言い方が変わります。改善できる点(説明が分かりにくかった、など)は、聞かれたときだけ答えます。こちらから評価を伝える必要はありません。
改善しようがない事情(社内の体制、時期、予算の枠)は、そのまま伝えると相手も納得しやすくなります。相手が悪いのではない、と伝わるためです。
嘘の理由は、避ける
「社内で内製することにした」「予算が取れなくなった」など、事実と違う理由を伝えるのは、おすすめしません。同じ地域で別の会社を使っていることが後から分かると、気まずくなります。
本当のことを全部話す必要はありませんが、嘘を言う必要もありません。「総合的に検討した結果」という言い方は、嘘ではなく、かつ具体的な比較を避けられる言葉です。
注意
相手が「どこが足りなかったか教えてください」と聞いてきたときも、他社との比較には触れません。「分かりやすいご提案でした。金額の面と進め方の面で、今回は別の形にしました」ぐらいで十分です。
セクションのまとめ
理由は一つだけ、事実の範囲で。他社の会社名と金額、相手への評価は伝えません。嘘の理由は、地元ではあとで効いてきます。
そのまま使える断りの文例|電話・メール3パターン
ここからは、実際に使える文面です。会社名や日付、担当者名の部分だけを入れ替えて使ってください。社名は架空の例です。
文例1:電話で断る(社長から、地元の相手)
電話で伝える内容(約3分)
「お世話になっております。○○(会社名)の△△です。今、お時間よろしいでしょうか。」
「先日は、ホームページの件で、丁寧なご提案とお見積もりをいただき、ありがとうございました。社内で検討しました結果、今回は別の会社にお願いすることになりました。」
(連絡が遅れた場合のみ)「ご連絡が遅くなり、失礼いたしました。」
「決め手は、進め方が社内の体制に合うかどうか、という点でした。ご提案の内容は大変分かりやすく、勉強になりました。」
「ご提案書などの資料は、こちらで破棄してよろしいでしょうか。それとも、お返しした方がよろしいでしょうか。なお、お見積書は社内の記録として保管させていただきます。」
「また何かあれば、ご相談させてください。このたびは、本当にありがとうございました。」
電話の場合は、つながったらまず「今、お時間よろしいですか」と聞きます。結論を先に伝え、理由は一つにとどめ、最後に資料の扱いと感謝で終えます。
文例2:メールで断る(標準・短い形)
件名:お見積もりの件(○○株式会社 △△)
株式会社□□ ご担当者様
いつもお世話になっております。○○株式会社の△△です。
このたびは、ホームページ制作について、ご提案とお見積もりをいただき、ありがとうございました。
社内で検討しました結果、今回は別の会社にお願いすることにいたしました。進め方と予算の面で、総合的に判断したものです。
ご提案書などの資料は、取り扱いにご指示があればお知らせください。特にご連絡がない場合は、当方で適切に破棄いたします。お見積書は、社内の記録として保管させていただきます。
貴重なお時間をいただきながら、このようなご連絡となり申し訳ありません。ご提案の丁寧さには、大変感謝しております。
○○株式会社 △△(電話番号)
件名は「お見積もりの件」のように、開かなくても用件が分かる形にします。本文の長さは5〜8行におさめ、お礼と結果を先頭に置いてください。
文例3:紹介者がいる相手に、メールと電話で断る
紹介者への一言(電話)
「○○さん、お世話になっています。先日ご紹介いただいた□□さんの件ですが、今回は別の会社にお願いすることにしました。せっかくご紹介いただいたのに、すみません。」
「□□さんには、私からきちんとお伝えします。ご紹介の気持ち、本当にありがたかったです。」
□□社へのメール(再依頼の道を残す形)
株式会社□□ ご担当者様
お世話になっております。○○株式会社の△△です。
先日は、○○様のご紹介のもと、お見積もりと詳しいご提案をいただき、ありがとうございました。
社内で検討しました結果、今回は別の会社にお願いすることにいたしました。時期と社内の体制を踏まえた判断です。
