この記事の要点
検索対策(Googleなどで見つけてもらうための取り組み)の月額は、業者の相場表ではなく自社の計算で決めます。「問い合わせ1件の価値」と「必要な件数」と「商圏で取れる上限」の3つを出せば、月いくらまでかけてよいかが見えてきます。
結論から申し上げます。検索対策の予算は、次の順番で決めると迷いが少なくなります。
- 問い合わせ1件が、会社にいくらの粗利(売上から原価を引いた利益)を生むかを出す
- そのうえで、今年何件の問い合わせが必要かを逆算する
- 商圏の広さから、検索経由で取れる件数の上限を確かめる
この3つが決まれば、月の予算の上限は計算で出せます。業者の料金表を見るのは、その後で十分です。
本記事は、60代以上の社長が「うちは月いくらまでなら出してよいのか」を、ご自身の言葉で説明できるようになることを目指しています。計算は掛け算と割り算だけです。
なお、各業者の料金の比べ方は SEO対策代行の記事 に、広告費全体の中での配分は 中小企業の広告宣伝費とWeb予算の記事 にまとめています。本記事では料金表は扱いません。
なぜ「相場」ではなく自社の計算から始めるのか
検索対策の費用を調べると、月数万円から数十万円まで幅広い数字が出てきます。ここでは、相場から決めるとなぜ迷うのかを整理します。
同じ月額でも、会社によって「高い」「安い」が逆になります
たとえば月5万円という金額を考えてみます。問い合わせ1件が10万円の利益になる会社にとっては、年に6件の問い合わせが増えれば元が取れる金額です。
一方、問い合わせ1件の利益が1万円の会社では、同じ月5万円でも年60件の問い合わせが必要になります。同じ金額でも、会社によって重さがまったく違うのです。
相場は「多くの会社がいくら払っているか」を示すだけで、「御社がいくら払ってよいか」は教えてくれません。ここに、相場から決めると迷う理由があります。
相場から決める方法と、逆算で決める方法の違い
| 比べる点 | 相場から決める | 自社の数字から逆算する |
|---|---|---|
| 出発点 | 業者の料金表や知人の話 | 問い合わせ1件の利益と必要な件数 |
| 決まるもの | 「みんなこのくらい」という金額 | 「うちはここまで」という上限 |
| 業者に聞かれたとき | 答えに困りやすい | 予算の根拠を説明できる |
| やめどきの判断 | 基準がなく、ずるずる続きやすい | 数字で止める線を引ける |
| 手間 | 調べるだけで済む | 最初に1〜2時間の計算が必要 |
逆算には最初の手間がかかります。それでも、1回計算しておけば、見直しの時期にも同じ表を使い回せます。
ポイント
予算は「いくら払うか」ではなく、「いくらまでなら払って元が取れるか」で考えます。この見方に変えるだけで、業者との話し合いが楽になります。
もう一つ、相場から決めたときに起きやすいのが「安いほうを選んでしまう」ことです。安い契約は、内容が薄く、結局は何も変わらないまま1年が過ぎることがあります。
高い契約を選んでも、商圏が狭ければ上限に届いて無駄になります。つまり、安いか高いかではなく、自社の上限に合っているかどうかが大切です。
セクションのまとめ:相場は参考情報にとどめ、自社の「1件の価値」から上限を計算して決めるのが、迷わないための近道です。
ステップ1:問い合わせ1件の価値を出す
予算を決める土台は、問い合わせが1件増えたときに、会社にいくら利益が残るかという数字です。ここを丁寧に出すと、あとの計算が楽になります。
売上ではなく「粗利」で考えます
粗利とは、売上から材料費や外注費などの原価を引いた、会社に残る利益の元になる金額です。検索対策の予算は、売上ではなく粗利から出すのが安全です。
売上500万円の仕事でも、原価が400万円かかれば粗利は100万円です。売上のつもりで予算を組むと、実際に使える金額を多く見積もってしまいます。
計算の式は3つの数字の掛け算です
問い合わせ1件の価値は、次の式で出せます。
- 平均の受注額(1件の仕事の金額)
- × 粗利率(売上のうち利益になる割合)
- × 受注率(問い合わせのうち実際に契約になる割合)
受注率は「問い合わせが100件あって、契約が15件なら15%」と数えます。過去1年分の問い合わせ帳や見積書の控えがあれば、1時間ほどで数えられます。
計算例:架空の「A工務店」の場合
ここで使うのは、実在しない架空の会社です。数字はすべて計算の説明のために置いた仮の値で、業界の平均ではありません。