ご提案は大変参考になりました。今後、更新や新しい企画が出ましたら、あらためてご相談させていただくこともあるかと思います。その際は、どうぞよろしくお願いいたします。
○○株式会社 △△(電話番号)
注意
文例の「社内で検討しました結果」「進め方と予算の面で」は、事実と合っているときだけ使います。合わないときは、事実に近い言葉に置き換えてください。
担当者に渡すチェックリスト
断りの連絡を担当者に任せる場合は、次の項目を渡してください。社長が内容を見てから送るようにすると、安心です。
- 結果が決まった日付を確認した(連絡は3営業日以内)
- 相手の会社名・担当者名・敬称に誤りがない
- 理由は一つだけ、事実の範囲にとどめた
- 他社の会社名と金額が文面に入っていない
- 提案書などの資料の扱い(返却か破棄か)と、見積書は社内保管である旨を一文入れた
- 件名に「お見積もりの件」と入れた
- 送信前に社長が文面を確認した
- 送ったあと、日付と相手の反応を記録した
セクションのまとめ
文例は3つ。電話は3分、メールは5〜8行、紹介者がいる場合は紹介者にも一言。社名・日付・理由を事実に合わせて入れ替えます。
断ったあとの見積書・提案書の扱い
断りの連絡と同時に、頭を悩ませるのが、受け取った見積書や提案書の扱いです。結論は、会社として方針を一つ決めておき、相手にも一言伝える、です。
見積書と提案書は「相手の資料」
見積書や提案書には、相手が時間をかけて考えた内容が書かれています。他社に見せたり、内容を真似して別の会社に作らせたりするのは、避けてください。権利(著作権など)が関わる場合があるだけでなく、地元では評判にも響きます。
| 資料の種類 | 断った後の扱い | 注意点 |
|---|---|---|
| 見積書(金額が書かれたもの) | 社内保管(会計・稟議の記録) | 他社に見せない・転送しない |
| 提案書・構成案 | 相手の資料として破棄、または返却 | 内容を別の会社に渡して「同じものを」と頼まない |
| こちらから渡した資料(写真・社内情報) | 返却または削除を依頼 | メールで削除を確認しておく |
| ヒアリング時のメモ | 社内保管(個人情報に注意) | 不要なら一定期間後に破棄 |
こちらが渡した資料の扱いも確認する
見積もりのために、自社の写真、顧客の情報、売上の数字などを渡していることがあります。断るときに、「お渡しした資料は、削除をお願いします」と一文添えてください。個人情報が含まれる場合は、特に忘れずに伝えます。
削除した旨を返してくれる会社もあります。返事がないときは、確認の催促まではせず、記録だけ残しておけば足ります。
「提案だけもらって他社に作らせる」のは避ける
提案書の構成や文章を、そのまま別の会社に渡して、同じ内容で安く作れないかと頼む行為は、避けたい断り方の一つです。提案書の文章や構成には、相手の権利(著作権など)が関わる場合があります。地元の評判の面でも、避けた方が無難です。
価格交渉の材料に使う場合も、他社の金額を相手に伝えることは避け、自社の予算の上限だけを伝える形にしてください。見積もりの比べ方については、こちらの記事が参考になります。
セクションのまとめ
見積書は社内保管、提案書は破棄か返却、こちらから渡した資料は削除を依頼。他社への転用や、他社の金額の伝達はしません。
再依頼の可能性を残す言い方
今回は断っても、半年後や数年後に、その会社の力が必要になるかもしれません。Webの外注は長い付き合いになることが多く、最初に選んだ会社と合わなければ、乗り換えを考える場面も出てきます。
乗り換えの手順についてはホームページの制作会社を変更する手順で詳しく説明しています。ここでは、再依頼の道を残す言い方に絞ります。
残す言い方の例
- 「今回はご縁がありませんでしたが、ご提案には大変学ばせていただきました。」
- 「別の分野の依頼が出たときは、改めてご相談させてください。」
- 「社内の体制が変わった際に、またお声がけしてもよろしいでしょうか。」
- 「年に一度でも、近況のご連絡をいただけると嬉しいです。」