| 項目 | A工務店(従業員20名・架空)の仮の数字 | 計算 |
|---|---|---|
| 平均の受注額 | 250万円 | ― |
| 粗利率 | 25% | 250万円 × 25% = 粗利62.5万円 |
| 問い合わせからの受注率 | 15%(100件で15件) | 62.5万円 × 15% = 約9.4万円 |
| 問い合わせ1件の価値 | 約9.4万円 | ― |
この会社では、問い合わせが1件増えるごとに、平均して約9.4万円の粗利が見込めます。ここがすべての出発点になります。
数字が分からないときの置き方
正確な数字が手元にない場合でも、止まる必要はありません。次のように仮置きして、あとで直せば十分です。
- 受注額:直近の請求書を5〜10件見て、真ん中あたりの金額を使う
- 粗利率:経理担当の方や税理士の先生に「うちの仕事の粗利は何割くらいですか」と聞く
- 受注率:分からなければ「10件に1件(10%)」のように控えめに置く
注意
受注率を高めに置くと、予算が大きくなり過ぎます。迷ったときは、低めの数字で計算してください。あとで実績が上回る分には問題になりません。
紹介のお客様と、検索で来たお客様は違います
紹介でいらしたお客様は、最初から信頼があるため、受注率が高くなりやすい傾向があります。検索で初めて知った方は、他社と比べてから決める方が多いため、受注率が紹介より下がることがあります。
ただし、これは会社や業種によって違います。自社の問い合わせ帳で「どこで知ったか」を分けて数えると、より正確になります。分けて数えていない場合は、全体の受注率で仮置きしてかまいません。
もう一つ、お客様が1回きりでなく、何度も依頼してくださる仕事もあります。その場合は、2回目以降の粗利を足してもよいのですが、最初は足さずに計算する方が安全です。
セクションのまとめ:予算の出発点は「平均の受注額 × 粗利率 × 受注率」で出す、問い合わせ1件の粗利です。迷ったら低めの数字で置きます。
ステップ2:必要な問い合わせ件数を逆算する
1件の価値が出たら、次は「今年、何件の問い合わせが検索から欲しいか」を決めます。ここは、会社の目標から逆算します。
「あと何件の仕事が欲しいか」から始めます
問い合わせの件数をいきなり決めるのは難しいものです。まず、「検索経由で、今年あと何件の仕事を増やしたいか」を考えます。
A工務店が「検索経由で、年に新しい仕事を6件増やしたい」と考えたとします。受注率が15%なら、必要な問い合わせは次のとおりです。
- 6件 ÷ 0.15 = 40件(年間)
- 40件 ÷ 12か月 = 約3.3件(月あたり)
月に3件ほどの問い合わせを、検索から増やせるか。これが、この会社の目標になります。
「何件増やすか」の決め方の目安
目標の件数は、現場の余力で決めるのが現実的です。仕事が増えても、職人さんや担当者が足りなければ、せっかくの問い合わせに応えられません。
| 見るもの | 確認の仕方 | 目標への影響 |
|---|---|---|
| 現場の余力 | 今の受注件数に加えて、年に何件までなら対応できるか | 上限の件数になる |
| 売上の目標 | 来期の売上計画のうち、新規のお客様で埋めたい分 | 必要な受注件数になる |
| 紹介や既存客の見込み | 去年の紹介・リピートの件数と、今年の見通し | 足りない分が検索に求める件数 |
| 季節の波 | 忙しい月と閑散期の差 | 月ごとの目標に差をつける |
「売上を伸ばしたい」だけでは、数字になりません。「年に新しい仕事を何件増やすか」という言い方に直すと、計算に使えます。
目標を欲張りすぎない
目標を大きく置くほど、予算も大きくなります。一方で、次のステップで見る「商圏の上限」を超える目標は、予算を増やしても達成できません。
最初の年は、目標を小さめに置くことをおすすめします。小さく始めて、実績を見ながら広げるほうが、社長にとっても担当者にとっても負担が軽くなります。
ポイント
必要な件数は「社長の願い」ではなく、「現場が対応できる範囲」と「売上計画」の両方から決めます。
セクションのまとめ:「あと何件の仕事が欲しいか」を受注率で割ると、必要な問い合わせ件数が出ます。現場の余力を超えない範囲で置きます。
ステップ3:商圏の広さから「取れる上限」を確かめる
予算をいくら増やしても、検索する人の数そのものを増やすことはできません。商圏が狭ければ、取れる問い合わせの数にも上限があります。
商圏とは、お客様が来てくださる範囲のことです
商圏は、工務店なら車で30分、飲食店なら歩いて10分というように、仕事によって違います。この範囲の中で、自社の仕事に関する検索がどれくらいあるかが、上限を決めます。
たとえば「屋根 修理 ○○市」のような言葉が、商圏の中で月に何回検索されているか。この数が小さければ、どれだけ頑張っても、問い合わせの数は限られます。
検索回数から問い合わせ件数までの仮計算
A工務店の商圏について、2つの場合を考えます。数字は、考え方を示すための架空のものです。
- 商圏が広い場合:商圏内の関連する検索が、すべて合わせて月800回
- 商圏が狭い場合:商圏内の関連する検索が、すべて合わせて月200回
- 検索した人のうち、10%が自社のサイトを見に来ると仮定(検索結果の上位に表示された場合の仮の割合)
- サイトを見た人のうち、5%が問い合わせると仮定
| 商圏が広い場合 | 商圏が狭い場合 | |
|---|---|---|
| 月の検索回数(仮) | 800回 | 200回 |
| サイトを見る人(10%) | 80人 | 20人 |
| 問い合わせ(見た人の5%) | 月4件 | 月1件 |
| 年間の問い合わせ | 48件 | 12件 |
| 必要な40件に対して | 届く | 約3割にとどまる |
商圏が広い場合は、年48件と目標の40件を超えます。狭い場合は、年12件と目標の約3割にしかなりません。
この10%や5%は、あくまで説明のための仮の割合です。実際は、検索結果の順位や、サイトの内容によって大きく変わります。自社の数字は、Search Console(Googleが無料で提供している、サイトの検索状況を見る道具)で確かめられます。
商圏の検索回数の調べ方
検索回数は、Googleが無料で提供する「キーワードプランナー」などで目安を調べられます。ただし、地域名を含む検索は、回数が少なく表示されたり、幅のある数字で出たりします。
そのため、細かい数字を求めるより、「月に数百回か、数千回か」という桁の違いをつかむことが大切です。桁が分かれば、予算の上限のおおよその見当がつきます。
調べるのが難しい場合は、担当者や業者に「この地域・この仕事で、検索の回数はどのくらいですか」と尋ねてください。答えが曖昧な業者は、慎重に検討したほうがよいかもしれません。
上限に届かないとき、予算以外でできること
商圏が狭く、検索だけでは目標に届かないことが分かった場合でも、あきらめる必要はありません。方法は検索対策だけではありません。
| 方法 | 向いている場面 | 予算以外の注意点 |
|---|---|---|
| 商圏を広げる(隣の市も対象にする) | 現場が隣の市まで対応できる | 移動の手間と時間が増える |
| Googleマップでの表示対策(MEO) | 来店型・地域密着の仕事 | お店の情報の整備が必要 |
| 紹介・既存のお客様への働きかけ | 過去のお客様が多い | 声かけの手間がかかる |
| 広告(有料で表示する方法) | すぐに結果が欲しい | 止めると表示が止まる |
地図での表示対策については、MEO業者の選び方の記事 が参考になります。
注意
商圏の上限を超える目標に、予算を足し続けるのは避けてください。上限に届いたら、別の方法に切り替えるほうが、結果として少ない費用で済みます。
セクションのまとめ:予算は、検索する人の数という商圏の上限を超えて使っても意味がありません。上限が低いときは、他の方法と組み合わせます。
ステップ4:月の予算の上限を計算し、12か月で見る
ここまでの3つの数字を使って、月に使ってよい上限を計算します。あわせて、効果が出るまでの期間も、予算に入れておきます。
1件あたりに使ってよい金額を決めます
問い合わせ1件の価値が約9.4万円でも、その全額を検索対策に使ってはいけません。利益を残す必要があるからです。
本記事では、利益を残すために、1件の価値の3分の1を獲得にかけてよい上限とします。これは業界の決まりではなく、社長が決める線です。
- 約9.4万円 × 1/3 = 約3.1万円(問い合わせ1件にかけてよい上限)
- 必要な件数 年40件 × 約3.1万円 = 約125万円(年間の上限)
- 125万円 ÷ 12か月 = 約10.4万円(月あたりの上限)
商圏が広い場合、A工務店の月の上限は約10万円となります。