言ってはいけない言い方
「また頼みます」「次は必ずお願いします」のように、実現しない約束は避けてください。相手に期待を持たせ、後で断りにくくなります。「機会があれば」「必要が出れば」という、事実の範囲の言い方にとどめます。
関係を続けるための小さな工夫
- 年賀状や暑中のあいさつを、取引がなくても出す
- 商工会や地域の集まりで会ったときは、自分から声をかける
- 相手がこちらの業界向けの情報を出したら、一言感想を送る
- 紹介を頼まれたときは、気軽に応じる
こうした小さな関係の維持は、次の機会に「あの社長なら安心」と思ってもらうことにつながります。Webの外注先を選ぶとき、社長の評判は、思っている以上に効きます。
セクションのまとめ
再依頼の道は一言で残します。実現しない約束は避け、「機会があれば」「必要が出れば」という事実の範囲で伝えます。
やってはいけない断り方|NOT TO DO 5つ
ここまでの内容を、避けたい断り方として整理します。どれも、悪気はなくてもやってしまいがちなものです。
1. 無連絡で終わらせる
一番多く、一番よくないのが、無連絡で終わらせることです。相手は、結果を待ち続けます。数日後に営業電話が来て、断る場面が気まずくなる、という流れになりがちです。
2. 他社の名前や金額を伝える
「他社は半分の金額でした」と伝えると、価格の話し合いが始まります。相手が他社の名前を知ると、地域で話が回ることもあります。結果と理由を一つ、で止めてください。
3. 嘘の理由を言う
「内製することにした」と言ったのに、別の会社を使っていることが、後から分かることがあります。地元では特に、すぐに伝わります。事実の範囲で、短く伝えます。
4. 提案書や資料を他社に回す
相手の提案書を、別の会社にそのまま渡して、同じ内容で安く作れないかと依頼する行為は避けてください。相手の知恵の持ち出しにあたり、地元の評判にも響きます。
5. 相手の営業をその場で受け続ける
断ったあとに、相手が追加の提案をしてくることがあります。曖昧に聞き続けると、断りが伝わりません。「社内で決まったことですので」と、はっきり、穏やかに伝えます。
注意
この5つのうち、1つでも当てはまりそうなときは、連絡の前に一度立ち止まってください。当てはまる行動は、地元の評判を数年単位で左右する可能性があります。
セクションのまとめ
避けたいのは、無連絡・他社の金額を出す・嘘の理由・提案書の転用・曖昧な対応の5つです。
架空の例|従業員25名ほどの部品加工業の場合
ここで、一つ架空の例を紹介します。実在の会社や人物とは関係ありません。従業員25名ほどの地元の部品加工業が、ホームページの作り直しで3社から見積もりを取ったという設定です。
状況
A社(地元の制作会社)、B社(県外の制作会社)、C社(取引銀行の紹介)の3社に見積もりを依頼しました。社長は、A社に決めました。理由は、更新を相談しやすい距離にあることと、進め方が社内の担当者に合っていたことです。
B社、C社への連絡
| 相手 | 手段 | 連絡の内容 |
|---|---|---|
| B社(県外・メールのみのやり取り) | メール | 文例2に近い短い文面。決めた日の翌営業日に送信 |
| C社(取引銀行の紹介) | 社長から電話、その後にメール | 文例1の電話に近い内容。紹介者の銀行担当者にも一言 |
その後
社長は、C社の担当者に電話で伝えたとき、「提案を気に入っていただいたのに申し訳ない」と話しました。C社の担当者は、「また何かあれば声をかけてください」と答えたそうです。
1年後、部品加工業が新しい採用ページを作る必要が出たとき、社長はC社に相談しました。以前の断りの印象がよかったためです。この例は架空ですが、地元の関係では、実際に起こり得る流れと言えます。
ポイントは、決めたあとすぐに連絡し、理由を一つだけにし、相手の提案の良さをきちんと伝えた点です。
セクションのまとめ
架空の例では、決めた翌営業日に連絡し、理由を一つにとどめたことで、1年後に再び相談できる関係が残りました。