商圏が狭い場合は、取れる件数が年12件です。12件 × 約3.1万円 = 約37.5万円が年間の上限で、月に直すと約3.1万円になります。同じ会社でも、商圏によって予算の上限は3倍以上違うことになります。
| 商圏が広い場合 | 商圏が狭い場合 | |
|---|---|---|
| 取れる問い合わせ件数 | 年48件(目標は40件) | 年12件 |
| 予算の根拠にする件数 | 40件(目標が小さいため) | 12件(上限のため) |
| 年間の上限 | 約125万円 | 約37.5万円 |
| 月あたりの上限 | 約10.4万円 | 約3.1万円 |
ポイント
予算の上限は、「必要な件数」と「商圏で取れる件数」の小さいほうに、1件あたりの上限を掛けて決めます。
最初の半年は成果が少ない前提で組みます
検索対策は、始めてすぐに問い合わせが増えるものではありません。Googleの案内では、ページを直してから検索結果に反映されるまで「数時間から数か月」かかるとされています。WEBCANの運用上の目安では、見に来る人の数が動き始めるのは1〜3か月ほどです(統計ではありません)。
月ごとに何を見ればよいかは、検索対策の効果が出るまでの期間の記事 に目安表をまとめています。
予算は、月額ではなく「12か月分の合計」と「24か月分の合計」で考えるのがおすすめです。最初の半年は費用だけが出ていく前提で、資金を用意しておきます。
仮の収支の例(A工務店・商圏が広い場合)
次は、あくまで仮定に基づく一例です。結果を保証するものではありません。
| 期間 | 費用(月10万円) | 問い合わせの仮定 | 見込める粗利 |
|---|---|---|---|
| 1〜6か月目 | 60万円 | ほぼ0件 | 0円 |
| 7〜12か月目 | 60万円 | 月1件(計6件) | 約56万円(6件×9.375万円) |
| 1年目の合計 | 120万円 | 6件 | 約56万円(約64万円の持ち出し) |
| 2年目 | 120万円 | 月3.3件(計40件) | 約375万円(40件×9.375万円) |
| 2年間の合計 | 240万円 | 46件 | 約431万円(差し引き約191万円) |
この例では、1年目は約64万円の持ち出しになり、2年目に取り返す形です。もし2年目も月1件にとどまれば、回収できません。
だからこそ、「6か月目に何を確認するか」「12か月目に続けるか判断する」という基準を、最初に決めておくことが大切です。
セクションのまとめ:月の上限は「1件あたりの上限 × 取れる件数 ÷ 12」で出ます。最初の半年は成果が少ない前提で、12か月・24か月の合計で考えます。
予算の使い道:自社でやる分と、任せる分を分ける
予算が決まったら、その中で「自社の人手でやること」と「外に任せること」を分けます。人件費も、実は予算の一部です。
社内でやる場合も、お金はかかっています
社内の担当者が検索対策を行う場合、業者への支払いはなくても、担当者の時間という費用がかかっています。週に2時間の作業なら、年間で約100時間です。
この時間の人件費を、予算に含めて考えます。含めずに「社内なら無料」と考えると、後から負担の大きさに気づくことがあります。詳しい比べ方は、検索対策は社内でやるか外注するかの記事 にまとめています。
任せる・自社でやるの判断表
| 作業 | 自社でやる | 任せる |
|---|---|---|
| お客様の悩みを聞く・記事の材料を出す | 自社がよい(現場を知っているため) | ― |
| 施工事例や写真の用意 | 自社がよい | ― |
| 文章の整え・見出しの設計 | 慣れていれば自社でも可 | 手が回らなければ任せる |
| サイトの構造や表示速度の調整 | ― | 専門知識が必要なので任せる |
| 検索状況の確認と報告 | 簡単な確認は自社 | 月次の分析は任せる |
| 最終的な公開の判断 | 必ず自社(社長・担当者) | ― |
お客様の声や現場の知識は、会社の中にしかありません。ここは任せずに、自社で材料を出すことが、結果にもつながります。
予算の中の配分の考え方
予算全体を、「業者への支払い」「制作・撮影などの実費」「社内の時間」の3つに分けて考えます。割合は会社ごとに違いますが、次のような考え方があります。
- 業者への支払いを予算の全部にしない(実費と社内時間の分を残す)
- 記事や写真の材料づくりに、あらかじめ少し予算を置く
- 途中で止められるよう、契約期間は長くしすぎない
契約期間や解約の条件については、検索対策の契約の縛りと解約条件の記事 で確認すべき5項目を整理しています。
セクションのまとめ:社内の時間も費用として予算に入れ、現場の知識が必要な作業は自社、専門的な調整は任せる、と分けると無駄が出にくくなります。
予算が足りないとき、余るときの見直し方
計算してみると、上限が思ったより小さい、あるいは大きいことがあります。そのときの考え方を、今やる・後でよい・やらない、の3つで整理します。
上限が小さかったとき
- 今やる:自社のGoogleビジネスプロフィール(地図に出る店舗情報)の情報を正しく整える
- 今やる:施工事例や商品の写真と説明を、自社で少しずつ載せる
- 後でよい:業者への依頼(上限が月数万円では、できる範囲が限られるため)
- やらない:上限を超える契約に無理に入る
上限が小さい場合は、まず無料でできる部分を自社で行い、数か月後に数字を見て判断する進め方が安全です。
上限が大きかったとき
上限が大きい場合でも、全額を一度に使う必要はありません。上限の半分から始めて、数字が出てきたら増やすのが堅実です。
特に最初の年は、まだ自社の受注率や商圏の数字が仮置きのままです。実績が出てから、上限に近づけていきます。
今やる・後でよい・やらないの整理
| 判断 | 当てはまる場面 | 具体的な行動 |
|---|---|---|
| 今やる | 問い合わせ帳で受注率を数えていない | 1時間で過去1年分を数える |
| 今やる | 予算の上限が出ていない | 本記事の4ステップで計算する |
| 後でよい | 商圏の検索回数が少なく、上限が小さい | 自社でできることから始め、3か月後に見直す |
| やらない | 上限を超える金額の契約 | 見送り、別の方法を探す |
| やらない | 「必ず1位」などの約束だけを根拠にした契約 | 見積もりの内訳を確認してから判断 |
セクションのまとめ:上限が小さければ自社でできることから、大きくても最初は半分から始めるのが、無理のない見直し方です。
予算を決めるときにやってはいけない5つのこと
予算の決め方で失敗しやすいポイントを、5つにまとめました。どれも、社長の判断力の問題ではなく、よくある落とし穴です。
1. 相場だけで金額を決める
相場は参考になりますが、自社の数字とは別物です。まず自社の上限を計算してから、相場を見る順番にします。
2. 売上で計算してしまう
売上のつもりで予算を組むと、使える金額を多く見積もります。必ず粗利で計算してください。
3. 成果が出るまでの期間を入れない
最初の半年に成果が少ないことを入れずに予算を組むと、3か月で不安になり、止めてしまいがちです。12か月の合計で組んでおくと、落ち着いて見守れます。
4. 成果報酬という言葉だけで安心する
「成果が出たときだけ払う」は魅力的に聞こえます。ただ、成果の定義や、止めたときの扱いを確認しないと、予想より高くなる場合があります。詳しくは 成果報酬型の検索対策の記事 をご覧ください。
5. 営業電話の勢いで決める
「今月中なら安くなる」といった電話は、予算の計算とは関係なく、急がせる言い方です。その場で決めず、まず自社の上限を確かめてください。見分け方は 「必ず1位にします」という営業電話の記事 にあります。
セクションのまとめ:相場頼み・売上計算・期間の見落とし・言葉の安心・勢いの5つを避けるだけで、予算の失敗はかなり防げます。
AIを使って、計算シートを半分自動で作る
数字を並べて計算する作業は、AI(文章を作る道具)が得意です。ただし、数字の確かさと最終判断は、必ず人が行います。
AIにお願いできること
- 本記事の4ステップを、表計算ソフトの枠に整えてもらう
- 「受注額・粗利率・受注率」を入れると上限が出る計算式を作ってもらう
- 結果が違ったときに、どの数字を変えると影響が大きいかを整理してもらう
たとえば、AIに「受注額250万円、粗利率25%、受注率15%の場合の、問い合わせ1件の価値を計算する表を作ってください」と頼めば、表の形はすぐ作れます。
AIに任せてはいけないこと
受注率や粗利率は、会社の中にしかない数字です。AIに推測させず、必ず自社の資料から入れてください。
また、取引先の名前やお客様の個人情報は、AIの入力欄に入れないようにします。数字だけを入れれば、計算には十分です。
注意