相手が食い下がってきたときの対応
断りの連絡をしても、相手が「金額を下げます」「もう一度検討してください」と食い下がってくることがあります。このときの対応も、あらかじめ決めておくと迷いません。
値引きを提案されたとき
値引きの提案は、もともと提示されていた金額に納得できていなかったことを意味します。判断がすでに決まっているなら、「ありがたいお申し出ですが、金額だけでなく、進め方も含めて決めたことですので」と伝えます。
逆に、金額が決め手だった場合は、一度だけ「他社と比べるつもりはありませんが、予算は○円までです」と、自社の予算上限を伝える選択肢もあります。他社の金額は出しません。
もう一度会ってほしいと言われたとき
会っても結論が変わらないなら、「お会いしても結論は変わらないため、お時間をいただくのは申し訳ありません」と伝えます。丁寧に、しかしはっきりと断ります。
何度も電話が来るとき
3回を超えて連絡が来る場合は、最後に、記録が残るメールで「社内で決定済みです。今後のご連絡はご遠慮ください」と、穏やかに書きます。強い言葉は不要ですが、曖昧にしないことが大切です。
| 相手の反応 | 対応の目安 | 避けたい返事 |
|---|---|---|
| 値引きを提案された | 決定済みと穏やかに伝える | 「検討します」と曖昧に返す |
| 理由を詳しく聞かれた | 「総合的に検討しました」まで | 他社と比べた内容を話す |
| もう一度会いたいと言われた | お断りする。感謝を添える | 断れず会う |
| 何度も連絡が来る | 3回を超えたらメールで(記録が残る形で)伝える | 無視し続ける |
セクションのまとめ
食い下がられたら、決定済みと穏やかにくり返します。「検討します」と曖昧に返すと、連絡が続いてしまいます。
断りの文面をAIに下書きしてもらうときの注意
メールや電話の文面を考えるのに、AIの文章作成ツールを使う方も増えています。便利な道具ですが、使い方には注意が必要です。
AIに任せてよいこと
- 丁寧な言い回しの候補を出してもらう
- 長い文面を、5〜8行に短くしてもらう
- 電話で話す内容を、箇条書きにまとめてもらう
- 相手との距離に合わせた言葉づかいの違いを確認する
AIに任せてはいけないこと
- 理由の決定(事実と合っているかは社長だけが分かる)
- 相手の名前や、これまでのやり取りの細部
- 他社の社名や金額を含む文面(そもそも入れない)
- 送信ボタンを押すこと
AIの文章は整っていますが、どこか型どおりの印象になります。地元の相手には、型どおりの文章は冷たく見えることがあります。相手と話した場面を一つ入れるだけで、文面の温度が変わります。
たとえば「先日の打ち合わせで、更新のしやすさについてお話しいただいた点は、大変参考になりました」のような一文です。AIの下書きに、この一文を足してください。
ポイント
AIは下書き、決めるのは社長。「事実と合っているか」と「相手の名前を間違えていないか」の2点だけは、必ず人の目で確認します。
社内の窓口を決めて外注先とのやり取りを任せる場合は、Web外注の社内窓口の仕事も参考にしてください。断りの連絡も、窓口の仕事に含められます。
セクションのまとめ
AIは文面の下書きに使い、理由と相手の名前は人が確認します。相手と話した場面を一文入れると、温度が伝わります。
選ぶ前の段階で、断りやすくしておく工夫
断りの連絡で悩まないためには、見積もりを頼む時点で、いくつか準備しておくと楽になります。相手にとっても、期待を持たせすぎずに済みます。
見積もりを頼むときに伝えておくこと
- 複数の会社から見積もりを取ること
- 決定の時期(いつまでに返事するか)
- 決まらなかった場合も、結果は必ず連絡すること
- 見積もりは無料かどうか(有料なら先に確認)
はじめに「3社で比べて、○月○日までにご連絡します」と伝えておくだけで、断りの連絡は「予定していた結果の報告」になります。相手も構えずに受け取れます。
社内で決める基準を先に書いておく