AIが出した計算結果は、電卓で1か所だけ確かめてください。表の式が1つ間違っているだけで、予算が数倍ずれることがあります。
セクションのまとめ:計算の枠づくりはAIに任せて構いません。数字を入れるのも、答えを確かめるのも、人の仕事として残します。
決めた予算の見直し方:3か月・6か月・12か月で見る数字
予算は決めて終わりではありません。決めた予算が合っていたかを、節目で確かめます。
節目ごとに見る数字
| 時期 | 見る数字 | 続けるか判断する目安 |
|---|---|---|
| 3か月目 | サイトを見た人の数、検索に出る言葉の数 | 前より増えているか(問い合わせの数はまだ見ない) |
| 6か月目 | 見た人の数、問い合わせの数 | 少しでも検索経由の問い合わせが出始めているか |
| 12か月目 | 問い合わせ件数と受注件数、費用の合計 | 仮の収支と比べて、2年目に取り返せそうか |
| 24か月目 | 2年間の合計の費用と粗利 | 続ける・減らす・止めるの判断 |
3か月目は、問い合わせの数を気にしすぎないことが大切です。まだ動き始めの時期なので、見た人の数が前より増えているかを確認するだけで十分です。
止める線を先に決めておきます
止める基準がないと、成果が出ない契約を続けてしまいがちです。たとえば、「12か月目に、問い合わせが月1件に届かなければ、内容を見直すか、減額を相談する」といった線を、社長自身が最初に決めておきます。
これは業者を疑うためではありません。基準があることで、業者との話し合いが数字で進み、お互いに納得しやすくなります。
予算を見直すときの3つの選択肢
- 続ける:数字が仮の収支に近く、問い合わせが増えている
- 減らす:件数は出ているが、上限の見通しが小さかった
- 止める:12〜24か月で見込みが立たず、別の方法のほうが合う
セクションのまとめ:3か月・6か月・12か月・24か月に見る数字と、止める線を先に決めておくと、感情ではなく数字で判断できます。
担当者に渡すチェックリスト
社長が方針を決めたあとの細かい作業は、担当者にお願いします。次のリストをそのまま渡してください。
① 数字をそろえる(所要時間:1〜2時間)
- 過去1年の問い合わせ件数と、契約になった件数を数える
- 直近の契約10件ほどの、受注額と粗利を確認する
- 問い合わせが「どこで知ったか」を分けて数える(分かる範囲で)
② 商圏の目安をつかむ(所要時間:1時間)
- 自社の仕事に関する検索の言葉を5〜10個書き出す
- それぞれの検索回数の目安を調べる(桁が分かれば十分)
- Search Consoleで、今のサイトの表示回数と見られた回数を確認する
③ 計算表に入れる
- 1件の価値、必要な件数、商圏で取れる件数を入れる
- 月の上限を出し、社長に報告する
- 上限の半分と上限の2つの案を作る
④ 業者に伝える準備をする
- 予算の枠と、見たい数字(問い合わせ件数など)を紙にまとめる
- 契約期間と、止める場合の条件を確認する質問を用意する
この作業の目安は、合計で半日ほどです。担当者が複数の業務を兼ねている場合は、1週間ほどかけて進める計画で構いません。
セクションのまとめ:数字をそろえる、商圏をつかむ、計算表に入れる、業者に伝える準備をする、の4つで、半日ほどで予算の案がまとまります。
業者に相談するときは、予算の枠を先に伝えてよいのか
自社の上限が出たら、業者との話し合いに入ります。予算を先に伝えるべきか、迷う方も多いと思います。
予算は先に伝えて構いません
予算を伝えると、高く提案されるのではと心配になる方もいらっしゃいます。ただし、枠が分からないと、業者も提案の幅を決められません。
おすすめは、上限そのものではなく、「月◯万円くらいを目安に考えています」と、上限より少し低めの金額を伝える方法です。そのうえで、その金額で何ができるのか、何ができないのかを聞きます。
聞いておきたい質問
- この予算で、月にどんな作業をしてもらえるのか
- 私たちの商圏だと、検索から取れる問い合わせはどのくらいと見ているか
- どの数字を、いつ、どんな形で報告してもらえるのか
- 最初の半年に、成果が少ない理由と見通しをどう考えているか
- 途中で止めたい場合の条件はどうなっているか
このうち「商圏で取れる件数」に、根拠を持って答えられる業者は、会社の実情を見てくれている可能性があります。逆に、根拠なく大きな数字を示す場合は、慎重に比べてください。
業者の見積もりの見方や、料金の比べ方については、SEO対策代行の記事 を参照してください。
セクションのまとめ:予算は目安として少し低めに伝え、その金額で何ができるのかと、商圏で取れる件数の根拠を聞くのが、話し合いの進め方です。
よくある質問
予算の決め方について、社長からよく寄せられる疑問を5つ選びました。
Q. 検索対策の予算は、売上の何%くらいが目安ですか?
売上に対する割合は、業種や会社の状況で大きく変わるため、ここでは一律の数字はお示ししません。本記事のとおり、問い合わせ1件の粗利と必要な件数から計算するほうが、自社に合った金額になります。広告費全体の中での配分の考え方は、中小企業の広告宣伝費とWeb予算の記事で整理しています。
Q. 受注率が分からない場合は、どうすればよいですか?
過去1年分の問い合わせ帳や見積書の控えを見て、問い合わせ件数と契約件数を数えてください。記録がない場合は、10%程度の低めの数字で仮置きし、半年ほど記録を取って直してください。低めに置いておけば、予算が大きくなり過ぎる心配が減ります。
Q. 商圏が狭く、上限が小さい場合は、検索対策をやめたほうがよいですか?
必ずしもやめる必要はありません。上限が小さい場合は、自社でできる範囲(地図の情報整備、事例の掲載など)から始め、数か月後に数字を見て判断する進め方が安全です。業者への依頼は、上限に見合った内容かを確認してから検討してください。
Q. 最初の半年で成果が出ないのは、失敗でしょうか?
必ずしも失敗ではありません。Googleの案内では、ページを直してから検索結果に反映されるまで「数時間から数か月」かかるとされ、効果が見え始めるまでには時間がかかります。そのため、予算は最初から12か月分で組み、3か月目・6か月目に見る数字を決めておくことをおすすめします。ただし、半年たっても見た人の数が全く増えない場合は、業者に理由を確認してください。
Q. 予算を業者に先に伝えると、高く請求されませんか?
伝え方に工夫をすれば、心配は小さくなります。上限そのものではなく、上限より少し低い金額を目安として伝え、その金額で何ができるのかを聞いてください。見積もりの内訳を出さない業者は、他社と比べて慎重に判断することをおすすめします。
まとめ:予算は「相場」ではなく「自社の上限」で決める
検索対策の予算は、問い合わせ1件の価値と、必要な件数と、商圏の上限の3つで決まります。
- 問い合わせ1件の価値は「受注額 × 粗利率 × 受注率」で出す
- 必要な件数は、欲しい受注件数を受注率で割って出す
- 商圏で取れる件数には上限があり、予算を増やしても超えられない
- 月の上限は、小さいほうの件数に1件あたりの上限を掛けて12で割る
- 最初の半年は成果が少ない前提で、12か月・24か月で見る
- 止める線を先に決めておき、節目ごとに数字で見直す
計算は一度やれば、毎年の見直しにも使えます。数字が分からない部分は仮置きで構いませんので、まずは担当者と一緒に、半日の時間を取ってみてください。
計算の途中で迷ったときや、自社の数字で上限を一緒に出したいときは、下の無料相談をご利用ください。無料診断(https://webcan.jp/diagnosis/)で、サイトの現状を先に確かめることもできます。
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この記事の執筆
webcan.jp編集部 主筆 K.Takenouchi。Webディレクター・SEOコンサルタントとして10年以上の現場経験を持ち、大手金融系メディアや医療系コーポレートサイトのコンテンツマーケティング支援、ECサイトの企画運営・KPI設計、月商数百万円から月商1億円規模への成長支援などに携わってきました。
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