金額、進め方、対応できる範囲、連絡の取りやすさ、地元かどうか。何を重視するかを、見積もりを取る前にメモしておくと、断る理由もはっきりします。理由が決まっていれば、一つに絞るのも簡単です。
地元に頼むか、全国対応の会社に頼むかで迷う場合は、ホームページ制作会社は地元に頼むべきかを先に読んでおくと、比べる軸が整理されます。
丸投げしないことが、断りやすさにもつながる
外注先に判断を預けすぎると、断る場面でも、相手との距離が近くなりすぎて、断りにくくなります。社長が手放さない判断については、Webの外注を丸投げして失敗する会社の共通点が参考になります。
セクションのまとめ
見積もりを頼む時点で「複数社で比べること」「返事の時期」を伝えておくと、断りは予定していた結果の報告になります。
よくある質問(FAQ)
Q. 相見積もりで選ばなかった会社へ、必ず断りの連絡をするべきですか。
A. 連絡することをおすすめします。相手は結果を待っており、作業枠を空けていることもあるためです。地元の関係を守る意味でも、結果が決まってから3営業日以内に、短く伝えるのが目安です。
Q. 断りの連絡は、電話とメールのどちらがよいですか。
A. 相手との関係で選びます。打ち合わせを重ねた相手や紹介案件は電話、やり取りがメール中心だった相手や遠方の会社はメールが目安です。電話のあとにメールも送ると、記録も残ります。
Q. 断る理由は、正直に全部話した方がよいですか。
A. 全部話す必要はありません。理由は一つだけ、事実の範囲で伝えます。他社の会社名や金額、相手の見積もりへの不満は伝えません。嘘の理由も避けてください。
Q. 見積書や提案書は、断ったあとどうすればよいですか。
A. 見積書は社内の記録として保管し、提案書は破棄か返却を相手に確認します。こちらから渡した資料は削除を依頼します。相手の提案書を他社に渡して同じ内容で作らせることは避けてください。
Q. 値引きを提案されたときは、応じてもよいですか。
A. 決定済みなら、穏やかに断って構いません。金額が決め手だった場合のみ、自社の予算の上限を伝える方法があります。他社の金額は伝えないのが基本です。
Q. 担当者に断りの連絡を任せてもよいですか。
A. 任せて構いません。ただし、結果と理由、言ってはいけないこと(他社の名前と金額)を事前に共有し、送る前に社長が文面を確認してください。社長が会った相手には、社長からの電話が礼儀に合います。
Q. 将来また頼むかもしれない会社には、どう伝えればよいですか。
A. 「ご提案は参考になりました。機会があれば、改めてご相談させてください」と、事実の範囲で伝えます。「次は必ず頼みます」のような、実現しない約束は避けます。
まとめ|断りの連絡は、数年後の評判を守る一本
相見積もりで選ばなかった会社への断りは、早く、短く、自分の言葉で伝えることが基本です。決まってから3営業日以内に、電話かメールで、理由は一つだけにします。
- 地元の相手は、手段と順序に気をつかう(紹介者にも一言)
- 他社の会社名と金額は、誰にも伝えない
- 見積書は社内保管、提案書は破棄か返却を確認する
- 再依頼の道は「機会があれば」の一言で残す
- 無連絡・嘘の理由・提案書の転用は避ける
見積もりの比べ方や、相談先の選び方に迷う場合は、ホームページの相談はどこにする?やWeb制作の外注・依頼ガイドもご覧ください。
相談の入口
見積もりをどう比べるか、どの会社に頼むか、頼まなかった会社へどう伝えるか。社長お一人で抱え込まず、第三者の目で整理することもできます。WEBCANでは、地方の中小企業の外注判断について、無料でご相談をうかがっています。
まず現状だけ知りたい方は、無料診断もご利用いただけます。
この記事を書いた人
webcan.jp編集部 主筆 K.Takenouchi。Webディレクター・SEOコンサルタントとして10年以上の現場経験を持ち、大手金融系メディアや医療系コーポレートサイトのコンテンツマーケティング支援、ECサイトの企画運営・KPI設計、月商数百万円から月商1億円規模への成長支援などに携わってきました。





